こないだの富士山には、行き中部国際空港、帰り羽田空港を利用したが、行きの電車の広告で、奈良の唐招提寺御影堂に寄せられた日本画家東山魁夷画伯の畢竟の大作である襖絵の展覧会が、豊田市の美術館で6月まで開催されていることを知った。その広告を目にすることがなかったら、豊田市がどの辺に位置するのかも、美術館の存在も、襖絵が全国巡回していることさえ、知らなかった。
そこで、今度の野辺山ウルトラに向かうルートは、中部国際空港からと決意した。展覧会が旅程の日にちに開催されていることを確認したうえでのことである。
東山画伯の作品は、長野市の記念館をはじめ何度かお目にする機会があったが、この襖絵は、毎年6月の数日だけ、唐招提寺の鑑真和上像の開扉の際に、御影堂の立ち入りが許可されてはじめて鑑賞が許されるということだから、その目に触れる機会はいつぞや、とあきらめていたところ、思わぬ偶然から、まもなくのご対面となった次第である。
あの御影堂は、平成27年から5年間の大修理に入っているとのことで、今回の地方巡回は、そのことに起因すると思われるのだが、さて美術館で鑑賞するのと、鑑真和上が鎮座するお堂に設えた襖絵を畳の感触を足裏に感じながら拝観するのと、どれほどの精神性の差異があるのだろうか。それは体験しなければ解がでないのであるから、きっと大修理が終わったころ、また唐招提寺の白い砂利を踏み抱いて訪れるのだろう。
明けの明星(手持ち)
2000mに拡大すると、なにやら占星術の世界(手持ち)