12月15日(土)快晴、第143回のワグネル男声定期演奏会を池袋の東
京芸術劇場で聴く。
ワグネルの定演は、卒業後、関西勤務などがあり、何回か行かない時
もあった。しかし、卒業後10年余、年号が平成になるかならないかの
時に、これからは定演を必ず聴きに行こうと「決心」。
この30年ほど、平成18(2006)年の131回以外はすべて聴いている
(131回の時は治療期間中で断念)。
定演に行くと、(楽しくも)苦しかった「現役」時代がつい先日のよ
うによみがえる。当時は毎日のようにワグネルのことを考えていたも
のだ。
いつまでも若いつもりでいるが、私が現役の定演に初めてオンステし
たのは「第90回」だから、あらためて「143-90=53」と考えてみ
たら、今から半世紀以上前(ショック!)のことになる。一般的には、
歳を取ったということになるのかもしれない(--全然そう思わない
のだが[笑])。[*]
*「第90回」ではなく、「第95回」でしたネ(笑)。「半世紀以上前」
も「ほぼ半世紀」にすればよろしい。--下記のコメントご参照。
いいのか悪いのか、長く生きてきた経験が多い分だけ、年寄りは「昔
話」が多くなるものだ(笑)。
<プログラム>
塾歌
1.『Trinklieder und Lieder der Freundschaft』(酒と友情)
指揮;佐藤正浩
2.北原白秋作詩、多田武彦作曲『柳河風俗詩』
指揮;鴨井秀和(学生)
3.『言葉は』~谷川俊太郎の詩による近作男声合唱曲より~
指揮;相澤直人 ピアノ;前田勝則
--休憩--
4.伊藤海彦詩、荻久保和明『季節へのまなざし』
指揮;佐藤正浩 ピアノ;前田勝則
今年のプログラムは、ワグネルお得意の(?)ドイツ語(--それだ
け本格的にドイツ語の発音を指導いただいているということかな?)
が1曲とその後日本語が3曲というものだ。
開演前、演奏面ではまったく心配していなかったが、気にしていた入
場率は、1、2階(座席数計1,359席)はほぼ埋まっていた。しかし、
友人に聞くと、3階(640席)は空席が目立ったようだ。
プログラムによる今年のメンバー「分析」は、
Top 4年6人、3年5人、2年4人、1年4人=19人
Sec. 4年7人、3年4人、2年4人、1年2人=17人
Bari. 4年4人、3年5人、2年3人、1年2人=14人
Bass 4年6人、3年3人、2年3人、1年2人=14人
-------------------------------------------------
4年23人、3年17人、2年14人、1年10人=64人
となっている。
以下はいつもながらつたないコメントを・・・・・・。
参考までに、演奏時間とオンステ人数を記す。
塾歌(人数;61人)
バランスの取れた安定した塾歌だ。
1.『Trinklieder und Lieder der Freundschaft』(酒と友情)
(演奏時間;17分、人数;40人強)
指揮;佐藤正浩
ロマン派の作曲者4名によるア・カペラを並べたステージ。既に関西で
の本番(四連)を経験しているステージと聞いていたが、「歌い崩れ」
のない、そして(フルトヴェングラー的な)「やり過ぎ」のない、キッ
チリしたというかビシッとハモった演奏だった。
(1)ワインと恋
F.シューベルト(1797-1828)の男声合唱曲。「元気な活気に満ちて」
いて、ドイツ伝統の学生歌を連想する。
(2)恋とワイン
メンデルスゾーン(1809-1847)。Bassのソロ(山内さん)が見事な
声を出した。下手なプロ顔負けである。続くゾリステンもよかった。
(3)大尉の願い
A.ロルツィング(1801-1851→こちら)。hardな歌い方とsoftな歌い
まわしの切り替えがまことに上手い。
(4)友情の歌
後期ロマン派リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)。いささか哲
学的な、ドイツらしい曲だ。
曲想の変化もあり、下手をするとガタガタになるだろう、難しそうな曲
だが、不安を感じさせない。
後半の「Gott stehet mir vor Allen」の歌い出しがげに美しかったこ
と!
