枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

町屋の美しき光と陰・・  東松家住宅(明治村)

2012-05-02 | 古いもの、昔の人
          (ちょっと前のことですが、念願の明治村(愛知県犬山市)に行きました。
          明治村には、明治期に建てられた建物が日本全国から移築されているのですが、
          その中から、その時のその場所の人の生活の匂いのようなものが強く感じられた・・
          もちろん私にとってですが・・そんな建物をいくつか、これからぼつぼつと紹介させて
          いただきます。 さて、まず最初は・・)

          東松家は、名古屋の中心部にあった商家。
          明治20年代まで油問屋、その後昭和の初めまで貯蓄銀行を営んでいました。
          建物は、塗屋造という江戸時代以来の伝統工法によっていますが、見れば
          木造3階建という威容。
          江戸時代末期の平屋に明治28年2階を増築、更に明治34年3階を増築したと
          言われています。
          江戸時代には、武家以外の三階建ては許されず、明治に入ってから、東京、京都
          をはじめ順次全国でその禁令が解かれて行きます。しかし、それも大正8年に
          木造高層住宅が禁止されたため、三階建住宅は50年ほどの間しか造られなかった
          ことになります。
          正面の壁が三階まで直立した、和風建築としては嘗て見られない形態で、ビル化する
          商店建築の先駆けとも言われます。
          間口が狭く、裏まで抜ける土間の片側にミセ、座敷などが並ぶ典型的な町屋の構造。
          通り土間の上は3階まで吹抜けになっており、高窓から外光を採り入れています。
          数度の大地震にも耐えてきた漆喰仕上げの堂々とした正面、直立した杉皮葺き木造
          の側壁の頼もしさに圧倒される思いですが、その内部空間は更に驚き。
          高窓からの光はほど良く室内を照らし(写真ではどうしても薄暗く写ってしまいますが・・)
          日本建築の持つ空間の美しさに浸れるのです。
          (昭和40年明治村に移築。国重文指定)