念のため火口フェザーと焚き付け木材が
結構コツが要るが、何とか点火。
火をつけるのは、点ける、着ける、付ける
なんとかなりそうだ。
キッチンコンロの台が腰位置にあるため
友人に進呈したナイフを彼は野外行きの
使っていたようで、嬉しい。
ナイフに限らず刃物には保持方法がある。
安全に使うためには、基本がある。
刃物の一つであるナイフには実に多くの
持ち方があるのだが、その一部を紹介する。
これらは使用状況により適宜使い分ける。
基本的な持ち方。
いわゆる剣術でいうところのタツノクチを
親指の付け根と人差し指の付け根で形作って
持つ方法。これは日本刀の持ち方と一緒。
いわゆる刀でいうところの「切り手」の持ち
方がこれ。包丁などもこれを多用する。
丸太でフェザーを作る時などは、このような
刀の切り手ではなく、いわゆる「くそ握り」
にして真下にゆっくり木を削り落とす。
枝打ちなどの時には、きちんとタツノクチの
切り手で保持して刃筋を立てて刀のように
使って枝や茎を切り落とす。スイングのよう
に振り切らずに体温計の目盛りを下げるよう
な用法で振るとスパッと切れる。それも刀と
同じような使い方。
背を親指で押さえる方法。米国人が多用する。
ゆっくりと物を削る時に便利。
背を人差し指で押さえる。細かい作業に
向く。
刃を自分に向けて使う。これはタイラップ
などの輪っかを切る時とか木片を削る時に
有効。直線的ではなく、えぐるようなテコ
の原理を使う切り方。
刃は自分に向くがえぐり用法による制御が
利いているので、実はかなり安全。
梱包の紐や硬く結び絞められたタイバンド
を一気に切断する際などは、刃物をこの
ように保持して、上側にハンドルを引き
上げて、くぎ抜きのようにテコの原理で
パンと一気に切る。
刃を横にして外に向けて切る。
ロープの輪などを切る時に多用。
刃を横にして内側に向けて切る。
これもよく使うが、スライド用法なので
絶対に刃の先に手を置かないこと。
突き刺す時の保持の仕方。
小さいナイフの場合は、親指の腹でハンドル
エンドを上から押さえる。
刺突の方法2。そのまま手前に切り裂く
時などに使う。
ペンのように持つ方法。
細かく描きたいラインで切先を使って
切り裂いて行く時に使う。
主として「削ぐ」場合に多用。スキニング
の時にはこの用法を使う。
親指より先の刃を使う場合と、親指の下の
刃の部分を使う場合がある。
また、リンゴの皮剥きや大根のかつら剥き
などは後者の部分を使う。
更に、まな板が無い時などは食材を持って
刃物はこの方法で自分に向かって刃をスラ
イドさせるようにして切る。海外では多い
使い方。まな板が存在しない国もある。
刃を外に向けての親指添え。
ゆっくりと削ぎ切る時に使用。
マグネシウムのメタルマッチスティック
を削って火花を出す時もこの持ち方。
支え手の親指をブレードの背にあてて押して
切る方法。鉛筆を削る時や箸や爪楊枝を作る
時、火口の小さな薄いフェザーを作る時など
は必ずこの使い方をする。
この使用方法では、絶対に刃物の持ち手の側
は動かさない。支え手のほうの親指で削る物
を支えながらブレードの背を押すのである。
刃物の持ち手のほうを動かすと抑えの制御が
全く利かずに極めて危険。
ゆっくりと押して、刃物の刃先の切れ味のみ
で押し削って行く。
この使い方は実に多用する。
他にもかなり多くの刃物の使い方があり
ますが、基本的には刃の先には手を置か
ないことが安全を確保できます。
技巧的な用法では、刃の先に手を置くこと
もありますが、その場合は完全に刃を制御
できる使い方をするので、これは高度な
用法になります。彫刻などではそうした
使い方もありますが、基本は刃の先には
絶対に手を置かない。
それと、刃物は刃の刃道に対して横に
こじっては絶対にだめです。刃先でネジを
回すような使い方は刃物ではしてはなら
ない。すぐに刃が欠けたりまくれたりして
刃物として使えなくなります。
刃物は「切る(切断)」「斬る(切開)」
「削る」「削ぐ」「刻む」「刺す」という
ことに使うためにあります。
刃物は適切に使って、豊かな暮らしを。
斬術 -二代目小林康宏-
① 1992年 Samurai Sword Katana Cutting
まだ東京都剣道連盟二段の頃、自分の差料
の小林康宏作での初めての第一刀目の抜き
打ちの動画。
ヘッドホンをして動画を観ると、師範代の
先生が私に「はい」と切れの号令を掛けた
直後に、「上置くとか切れないよ」と誰かが
言っている。
多分、切りのベテランの方が、私がまだ
剣道連盟の低段者で、物切りに不慣れと
思ってか、「置き切りなどはできないよ」
という趣旨で言ったのだろう。
結果は見ての通りだ。
普段やっている空気斬りの抜刀術の形(かた)
の稽古であっても、ちゃんと正しく刀術を
稽古していれば一刀目からでもこのように
抜き打ち片手斬りで切れる。
というか、切れなければ嘘だ。やっている
抜刀術の稽古がすべて嘘になる。
簡単なことだ。きちんと刀術稽古をすれば
よい。我流ではなく、指導者の教えを素直
によく聴いて、それを咀嚼して、自分で
真剣につきつめて錬磨すればよい。
ただそれだけのことだ。
結果として、私は初めからこうであった。
自慢をしているのではない。
凡人の私でさえできるのだから、誰でも
できる。
要は、正しいことをきちんと識別して、
正しい稽古を積んで、その通りに正確に
実行する、ということだ。
さすれば、誰でも抜きながらの片手斬り
などはできる。両手で斬るより簡単だ。
刃筋を立てて、腕ではなく肩の関節を
きちんと使って、刀術で斬れば簡単に
切れる。
納刀は土佐の二の字ではなく、土佐の
「の」の字で行なった。
納刀の際にも刃筋が立っているので、刀身
の棟で風を切る音も収録されている。
鞘向きに逆らわないということは、行きも
帰りも刃筋が立つ、ということになる。
関節の使い方も、刀の使い方も、無理も
無茶もいけない。
片手斬りは左手で切れ、というのはその
側面をも伝える教えだ。
抜刀斬撃は「鞘で斬る」のである。
こうしたことは、私が編み出したのでは
ない。
いにしえの剣の道の先達が究め極めた事を
時空を超えて代々伝えられ、その事を私に
伝授され、その指導を素直に全て受け止め
て、自分で磨いただけのことだ。
私の手柄ではない。先人が貴重な教えを
残し伝えてくれたから、現代人の私などが
その通りにやればできるだけだ。
それだけのことなのだ。
心開いて、全てを大きく抱きとめるように
受けとめないと、その先人たちが残した
かった事には肉迫できない。