「結論。ゴムボーイ最強」
ベンチメイドのフォールダーだ。
最近のフォールディングナイフはライナー
私の目は変な目で、製造出荷後60年に
なぜかしらねど、西洋ではこと馬蹄に
限っては専門の鍛冶屋は作らなかった
そうだ。
それではどうしたかというと、馬を持って
いる農家や厩舎がトンテンカンと自分で
馬に合わせて馬蹄を鍛冶仕事して製作した
のだという。
日本の場合はどうだったかはよく知らない。
そもそも、日本で蹄鉄というものが存在
したのかどうか、私はよく知らない。
しかし、西部劇などでは、町の鍛冶屋が
蹄鉄をトンテンカンと作っているシーン
がよく出てくるよね。
まあ、時代劇を歴史的事実と思ってはいけ
ないのだけど、本当のところはどうなん
でしょうね。
広島県三原市北部をさらに北上した場所
に位置する郡部の高原地帯には、ある乗馬
クラブがある。
以前、そこに馬をよく見に行った。
蹄鉄を鍛造していたので、許可をもらって
見学したことがある。
七宝焼きなどを焼く四角い小さな電気炉
を改造したガス炉を使っていた。
馬蹄はメロンパン位の大きさなので、
こうした小さな炉でも充分、というか
小さな炉のほうが使いやすい。刃物鍛冶
のような炉よりも電気炉や小型ガス炉
のほうが便利だろう。
見学させてもらって、結構勉強になった。
蹄鉄鍛造ではこのような家庭用小型炉
を使用していた。銀細工などでも使わ
れる炉だ。
この電気炉などは家でも焼き入れが
できるので非常に便利なのだが、
いかんせん小さすぎるのでナイフの
ような長物が入らない。
かといって、ナイフ焼き入れ用電気炉
などはメーカーは作らない。需要が無い
からだろう。
それに、炭素鋼では製造段階では木炭
を使わなければならない意味がある。
木炭でなくとも、炭素を含んだ燃料で
ないと具合が悪いところがある。
こうした電気炉は焼き戻し用にはいい
かもしれないが、小物刃物の焼き戻し
はガストーチであろうと電気コンロで
あろうと油揚げであろうと可能だ。
なんというか、あちらを立てればこちら
が立たずだ。
鍛造刃物作りは汎用性が低い。
かつてこういうタイプの炉を使っていた。
アングルで組んだ台枠に嵌め乗せる感じ
の移動式小型簡易炉だ。
上部を塞げるようにして密閉炉としても
使えるようにしていた。
送風はブロア。
別に箱型七輪でも焼き入れだけならできる
のですけどね。
沸かし等は七輪が耐えられないのでできない。
耐火粘土を内部に塗り込んでも、七輪は焼き
入れ炉にしかならないのではなかろうか。
それでも火造等で赤めて叩くことにも使える
が、沸かしや折り返し鍛造は無理だろう。
折り返し等には硼砂を使う。
鉄同士はそのままでも鍛着できるのだが、
表面酸化被膜ができるので鍛接が困難な
場合がある。
硼砂は化学変化でその酸化被膜を発生させ
にくくさせるので鉄同士がくっつく。
硼砂自体は酸化鉄とともに火玉となって
叩き出される。
叩いていて鉄が痩せるのは、酸化物がどん
どん外に叩き出されるからだ。
60口程刃物を製作した専用炉は現在解体
したので今は無い。
刀術の師匠に進呈した刀子が一番渾身
作だったかなぁ。大切れしたのは刀術
の先輩の陸自航空管制官に進呈した
小柄小刀だった。あれは切れた。
七輪では数口しか作っていないが、
火造と焼き入れ加熱程度ならば七輪
でも可能だ。
小割に切りそろえた消し炭を使用する。
焼き入れは田楽手法。
小物は加熱保持中に切先が溶けやすい
ので気を付ける。
ナカゴ部分が真っ平なのはベルトサンダー
を使っている。
私は本職ではない素人の手慰みの鍛冶
の真似事なので、私が作った刃物を人に
売った事は無い。
これは刀身のみ保管の状態。刃長14.9ミリ。
ブッシュクラフトナイフに転用しようかと
思ったが、野外調理包丁兼用としてコン
シールドタングにしていたためバトニング
には適さないのでお蔵入り。
ただのありきたりのナイフになってしまう
ではないかと思い悩み、刀身保管状態の
ままだ。
折り返し鍛錬は二代目小林康宏。斬鉄剣
鍛えである。焼きなまし、成形、再鍛造、
火造、焼入、焼き戻し、仕上げ、鍛冶押し
は私。焼刃土は康宏伝。
今思っているのは、ストックアンドリムー
バルに本格挑戦したい。焼き入れ炉も
要らないし、鍛造の手間も要らない。
削りはかなり高度な技法だが、本腰製作
では未知数だ。
これまでラブレスシステムでのステンレス
ナイフは3本しか作ったことがない。
これも過去に人に贈った。
きっと別な人の手に渡っても、どこかで
誰かが使ってくれていることだろう。
と、テンション上げて、竹削り専門刃物
の柄周りを一気に仕上げる予定。
こちらは本気で性根を入れないとなら
ない。