2.北原白秋作詩、多田武彦作曲『柳河風俗詩』(9分、61人)
指揮;鴨井秀和(学生)
「早慶合同演奏会」で一度歌っている曲(私は聴けなかった)。微妙
なアゴーギクと時としてハッとするデュナーミクのある、すばらしい
演奏だった(合唱も指揮にまことによくついていた。両方褒めたい)。
プロの指揮者を含め、今まで何回となく、この曲のいろいろな演奏を
聴いてきたが、私が聴いた演奏のベスト3に入るのではないかしらん。
どれくらい練習したのかしらん。--練習は多くても、指揮者の実力
と計画性がないと、時間が持たないはずだが。
(1)「柳河」1曲目から<伸び縮み>のある演奏。全身から音楽があふ
れるような指揮ぶりで、音楽は違うが、50年前の小澤征爾(の指揮ぶ
り)を思い出した。ソロは意外と難しいが、Sec.島田さんのそれは、
安定していて、まことによかった。
(2)「紺屋のおろく」ここでも大胆なアゴーギクとデュナーミクのコン
ビネーションに「これこれっ」と言いたくなる。
(3)「かきつばた」曲想の把握が上手い。リズム感もすばらしい。
(4)「梅雨の晴れ間」前後に動く指揮で、合唱と一体になる。一瞬沈み
込んで(少しピアノに落として)から、勢いのあるクレッシェンドが
すばらしかった。
あっという間の9分間だった。
3.『言葉は』~谷川俊太郎の詩による近作男声合唱曲より~
(21分、50人)
指揮;相澤直人 ピアノ;前田勝則
相澤先生は40歳。今や引っ張りだこだ。3人の作曲家の作品の間に相
澤先生のア・カペラ作品を配したステージで、歌詩はすべて谷川俊太
郎によるものだ。
(1)「言葉は」(信長貴富)
ひと言で言えば、音楽的な作り方。音楽的でない合唱はありえないけ
れど。
(2)「宿題」(相澤直人、男声版委嘱初演)
2曲目を意識しての選曲だろう。選曲の妙がおもしろい。讃美歌的に
よくハモる。
(3)「夕暮」(石若雅弥)
こちらもベタハモり。
(4)「天使、まだ手探りしている」(相澤直人)
優しい詩にふさわしい柔らかい音楽を作り上げていた。Topの「(ピ
ッチが)薄い声」が合っている。
(5)「Finale」(松本 望)
リリシズムあふれるピアノにしなやかな指揮。比較的長い曲で、曲想
も変化する。TopがTopとしてきれいな高音を出した。
一人の作曲家が作曲したかと思われるオムニバスだった。
拍手に応えて、相澤先生がハンドマイクを持つ。
「このステージのアンコールとしまして、さくらももこさん作詩『ぜ
んぶ』を男声合唱版でお送りします」
涙が出そうになった。--どうして歳を取ると涙もろくなるの?はチ
コちゃんに。
相澤先生は終わると客席に最敬礼。
--休憩--
休憩時に、定演らしく、いろいろな人と挨拶、談笑。
早稲田グリーの先輩を見つけたので、
「敵情視察ですか?」
「佐藤先生の『きせまな』はどんなものかと」
冬の「定演マーケット」でも佐藤先生のキセマナはなかなか注目の的?
