「髑髏城の七人 月」
劇団☆新感線
IHIステージアラウンド東京
昨年3月にオープンしたこの劇場は、築地市場移転問題で有名になった豊洲にある。
それも、移転予定の市場の目の前。
駅名も、ゆりかもめ「市場前」
こけら落としは「髑髏城の七人 花」
この後、髑髏城の七人は、鳥、風、月と続いていく。
これまでのシーズンは、ちょっとモタモタしていたら、すぐに完売になってしまい見られなかった。
今回の「月」でやっと行くことができた。
劇場の周りには何もない。
例によって、ちょっと遠くから来てくれる大学時代の友人とランチをしようと思ったが、何もないので、2つ先の豊洲駅で軽く済ませて劇場へ。
この劇場の大きな特徴は客席が360度回転するってこと。
(Live Walkerより)
プロジェクションマッピングの画面とともに座席が動くと、ちょっと酔いそう
毎回、キャストや演出が違うらしい。
今回のキャストはこちら。
時代背景は、本能寺の変で信長が倒された直後の混乱の世の中。
本能寺でのどさくさにまぎれ、信長の鎧を勝手に自分のモノにして、天下をとろうと目論む、残虐な謎の悪者天魔王。
天魔王が潜む髑髏城に忍び込み、戦いを挑む7人。
友情、純愛、裏切り、冒険、お笑い、感動、となんでもありだ。
客席をぐるりと囲む舞台で、場面が変わるごとに、舞台ではなく観客席が回る。
演劇と言うよりは、ストーリー性の強いショーと言った感じだろうか。
福祉蒼太クンが演じる捨之介の立ち姿の美しいこと
のっけから、天魔王役の早乙女太一くんのスピードのある、キレッキレの殺陣に悪者だってことを忘れて圧倒される。
森蘭丸役の三浦翔平君は、これまたキレッキレの殺陣の合間に翻る衣装のヒラヒラ具合まで美しい。
ちょっととぼけた渡辺いっけいさんが、まさかの家康で、終盤威厳を漂わせる。
コミカルな役でお見受けすることが多い(私が観るときは)高田聖子さんが、悲哀をまとう男前の太夫を美しく演じている。
今でいうところのヤンキーグループのリーダーでやたらと人望のある兵庫を演じるのは子役の頃から大活躍の須賀健太君。
大きくなったなあ~。
ストーリーがどうこう、とか、セリフが何て言ってるかよくわかんない時があったり、とかそういうことが、もうどうでもよくなる、勢いのあるショーだ。
劇場へのアクセスがちょっとなぁ、チケット代も高いし、と躊躇している間に、チケットが完売してしまい、これまでのシーズンを見逃したことが悔やまれる。
で、次のシーズン「極」は既にチケットをゲットしている。
5月に北海道から上京する友人と行く予定。
それにしても、劇場の周囲が寂しすぎる。
移転されないままの市場の建物だけが、どかーんと大きく寂しくそこにある。
遠い世界にいるなにやら上の方の人たちの、利権や思惑のおかげで、今を必死に生きている人たちの人生が弄ばれている。
どうして、いつもこんなことになってしまうのだろう。
劇場から駅に向かって流れていく物凄い数の人たちと、警備の人の姿しか見えない劇場の何倍もの広さの静まりかえった市場との対比がなんだか物悲しい。
そして私はそびえ立つ豊洲あたりのタワーマンションを見上げながら、ちょっとだけ翳りのある興奮のまま家に帰り、ビミョーな高層マンションが建ち並ぶ新浦安のイオンに夕食の買い物に出かけて、食材をかごに入れながら現実に戻っていくのでした
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