枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

古き奈良の都の心の行方・・栄山寺八角円堂

2011-05-21 | 古い神社や寺で
          奈良県の中ほど、五條の街外れに学晶山栄山寺はあります。
          寺の前は、碧い碧い吉野川の水。一艘のカヌーを浮かべたりしていました。






          栄山寺は古くは前山寺(さきやまでら)と呼ばれ、藤原武智麻呂が奈良時代
          の始め719年に創建したと伝えられています。
          そして現在、この寺を一際貴重なものとしているのは、武智麻呂の菩提を
          弔うため、その子仲麻呂が建立したと伝わる、稀有な八角形のお堂でしょう。
          若葉のもみじ樹が繁る庭、桜や山吹や椿も咲く、そんな中に憩うように
          八角堂はありました。(国宝)
          宝形造、本瓦葺き(それまでは茅葺であったものを明治末の修理で瓦葺きに
          復元したといいます)、側面は四面が連子窓、他の四面が重厚な板扉。
          柱は総て八角形。近づけば、軒下の丸材による地垂木、角材による飛檐垂木
          の心遣いに息をのみます。
          特定の日にしか公開されない堂内。たまたま裏扉を開いていただきました。
          外から内陣の四柱の身舎(もや)、彩色絵画が残る天蓋が見えます。
          内部は薬師如来を正面に四体の仏。
          対面する人の心を引き締めるような地蔵菩薩の表情が心に残ります。
          桜が舞い、椿が散る境内を彷徨い、裏山に登れば武智麻呂の墓があります。
          目の前は吉野川ともう吉野に近い奈良の奥の田園が広がっていました。