12月13日(日)、池袋の東京芸術劇場においてワグネル男声「現役」
の第140回定演が開催された。
今年は佐藤正浩先生がワグネルの指揮者になられてから20年記念であ
る。第120回で佐藤先生の指揮された「サミュエル・バーバー歌曲集」
(佐藤先生による男声合唱編曲)を聴いたのが、つい先日のことのよ
うだ。
一流の先生が、ほとんどドシロウトの学生を親身になって指導してい
ただけるのは今さらながらありがたい。
20年前に佐藤先生にワグネルを振っていただいた経緯については当然
いろいろなことがあるだろうけれど、現在、管弦楽に、オペラに、ピ
アノ伴奏、コンクール審査員などに引っ張りだこの佐藤先生にワグネ
ルを振っていただいたということは、顧みてまことに幸運なことだっ
たと言えるのではないかしらん。
私は、新入生時代に、『ワグネル65年史』を読み、パート会(Top会)
で1年生ながら偉そうにも、現在の畑中先生(当時48歳)は既に「所
与」の存在であるが、一人ひとりが畑中先生をお招きした当時の「熱
い気持ち」を持ってワグネルに取り組む必要があるのではないか、と
発言し、先輩から「何を偉そうなことを」と反感を買ったことがある
(--この「反感」をバネに、私はワグネルにのめり込んだ)。
すばらしい先生に指導を受ける場合は、いつの時代も、受け身ではな
く、ぶつかっていく「積極性」が大切なのではないかしらん。
昔話となってしまうが、私がワグネルに入団した時--昭和45年は、
畑中良輔先生がワグネルを振られて10年記念(--まだ10年!)で、
かつ創立75周年であった。大阪公演の打ち上げの席で(注)梅原文雄
ワグネル三田会会長が大きな声で、「畑中先生もワグネルを10年お振
りになって、もうやめられなくなりました」と挨拶され、畑中先生が
苦笑いされていたことはハッキリ覚えている(--畑中先生は、学生
の情熱がなくなったら、ぼくはいつでもワグネルをやめるというお考
えだった)。
(注)私の記憶違いで、名古屋公演後の話だった。
<プログラム>
塾歌
1.指揮;佐藤正浩
(1)プーランク
「アッシジの聖フランチェスコへの4つの小さな祈り」
(2)サン=サーンス 「サルタレッル」
2.現代の宗教曲より 指揮;豊福裕亮(学生)
(1)「Ubi Caritas」 O. Gjeilo作曲
(2)「Ave Regina caelorum」 V. Miskinis作曲
(3)「Daemon irrepit callidus」 G. Orban作曲
(4)「Totus Tuus」 A. Copi作曲
3.男声合唱と弦楽、ピアノによる組曲「碧い星のうた」
作曲;牧戸太郎 指揮;辻 博之 ピアノ;永澤友衣
4.男声合唱とピアノのための「祈りの虹」
作曲;新実徳英 指揮;佐藤正浩 ピアノ;前田勝則
以下、いつもながら、つたないコメントを・・・・・・
開演までプログラムをパラパラとめくる。学生指揮者豊福くんの「4
年生になってから、ワグネルのことを考えなかった日は1日もありま
せんでした」という言葉に自分の現役時代を思い出す。
今年のプログラムメンバーは
4年生;12人
3年生;16人
2年生;16人
1年生;22人
計;66人(T1;15、T2;21、B1;15、B2;15人)
60人を超えたのは15年ぶりだとか。
<プログラム>
塾歌(65人)
質量とも見事な塾歌だった。Topには不安がない。
東京芸術劇場のステージにどん帳はない。
1.指揮;佐藤正浩(55人、16分)
(1)プーランク
「アッシジの聖フランチェスコへの4つの小さな祈り」
(2)サン=サーンス 「サルタレッル」
四連でも聴いた曲。四連でのオンステ人数は46人だったが、定演では
55人に増えた。この難しい曲にさらに1年生が増えた。
「聖」と「俗」の曲と言えばいいのかしらん。個人的にはフランス語
にはなじみがなく、フランス語の発音やディクションは分からないの
だが、発声といい、アンサンブルといい、すばらしかった。
2.現代の宗教曲より 指揮;豊福裕亮(学生) (60人弱、12分)
(1)「Ubi Caritas」 O. Gjeilo作曲
(2)「Ave Regina caelorum」 V. Miskinis作曲
(3)「Daemon irrepit callidus」 G. Orban作曲
(4)「Totus Tuus」 A. Copi作曲
現代の作曲家による宗教曲の「アラカルト」だ。(1)は一瞬中世の曲
かと思うようなもの。(2)はやや軽快な部分に静かな部分が続く三部
形式。というように、曲想が違う曲を並べた。(4)は安らかなメロディ
ーで、いかにも腹筋の支えが必要だ。ア・カペラによくぞチャレンジ
した、と言えるかしらん。
--休憩--
休憩中にライヴCDを注文に行ったら、H先輩も同じことを考えたの
かしらん、ちょうど申し込んでいるところだった。--「お、久しぶ
りっ!プーランク、すばらしいね」(H先輩)。
3.男声合唱と弦楽、ピアノによる組曲「碧い星のうた」
(60人強、21分)
