絵話塾だより

Gallery Vieが主宰する絵話塾の授業等についてのお知らせです。在校生・卒業生・授業に興味のある方は要チェック!

2015年11月1日(日)絵本レベルアップコース・松田素子さんの授業内容

2015-11-06 14:34:09 | 絵本研究科
絵本レベルアップコース、第2回目は編集者の松田素子さんです。




松田さんは『月刊MOE』の編集長を務められその後フリーの編集者でたくさんの作品を担当されています。
絵本レベルアップコース卒業生のふじもとのりこさんは『ケーキになあれ!』で、松田さんの編集で作家デビューされました。

初回は「絵本と出版」についてのお話で、後半に「ダミー本」の講評を行いました。

今回は編集者の視点での深いお話をたくさんお聞きしました。

まずは、普段の生活で友達と何かについて「かわいい!」と言う話題になった時。
皆で一緒に「かわいいね」で終わっていませんか?
絵本を作る人、作品を作る人は、何が?どんなところが?を突き詰めて考えてほしい、と松田さん。
その場で言葉にしなくても後でどこが自分はかわいいと思ったのか自問自答してみて下さい。
ただの「かわいい」のままにしないで自分で考えること。

読者をどうしたらお話の世界に入ってもらうことができるか、表現の工夫を徹底的に考える。
考えて答えを出した後でも、最後にやはり人と自分は違うので受け取り方は様々だと覚悟する。
自分がこう思うから人もきっとこうだと決めつけない。人と自分は違うということをわかって絵本を作って下さい。
絵本は出版したら二度と言い訳ができません。
自分の考え、思いが、一切自分の知らない顔の見えない読者に向けて出すものです。
徹底的に、自分の作品がどんなふうに読まれるか作者自身が自分に問うて下さい。



以下は、今年絵本作家デビューされた方々の一冊目の作品です。
松田さんが編集に携わり紹介されました。

◎『はっきょいどーん!』作・やまもとななこ 講談社
相撲部屋の朝稽古に通いスケッチを続けて、力士の本気で戦う表情とはどんなものか思考錯誤をくり返し、出版まで8年かかったそうです。諦めないで続けたことが出版につながったのでは、と松田さん。

◎『はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!』作・くぼまちこ アリス館
めくる作用を最大限に活用する。時にはクールな計算力も必要。

◎『おみくじ』作・きたあいり BL出版
イメージだけで描かないで具体的に描く。

◎『にんじんにんにん』作・うえだしげこ 大日本図書
この方も8年かけて出版されました。農家で一年半かけてにんじんの栽培も観察に行かれたそうです。
栽培して実を付けても種がとれない遺伝子組み換えの種が出回ってきているので、子ども達には、種から植えて実を付けて収穫するまでを丁寧に伝えたいとの思いで作られました。

◎『はいてほしいくつしたのはなし』作・いしはらなまこ BL出版
この方は小児科の看護師として働かれていた時に、病棟の子どもが好き嫌いで食事を残すのを見て、子どもにイヤだと言われた食事はどんな思いだろう?という気持ちから、それを靴下に置き換えて作られました。
現実にあったこと、現実にいた人のことは、実際に作者が見て体験したことなのでその印象が強く思ってしまいがちです。一人、二人がそうだったら、世間もそうだと思いがちですが、一度自分から離して作ると良いです。作りたい思いはそのままで置き換えることで客観視できます。

子どもは二つの相反する気持ちがあります。
一つは冒険したい気持ちと、二つ目は帰ってくるところもほしい気持ちです。
どちらも必須なのが子どもです。

また、絵本は見開きごとに考えるのではなく、流れが必要なので、全体の流れで描いて下さい。
めくる流れ、勢いが必要です。

次回12月20日は、ダミー本の講評を行います。
自問自答して作ったダミー本を発表できますよう頑張って下さいね。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする