川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

私が聞いた北朝鮮の暮らし⑭《動物園の食糧事情》 鈴木倫子

2011-02-03 08:50:03 | 韓国・北朝鮮
《動物園の食糧事情》
 
 首都のピョンヤンだけでなく、地方都市にも動物園がある。そして北朝鮮の動

物園はどこでも、必ずライオンやトラなどの猛獣が飼われているそうだ。その猛

獣たちのために、動物園には牛や豚や鶏が支給される。人々が食うにことを欠い

ているような状況下でも、動物園のトラやライオンたちには変わりなく生肉が送

られてくる。人間様にはめったに口にすることができないご馳走だから、園の職

員たちがピンハネする。食糧事情が悪くなるにつれ、ピンハネの度がひどくなる

ので、当然のことながら、トラやライオンたちは次第にやせていった。監査役人

などが時々視察に来るが、見てみぬ振りで、職員たちがとがめられることはない

のだそうだ。なぜなら、そういうときこそ、動物たちのご馳走が人間様のご馳走

に化けて、視察の役人たちも饗応に預かれるから。動物たちがどんなにやせ衰え

ていても、生きている限り帳尻は合わせられるから、政府からたっぷりとお肉が

送られてくる。それを人間様が脇からいただく。
 
 「でも、あのトラやライオンたち、もう生きていないでしょうね」と、夢子さ

んが語ってくれた。