絵話塾だより

Gallery Vieが主宰する絵話塾の授業等についてのお知らせです。在校生・卒業生・授業に興味のある方は要チェック!

2015年11月15日(日)絵本ゆっくりコース・木村真先生の授業内容

2015-11-16 20:25:08 | 絵本研究科
絵本ゆっくりコースは、編集者の木村真先生の第一回目です。

絵本は昔からのベストセラーが今も根強く人気です。
今、皆さんと同時代を生きる作家にも目を向けてほしいとの思いで、
本日のテーマ「2000年以降に出版された日本人作家の絵本」を一冊ずつ皆さんにお持ちいただきました。

発表された中には絵話塾講師の方々の絵本もあります。

『ハルコトネコ』作 おおきひろえ
『チリとチリリ』作 どいかや
『みみかきめいじん』作 かがくいひろし
『いもむしれっしゃ』作 にしはらみのり
『しろくまのパンツ』作 tupera tupera
『ぼくはぼくのえをかくよ』作 荒井良二
『ニットさん』作 たむらしげる
『はんなちゃんがめをさましたら』作 酒井駒子
『どんぐりむらのどんぐりえん』作 なかやみわ
『でんきのビリビリ』作 こしだミカ
『まってる まってる』作 高畠那生
『ひっこしだいさくせん』作 たしろちさと
『おばけのアイスクリームやさん』作 安西水丸
などです。

木村先生からは、今の時代を代表する作家として
tupera tuperaさん、ミロコマチコさんを挙げられました。

tupera tuperaさんは『やさいさん』『くだものさん』『ぼうしさん』シリーズが50万部を突破しているそうです。
『パンダ銭湯』も人気ですね。
最新作の『おばけだじょ』を紹介。
ここで貴重なダミーも見せていただき、実際に出版されている絵本と見比べて見せて下さいました。
『おばけだじょ』は、モチーフを切り絵で作ってガラス板に貼り、裏から背景を貼って、写真を撮る手法だそうです。



続いて、ミロコマチコさんの最新作は『つちたち』です。
こちらも貴重なダミーを見せて頂けることに!
ミロコマチコさんはデビュー作『おおかみがとぶひ』が日本絵本賞を受賞され、『オレときいろ』はBIB金のりんご賞を受賞、その後の作品も全て賞をとられています。

昔から最も売れているメガヒットは『いないいないばあ』作 松谷みよ子/絵 瀬川康男 だそうです。
絵本は一度売れると大きい市場で、ロングセラーが強く、新しい作家が売れるには難しいのが現状です。
しかし、新しい作家が出てこないと新しい絵本は生まれてきません。

売れることが全てではないですが、売れないと絶版となり残らないことも事実です。
良い絵本でも絶版となり手に入らないものも多くあります。
これから30年先も残る絵本を目指して作っていってほしいと思います。

そして、持参した絵本を隣りの人と交換してそれぞれで黙読をしました。
決まり事は「絵」だけを見ること。
それができたら今度は逆に「文」だけを読みます。

どちらかだけの情報でお話が伝わってきましたか?



まだ文字の読めない子どもは、大人以上に「絵」を食い入るようにしっかりと絵本を見ています。

例えば、言語のわからない洋書を見るとわかりやすいです。
言葉がわからなくても絵の情報だけを必死に読み込もうとするでしょう。

今回皆さんが選ばれた絵本はどれも「絵」と「文」どちらも良いバランスです。
今も残る絵本はどれもとても良いバランスで描かれています。

また、子どもは気に入ると何度も何度も読みます。
何度読んでも耐えうる、読む度に発見のある絵本が残る絵本です。




木村先生の一番好きな絵本は
『ラチとライオン』だそうです。編集者になられてから作者のマレーク・ベロニカさんになんとお会いできたそうです!

最後に
昔も今も子どもの好きなもの、共感できるものは変わっていないのでは。
例えば『からすのパンやさん』のように、パンは昔も今も好まれるアイテムです。
昔、自分の好きだったものは何だったか思い返すことでも何かヒントが得られそうですね。
その変わらない何かを、それを、どう描くかどんな手法で表現するか次第なのでは、と締めくくられました。

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2015年11月15日(日)絵本レベルアップコース・古賀鈴鳴先生の授業内容

2015-11-16 17:58:49 | 絵本研究科
今日で四回目の絵本レベルアップコースは、古賀鈴鳴先生の初回です。
まず始めに先生の自己紹介をして頂きました。

本日のテーマは「私の好きな絵本」です。

作家がどんな工夫を凝らしているか、目を養うためのテーマです。

簡単なあらすじ、好きな場面、自分しか知らないのでは?という発見を
一人約10分程で発表してもらいました。



皆さんが紹介された絵本は
『もこもこもこ』作 谷川俊太郎/絵 元永定正
『モグラくんがみたおひさま』作 ジーン・ウィリス/絵 サラ・フォックス デイビス
『てぶくろ』作 ウクライナ民話/絵 エウゲーニー・M・ラチョフ/訳 内田莉沙子
『ノラネコぐんだん パンこうじょう』作 工藤ノリコ
『海は広いね、おじいちゃん』作 五味太郎
『くうき』作 まどみちお/絵 ささめやゆき
『だってだってのおばあさん』作 佐野洋子
『うどんのうーやん』作 岡田よしたか
『よるくま』作 酒井駒子
『あおくんときいろちゃん』作 レオ・レオニ/訳 藤田佳雄(たまお)
『ろくべえ まってろよ』作 灰谷健次郎/絵 長新太
『ぐるんぱのようちえん』作 西内ミナミ/絵 堀内誠一
以上です。

物づくりをする人は、実は全て、作る物に対して説明できるのではないだろうか、と古賀先生。
きっと、理解していないと作れないのではないか。

発表では、色彩の変化で心情を表している点や気配に至るまで
細部までじっくり研究された内容を伺いました。

絵本は時代性もあります。
個人だけでなく時代に沿った内容だと、共感してもらえる間口が広がり、たくさんの読者を獲得できます。

また、絵本にはページをめくるリズムがあります。
それはいつも一定ではなく、ここは止まって、ここはサッと見て、などと変化しています。
それは読み手と作り手のコミュニケーションでもあります。

絵本を作りたかったら絵本を読むこと。
好きなものはもちろん、苦手だと思っているものでもぜひ手にとってみて下さい。
名作に出会えるかもしれません。
今、人気の絵本は何だろうか。それはなぜ人気なのかも考えてみて下さい。


後半は二つ目の課題、8ページ絵本の講評です。
テーマは「何かが転がる」こと。そして赤ちゃん雑誌の付録であるというのが決まり事です。
発表作品は、ボール、うめぼし、雪、何かが転がる、でんぐり返り、歌つきのお話など。
8ページは短いので起承転結やオチがなくても、ただ転がっていくだけのお話でももちろん良いです。
この8ページを、24ページ、32ページへと膨らませていけば良いです。
最初から名作を作ろうとし過ぎるとしんどくなりがちなので
まずはトレーニングのつもりで短いお話を作ると良いです。



最後に先生から。
人の意見を聞き入れることも必要。
何でも吸収しよう!というくらい頑なにならず、柔軟に。

絵本をたくさん読み、知っていき、好きになって下さい。
大御所の作家の方々は絵本をよく知っておられます。

これからもじっくりと読み込む癖を付けて、絵本に親しんで下さい。

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