人生ブンダバー

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ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」

2008-06-29 08:45:05 | 音楽
3年前の11月、改修なったミラノ・スカラ座でオペラを観た。まず当日券売り場を
探すのに一苦労。ようやく、5階立見席という一番安いチケットを買うことができ
た。¥1,500くらいだったかしら。

出し物はイタリア物ではなく、プレートル指揮の「ペレアス・エ・メリザンド」。
(プレートルといえば、今年83歳でウィーンのニューイヤーコンサートを指揮した
名指揮者である。)ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」と少し似ているが、ま
ったく異なる作品である。

その時は同作品に対する予備知識もなく、ぶっつけ本番の鑑賞だった。ミラノ・ス
カラ座だけあって、音は見事にブレンドされ、幻想的なドビュッシーの音楽が聴こ
えてきた。しかし、舞台はほとんど見えなかったし、言葉もフランス語でまったく
分からなかった。(日本語の字幕は当然ない。)無論正装はしていったが、ミラ
ノ・スカラ座に入ったということはいえるだろう。


6月28日(土)若杉弘指揮東フィルの「ペレアスとメリザンド」を聴いた。(於新
国立劇場中劇場。フランス語上演、字幕付。)
キャストは、
ペレアス・・・・・・・・・・・・近藤政伸
メリザンド・・・・・・・・・・・浜田理恵
ゴロー・・・・・・・・・・・・・・星野 淳
王アルケル・・・・・・・・・大塚博章  他
*合唱指揮:佐藤正浩 合唱:新国立劇場合唱団

「ペレアスとメリザンド」は印象派ドビュッシーのオペラで、初演は1902年。日本
は明治35年!である。

今回の公演は、オケがピットに入り、ステージ上はごくシンプルな舞台装置だっ
た。現実主義、自然主義に対する象徴主義というべきか、装置がない分、音楽と共
に夢幻な世界が拡がった。

ドビュッシーの音楽は作品「海」のようで、ライトモチーフというのかしらん、メ
ロディーがあるようなないようなものである。アリアらしきものもない。登場人物
は7人である。

浜田理恵さんは43歳かしら、新国立劇場初登場。何年か前のNHKニューイヤーオ
ペラコンサートで、たしかルサルカを歌われ、これがお上手だった。フランスで活
躍されており、その雰囲気がピッタリはまっていた。この次はリューを歌う予定で
ある。
ゴローの星野さんも大きな拍手を受けていたが、北大理Ⅰから音楽の道に進んだ方
である。ペレアスの近藤さんは、ドイツに留学された経験があり、今活躍中のテノ
ールである。アルケル(バス・バリトン)は、私にいわせれば、生真面目に過ぎ
た。カテンコールでお母さん役の寺谷千枝子(メゾ)が松葉杖(左のみ)で足をひ
きずりながら出てこられた。本番では歩かない周り舞台だったので分からなかった
が、最近、怪我をされたのだろう。
若杉さんは73歳になられたが、このところ体力的に少し老けられたのではないかし
ら、ちょっと心配である。

物語は、終始一貫幻想的な場面が続いたが、第3幕メリザンドが長い髪(!)を梳
(と)かし、ペレアスがその美しさを称える場面が印象的だった!(--浜田さん
自体はショートカットなのだが、他の場面と同様しぐさで表現していた。)

最後はみな不幸になり、メリザンドの赤ん坊に対してアルケル王が「今度はこの子
が生きる番だ」と言って、ppの音楽とともに終わった。「下品な」ブラボーもな
く、拍手が続く上品な演奏会だった。

フランス語は、勉強したことなく、ウィー、ケスクセ?、メルシー、ジュヌセパ、
ジュテームくらいしか分からなかったが、字幕はステージ上方に置かれており、大
きな字でよかった!





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