4.伊藤海彦詩、荻久保和明『季節へのまなざし』(25分、60人弱)
指揮;佐藤正浩 ピアノ;前田勝則
高さ20cmほどの指揮台。長身佐藤先生はやや長めの指揮棒。
ジックリ聴いて初めて分かったが、この曲は、歌詩はやさしく、難し
い漢語も出てこないが、曲想が変化し、音楽的にはいろいろなものが
ギッシリ詰まっていて難しいというか分かりにくいかもしれない。
またオリジナルは混声ということもあって、最初からある程度「色」
がついているが、男声となると単色になりがちの難しさがあるのかも
しれない。
佐藤先生は、そういったものを「整理」して、分かりやすく「提示」
してくれた。
(1)「ひらく」
私の出身柄どうしてもTopに耳が行ってしまうが、Topパートの声が
すばらしい。
(2)「のびる」
歌詩がfでよく聴き取れる。パッションが先立って、なかなかこう行
かない演奏が多いかもしれない。
(3)「みのる」
ここでも日本語の語感、ディクションがすばらしい。
ドイツ語であろうと日本語であろうと、言葉がハッキリと、語感が伝
わってくる演奏は少ないかもしれない。
(4)「ゆめみる」
7分ほどの長い終曲。伴奏にはメロディーが浮かび上がらない。終盤は、
佐藤先生が膝も使って、指揮台狭しと動く。
演奏が終わると、「間」を待てない拍手が起こり始めたのはまことに
残念だった。
拍手が続く中、佐藤先生がマイクを握る。
有難うございます。ワグネルはたくさんの皆さんのおかげで活動で
きており、幸せです。今回も合唱界を代表する相澤先生をお招きす
ることができました。ワグネルは、コンクールには出ません。あ、
言ってしまった(笑)。この先どうなるかは分かりませんが、その
分、日常の練習に注力して、すべてのステージで充実した演奏をお
聴かせすることを目標にしています。
*コンクールは15分、定演は正味70分以上の演奏時間。時間だけ
の問題ではないかもしれないけれど。
そのコンクールで、今年課題曲の一つになった、F.シューベルトの
「Die Nacht」をアンコールとしてお送りします。
大変な難曲。やりすぎないほどに、ややアゴーギクのある演奏。フレ
ーズの治まり方がまことに上手い。子音のそろい方も見事だ。Topの
最高音もよくそろってすばらしかった。
鴨井さんのアンコールは、ステージに広がって、中島みゆきの「誕生」。
会場からすすり泣きが聞こえる(気のせいかな?)。
長い曲が終わり、指揮棒がゆっくり下りると大きな拍手が来た。
大拍手鳴りやまず、
カレソン・アンコールは、恒例どおり学年順に並んで、
1.「若き血」
2.「我ぞ覇者」
subito pの出てくる「覇者」だった。
3.「丘の上」(ここで指揮が鴨井さんから山内さんへ)
パパパパーと前奏が始まると、いよいよ定演もおしまいかという想いが
こみ上げる。
4年生には(ワグネル)卒業、お疲れ様でした(「おめでとう」がふさ
わしいかな?)。
終演後、後に座っていた高校生らしき男子二人に、
「どうでした?」
と訊いたら、
「うん、すばらしかったです」
「どういうふうに?」
「・・・・・・」
(筆舌に尽くしがたい?)
これまた終演後、
長いエスカレーターにて、グループで来ていた女子高生2人に話しかけ
る。
「いかがでした?」
「すごくよかったです」
「どういうふうに?」
「う~ん、なんというか・・・・・・、丁寧?」
「どちらの高校?」
「湘南です」
「あ、そ(しょ)うなん(笑)。名門~。ダークのゾウさんも湘南だ
っけ?」
高校生ファンが増えるとワグネルOBとしても嬉しいが、女子はワグ
ネル男声に入れないか・・・・・・。
帰宅し、CDを注文し忘れたことに気付き、後で責任者の手を煩わせた。
プログラム
プログラム解説に「文責」者氏名を掲載されており、すばらしい。
15:19
15:20
15:21 いつも立ち寄る集会所 「まいどっ」
15:25
15:30
15:34
15:40 あざみ野駅前
15:48
あざみ野駅で同じく定演へ向かう野添さんとバッタリ(笑)。
「この電車になりますよね~」
16:13 渋谷からメトロ副都心線へ
16:33
16:42
16:44 招待者受付準備中
16:52
16:52
17:00
17:01
17:02
17:04
17:27
17:28
17:29
17:29
17:34 2階席
18:00 これより開演、塾歌より
19:16 休憩中
19:28
20:24 お開き
20:25
20:31
20:32
20:35 もしかしたら湘南高校の皆さん?
20:37
20:43 レセプション会場へ
20:44 受付
20:46
20:52
20:52
21:00
21:06 塩澤先生のスピーチ
21:08 吉川会長「本当に、すばらしかった」
21:11 澤口幹事長による乾杯
21:11 現役の皆さんは立ちっぱなし。
21:11
21:15
21:16
21:34
21:38
21:39
21:39
21:40
21:41 某女子大トリオ
21:43 佐藤先生
21:54 相澤先生
21:56 前田先生
22:01
22:08 「まだまだ食べるぞ~」
22:18
22:18
22:26
22:33
22:33
22:35
22:35
22:38
22:38
22:53
22:58
23:23 あざみ野着
23:40 帰宅。
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1日1回の「うっかりミス」!
これで、今日は出し切った?