日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

石を測る

2012年10月04日 | インポート
列状に固まった配置の、石の正射影形状を把握するための測量作業が本日の主な作業だった。

溝の遺構と推定されている所に集積している、1個ずつの石の外形線を計測する。

ただひたすら、視準用のピンポールに取り付けた反射プリズムの円形気泡管の気泡が中央に来るようにして、ピンポールを1個ずつの石の正射影位置とおぼしき外形に沿わせるように鉛直に立てて、器械観測者の「ハイ」の声を確認しながら石を一回りする。

だから、常に目は下向きで、耳は器械観測者の声を聞き逃さないように集中している。

時折、JR大村線の列車が通るので、その通過時には器械観測者の声が遮断されることもある。

単調な作業ではあるが、石の形が1個1個異なっているので、飽きることは無い。

過去において、航空写真測量方式では、遺跡に分布している石の図化は数多くこなしてきたが、現地実測による石の形状の計測は、この現場が初めてとなる。

写真測量方式で実施すれば、もっと簡単で迅速に、実測と遜色の無い精度で、正射影データの取得ができるのになどと思いながら、作業をやらせてもらっている。

CADソフトに計測データを流した場合におけるスムージング(計測した多角形の頂点を連ねて、自動的に曲線化すること)を考慮しながら、ピンポールを立てる位置を移動させている。

そのような作業に集中していると、時間の過ぎるのが非常に早く感じる。

単調な仕事でも、それが生活の糧を得るための賃金の元になっている。



豊田一喜