ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

君となら

2014年08月11日 | 演劇

まさに「お茶の間コメディ」だ

それも、コテコテの・・・

95年初演以来、97年に続いて2回目の再演とか。

まだ携帯電話が無くて、外出時にはポケベルに連絡を、なんて昭和っぽい雰囲気が漂う。

舞台は町の床屋さんを営む普通の家庭のお茶の間。

この日は家族みんなが集まって、お昼に盛大な流しそうめんをやる、っていう毎年恒例の家族行事の日。

ここに、いろいろな行き違いから長女あゆみの結婚相手が 直接家に訪ねてきてしまう。

あゆみのはっきりしない物言いから家族は様々な想像を膨らませていて、想像をはるかに超えたご本人登場に
妹のふじみ以外は気が付いていない。

あゆみがごまかそうとしてつく嘘に、ふじみが協力してさらに追い打ちをかけ、
誤解とすれ違いで話はどんどんおかしな方向に進んでいく。

途中で気が付いたお父さんも加わり、天然だけど繊細なお母さんを傷つけないよう、3人で協力して、嘘に嘘を重ねていく。

そこに結婚相手の息子が乱入、さらにはかつてあゆみにふられたことがある床屋の店員(木津誠之)が
何も知らずにかき回して・・・。

これから1か月公演が続くので、あんまり内容は言えないけれど、とにかく笑わせていただきました

それも、なんだかとっても平和な笑い。

竹内さん演じる長女は、ホントに困ったうそつきなんだけど、とってもキュートで、いやな女にならないところがステキ
あ~、どうしよう~、えいって感じで嘘を重ねてしまう。

妹役のイモトさんがほんとに面白い。
困った姉に振り回されながら一生懸命その場をきりぬけようと、これまた、えいって感じで嘘をつく。
このときの何とも言えない表情がこれまたキュート

天然なお母さん、長野里美さんのとぼけ具合もハンパじゃない。

「ロスト・イン・ヨンカース」でも不思議なお姉さんぶりが、なんとも面白かったけど、今回はそれ以上

長女の恋人役の、小林勝也さんも、ジェントルマンなのに若い恋人にふりまわされる様子がとってもコミカル。
それでいて、バシッとあゆみを正すところは正す姿が何とも頼もしい。

その息子役の長谷川さんは、テレビではちょっと癖のあるイヤな感じのエリート夫みたいなので見かけるけど、
空気の読めないあやしい2代目感がプンプンと漂って、立ち姿から可笑しい。

そして何と言っても、お父さん役の草刈正雄さん。

あんなにかっこいいのに、最初から最後までステテコみたいなパジャマ姿で、
「お父さん、まだそんなカッコして!」なんて怒られながら、茶の間で足の爪を切ったりしている。

世の中の多くのお父さんのように、娘たちに疎まれ、ののしられ、でも娘たちが心配で心配で・・・。

娘たちを「あーちゃん」「ふーちゃん」なんて呼んじゃってるところも、なんだかリアルでかわいい。

愛するお母さんを傷つけないために、しぶしぶ娘たちの嘘に加担していく葛藤みたいなのが
全身から伝わってきて、切ないんだけど、とにかく面白い。

かっこいいから、情けない姿がよけいに可笑しいのかもしれない

この日の観客は、最初っからノリがよくて、最初のうちは、登場人物が舞台に姿を現すたびに、拍手が起こる。

お隣の男性は、お茶の間でテレビを見ているときのように
「あ~だめだめ!」とか
「あ~あ、やっちゃった!」などと完全に入り込んでいる。

カーテンコールは、スタンディング・オベーションで、幕が上がった時、出演者がびっくりしていた

今回、キャストが豪華なせいか、いつもの時よりロビーのお花がものすごく多かった気がする。



ここだけでなく、両脇の通路にもびっしり


パンフレットは絵本みたいでとってもかわいい




昔読んだマンガのセリフに、
「やさしい嘘」は「ないしょ」なんだ、っていうような意味のことばがあって、なんとなく心に残っている。

「ないしょ」と「うそ」は同じ嘘でも違っていて、人生には「ないしょ」が少しあったほうがうまくいく、
みたいなことだったように記憶している。

この日の舞台を観ていて、ふっとそのことを思いだした。

思い出すことがあまりにしょぼいけれど、舞台とか映画とかテレビとか、何かを見たり聞いたりすると、
ずっと開けていなかった自分の中の引き出しが、ふっと開くことがあって、ちょっと楽しくなったりする

そして、そのころの感動にさらに感動が上乗せされて、次回開くときにはもっと楽しくなるかも・・・








コメント
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