川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

移民国家構築の展望の中でこそ 外国人参政権法案③

2010-01-15 07:00:10 | 在日コリアン
 引き続き外国人参政権法案について。

 昨日僕は、この法律の制定は特別永住資格を持つ在日コリアンの人権問題の解決にはつながらないどころか若い世代の自己形成に悪影響をもたらすと指摘した。

 一方で「(一般)永住者に限って言うならこれは一つの見識であろう」とも書いた。今日はこちらの問題について。

 法律案がどんなものになるのかよくはわからないが報道などによればこの法律(案)の対象は「永住資格を持つ外国人」となるようだ。

 日本の植民地支配に淵源する特別永住者が漸減して40万人に近付いているのに対し、(一般)永住者は増えて50万人に近付いている。少子高齢化が進む中で来日する外国人が減ることはないと考えられ、この数字は今後さらに大きくなっていくに違いない。

 日本社会に定住する外国人の法的な地位を安定させ、この社会の構成者として社会参加、政治参加を促すことはきわめて重要なことである。自治体によってはすでに外国人市民会議などを条例で設置しているところもあるし、住民投票の権利を認めている例もある。

 外国人の存在を抜きにしては社会が成り立たなくなってきている現状を考えるなら、「永住」に限らず、一定の在留期間を持つ人に地方参政権を付与することは社会の安定を考える立場からも検討されるべきことであろう。僕は外国人の市議や県議がいても、それが選挙の結果であればいいことではないかと考えている。権利を認める以上「投票権」だけというのはいかがなものだろう。

 今のところ永住者の中心は「中国」「ブラジル」「ペルー」などの国籍を持つ人で、中国人が増え続けることは十分に予想される。

 中国は共産党の一党支配が続いている国である。国民にわれわれが考える意味での選挙権は保障されていない。自由に自分の意見を発表すれば懲役刑になって投獄されることは最近、劉暁波さんの事例で見せつけられたばかりである。

 http://blog.goo.ne.jp/keisukelap/e/6b5efbfff503c938229bb53374e803b9

 日本に来たからと言って自由に自己の意思を表現できるとも言えない。帰ってからどんな報復を受けるかと恐れている人も少なくないのである。北京オリンピックの聖火リレー時のように特定の目的のために在日が動員されることもあるだろう。

 だから、鄭大均さんが指摘されているような問題点は十分に検討されるべきだと思う。

 しかし、外国人の政治参加をタブー視するのは間違いである。

 僕は日本政府と国会が外国人の受け入れについてその展望や計画を示し、安定した在留の在り方(受け入れ態勢)を提示することが大事だと思う。なるべく若い人を積極的に受け入れ、教育に力を入れ、ゆくゆくはこの国の国民になってもらうという大きな展望のもとで、政治参加や国籍取得の制度を整える必要があるのだ。

 今すでにニューカマーといわれる外国人は180万人程度になり、そのうち永住者は50万人だ。これらの人々が今直ちに「外国人参政権」を求めているわけではない。

 だが、これらの人々は日本社会を支える大切な構成要員だ。私たちが抱えている以上に多くの困難を抱えている人が多い。

 新政権がやらなければならないことはこれらの人々の現実に即して受け入れ態勢を整えながら長期的展望の上に外国人の政治参加や国籍取得の道を示し、広く国民の合意を形成することではないだろうか。

 こうした作業をないがしろにしたまま特別永住者も一般永住者もごちゃまぜにして「解決」を図ろうとする今回の企画には無理があるといわなければならない。