作曲;牧戸太郎 指揮;辻 博之 ピアノ;永澤友衣
第1ヴァイオリン;森田みのり 第2ヴァイオリン;渡邊達徳
チェロ;福崎茉莉子 ヴィオラ;上津原早紀
(1)子守唄 (2)戦火・混沌 (3)大地 (4)鳥の歌
下手側に指揮の辻先生とピアニストの永澤さん、クァルテット。ほと
んど暗いステージにキャンドルが灯る。ワグネルの諸君も黒の上下。
(1)~(3)はイメージを動きとヴォーカリーズにしたステージ。(4)に
してカタロニア民謡の「鳥の歌」が日本語(吉川敏男作詞)で歌われ
る。初めて聴く曲だけに、この後どうなるんだろうという楽しみがあ
る。辻先生の大きな指揮にリードされた、現役ならではの「若々しい
ステージ」。
辻先生のおしゃべりが少しあって、アンコールとして、ゆっくりとし
た「O Holy Night」(アダン作曲)が歌われた。
--休憩--
コーヒーブレイク。Kさんと談笑--「今年の演奏会テーマは<祈り>
かしらん」、「そうですね」。
4.男声合唱とピアノのための「祈りの虹」(61人、26分)
作曲;新実徳英 指揮;佐藤正浩 ピアノ;前田勝則
20年前の12月9日(土)、ザ・シンフォニーホールで畑中先生/ワグ
ネルの演奏(第120回定演)で聴いた曲だ。冒頭の「アヴェ・マリア」
で、地底から湧いてくるような声は忘れられない。私は、すぐに葉書
きに「ブラボー!」と書いて、畑中先生にお送りした。
その時、私の座席はほとんど最前列だったせいもあるかもしれないし、
仮説だが歌詩を犠牲にしてでもパトスを、ということだったかもしれ
ないが、歌詩が聴き取れない嫌いがあった。
しかし、今回は、これも仮説だが発声が進化しているのか、早口の歌
詩がよく聴き取れ、語気鋭く、「気持ち」もストレートに伝わってき
た。
「潮の香がしずかに吹きわたると・・・・・・ヒロシマはよみがえってくる」
--このあたり、会場が静まり返る中、指揮と合唱とピアノの集中力
が伝わってくる。
全体を通じて、後半への山への持って行き方(Topの最高音フォルテ)
がすばらしかった。繰り返しになるかもしれないが、佐藤先生、前田
先生、現役諸君と、何かアドレナリンの出た熱演。臨場感というのか
しらん、「その場」でしか味わえない演奏であった。
アンコールは、「ワグネルのドイツ語で」(佐藤先生)、ドヴォルザ
ークの「わが母の教え給いし歌」。
引き継いだ豊福さんのアンコールは初めて聴く曲。何という曲だった
のかしらん??
お客様の拍手が続く中、カレソンの「若き血」、「我ぞ覇者」、「丘
の上」が高らかに歌われて、お開きとなった。
毎年のことながら、これからしばらくは現役諸君の歌声が耳にこびり
ついて離れないだろう。
来年もワグネルは質量ともにクレッシェンド!するだろう。
プログラム
13:37 近所のサザンカ
13:38 落葉樹
13:54 あざみ野駅
13:55 あざみ野駅構内に「しぶそば」開店!
13:58
14:25 渋谷
14:29 渋谷から
14:46 池袋着
2月20日(土)サン=サーンス『サムソンとデリラ』(佐藤正浩指揮)
14:53
14:55 東京芸術劇場25th
14:56 続々とお客様が・・・・・・
14:58 大ホール入口
14:59 槇原敬之さんからの花束
15:04 座席から見たステージ
16:18 休憩中
17:05 休憩中 コーヒー400円
18:05 終演後
同期のKさんと顔を合わせる。仕事を抜け出して来られたという。
日曜も仕事とは、「猛烈(社員)」ですね~。
18:09 同上
私が1年生の時、4年生で学生指揮者のNさんとバッタリ。
「や~、久しぶり」とかたい握手をしていただいた。
18:15 同上
18:16 打ち上げパーティー会場 銀座ライオン 池袋西口店
会費は5000円。ワグネル貸し切り。
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豊福さんのアンコール曲を教えてくださり、有難うございました。
「祈りの虹」の「練習は困難を極め」たそうですが、客観的にもすばらしい演奏でしたよ。演奏は苦しまないと、いい演奏にならないのかもしれませんね~。
しばらくはゆっくりされるでしょうが、歌いたくなったときは一緒に歌いましょう!
この度は私共の演奏会にお越し下さり誠にありがとうございました。
差し出がましいようで恐縮ですが、今回の学生ステージアンコールでは豊福指揮にて
「じゆびれえしょん」(作詞:山村暮鳥、作曲:信長貴富)を演奏致しました。ご参考になりましたら幸いです。
今年の最終ステージ「祈りの虹」は恐らく四年目で最大の難曲であり練習は困難を極め、ステージリハーサルまで納得の行くものが作れませんでした。それでも本番でワンランク上の演奏に出来たのは恐らく我々団員にお客様が力を与えて下さったからだと考えております。1600人を超えるお客様の拍手は、芸術劇場を地鳴りのように揺らしていました。改めて御礼申し上げます。
今後とも後輩たちが作るワグネルをよろしくお願い申し上げます。
長々と駄文を失礼致しました。