やまめの庭つくり

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田中一村展

2010-09-06 | ノンジャンル
土曜日に千葉まで出かけてきました.

「田中一村 新たなる全貌」展という画家の作品展を見るために.

今月26日まで千葉市美術館で開催されています.

どんな絵を描く人?

という方のために,パンフレットに載せられている絵を紹介します.





でも,こんなものじゃないんです.

決して写真や画集では表現しきれません.

絵にこめられた迫力や,筆の勢いや緻密さや美しさは・・・・



そもそも,やまめが田中一村という画家を知ったキッカケはというと・・・


以前,師匠から借りた「神を描いた男 田中一村」小林昭幸著(中公文庫)という一冊の本でした.


その中で描かれている,一村の命を削るようにして画布に向かい合う姿勢と,モチーフを正確に写し取れるまでひたすら観察してスケッチを繰り返す執念のような情熱に感動しました.


その本の印象が強すぎて,50歳で奄美大島に移住し,非常に質素な生活をしながら,ただひたすら自身が納得出来る絵を追求して描くために生き,奄美の動植物,風景を愛して止まなかった人・・・というイメージが出来上がっていたのですが・・・.


この田中一村展は,奄美の自然をモチーフにした絵ばかりではなく,6歳くらいから中国の南画を書き始め,神童の名を欲しいままにした10代の頃の作品,花鳥画に徐々に目覚めた若い頃の作品,自分の画風を模索しながら様々な手法・書体の研究,アルバイトで故人の写真を鉛筆で正確にスケッチしたもの,下書きのスケッチなど,未公開のものが数多く紹介されています.

最初の出発は墨彩画なんですが,中国の手法やモチーフに倣って描いているはずが,どうにもものすごく何かがあふれ出ています.

実際に見るとわかってもらえるかもしれません.

思わず,墨彩のピカソ・・・なんてわけのわからない独り言を言いながら見ていました.

抜群の写実性と表現力,緻密な構図で自然を活き活きと描いています.

特に九州・四国の自然に触れた頃から画風が変化していくのですが,本当に自分のやりたい事が見つかった頃(23歳~)の作品は明るく力強くなってきます.

南の国のパワーなんでしょうか.

この南国の世界に魅せられた日本人の絵をあまり見た事がないせいか,異国情緒を感じるモチーフのせいなのか,一村の絵には独特の力強さと押さえきれない内面からわき出る何かが封入されているようです.


展覧会の入場料は1000円ですが,千葉という場所柄かお客さんが少なくて心ゆくまでかぶりつきで絵を堪能できましたkirakira2

開催が上野でなくてよかった~

作品も大量に展示してあって,ゆっくり見ていたせいもありますが,3時間くらいかかりました.

1000円,激安!,超オススメです.