えー、
潮干狩り、ではなくて、少し残しつつ、かいつまんで(笑)。
楽器の話は、語りだすと長くなる上
・・・僕が思ってるよりは、きっとマニアックな話のようなので(←自覚が薄い(笑))、
読んでいらっしゃる方にとっては、退屈だったりしますよね。
なので、さくっと。
そう、先日、ピアノを沢山弾いた日のお話なんです。
普通、楽器屋さんで弾くにしても、大抵は「どれも基本的に同じメーカー」、「どれも新品」など、言ってみれば似通った個体が並んでることが多いんですよね。
勿論、表参道の、KAWAIとBOSTON、RX-NEOみたいな提携してます、みたいなところもありますし、・・・あ、そういう意味では、もしかしたら、中古ピアノフェア、みたいのはかえって面白いかもしれません。
ともあれ、先日の試奏は、“しっかりと”使い込まれた、多様なメーカーのピアノが一同に集まってる場所だったことがありまして、とても面白い体験ができたわけです。なんたって、そこの会社の方を除けば、広いフロアにいるのは、僕一人でしたしね(笑)。
・・・なんかもう、すでにここまでで、つまらないなあ、めんどくさい感じになってるなあ、と思われてるのでは、と思ってしまったり(笑)。
ということで、もう、ほんとさくっと(笑)。
トップページのピアノ、スタインウェイなんですけれども、この装飾の見事なこと。年代は1910年ころのものだったと思います。全体像をお見せできない(=なんか、色々と慌ててて、撮ってない)のが残念ですが、実に優雅ですよね。
色々と、細部までかっこいい。
同様に、
こんなピアノもありました。これは、あのTBS「ザ・ベストテン」で、レギュラーピアノとして使用されていたものだそうで、非売品ということでした。
で、こちらも、しっかり、スタインウェイ。
フルコンサートでなく、グランドとしてはミディアムサイズでしたが、もし値段がつくなら、スタインウェイでもありますし、さらに、そういう記念のピアノでもあることから、一千万くらいにはなるでしょう、とのことでした。
この、美しい二台・・・ピアノの音としては、今の耳で聴きますと、正直、難しいものがありました。分離がいまひとつで、コード感がでないのです。勿論、当時創られたクラシックを弾くのなら、それがドンピシャであると思いますし(といっても百年ほど前のものでありますから、モーツアルトとかベートーベンとか、そもそも、そういう時代のピアノではないのですよね)、味わいがあると思いますし、そもそも、昔の曲は、こういう音で作られていたのかもしれません。
ただ、このピアノで弾ける曲、というのを選ぶ音だと思いますし、オールマイティでは決してないんですよね。
でも、自宅のリビングにどーんとあったら、・・・これは、かっこいいでしょうねえ(笑)。
日本の誇るブランド。こちらだけは新品でした。なので、まだまだ、これからのピアノという感じでした。
ピアノは、・・・いえ、勿論、新品の良さもあるのかもしれませんが、僕は、中古、というか、こなれたものを買うなあ、と思いました。
そういうものなのだそうです。
こちらは、ウェンドル&ラングという新しいメーカーのものです。これも、なかなか特殊な音でした。
特殊というと、アレですが、
つまり、試行錯誤の最中、という感じでしょうか。
そして、ベーゼン(ドルファー)。
700万円ほどのミドルグランドでしたが、
・・・完全に確立してるわけですよ、ベーゼンの世界というものを。
重心の低い音。
マイナーコードが、それの本質を表現するには、こういう、泣ける音で鳴ってくれるピアノなのかもしれません。
ただ、これもオールマイティーではない。
このベーゼンで、ラグタイムや、ブルーズは、
多分、似合わないのかも、と思いました。
ただ、このような昼間のショールームではなくて、・・・夜。
しかも、例えば、しとしとと冷たい雨の振りそぼる夜、薄暗く照明を落とした部屋で、
一人これを弾く時間というものが持てるのだとしたら、
これは、
・・・至福だと思いますよ。
ベーゼンは、やっぱり、凄い。
・・・僕がカワイの音に惹かれるのは、ちょっとベーゼンのイメージとかぶるところがあるからなんです。
この日にもカワイのピアノはあったのですが(K KAWAIブランドのもの)、鍵盤がロックされていて、弾くことはできませんでした。
お願いすれば弾けたのでしょうけれども、これに関しては、僕は分かる気がして「あ、いいです。これは、また今度弾かせてください」と、試奏はしませんでした。
今度、是非。
そして、
やっぱり、スタインウェイ。
この漆黒の個体、とてもコンディションが良く、まったくもって、スタジオ・クオリティ。
つまり、レコーディング・スタジオに置いてあるスタインウェイと、同じ音がしてました。
ただ、これは、どういうことかと言いますと、
「ここから始める、最上級の音」
ということなんです。
このピアノに、エンジニアさんのお気に入りのマイクを立てて(選択できるマイクの種類も沢山あります。録音できる音のキャラクターも違います)、昆布、じゃない、コンプなどのエフェクターで音を整えて、それで、モニターから返ってくる音は、間違いなく、あの「スタインウェイの音」。
そういうシーンがはっきりとわかる、そういうピアノでした。調律師さんに伺ったら、「そういうことです。これはまさに、レコーディング・スタジオ・クオリティですよ」
・・・いや、本当にいいピアノです。
上も下も、とってもふくよかで、とってもレンジが広くて、そもそも、音質が良くて。
なんといっても、声が綺麗、
そんな感じでしょうか。
ここから始められるなら、色んなことができるでしょう。
・・・ただ。
こちらの、スタインウェイ。
これが、超絶でした。
僕の印象。
さっきのは、まさに「レコーディング・スタジオ・クオリティ」
そして、このスタインウェイは、
「このまま、レコードで聴ける音」
だったのです。
つまり、
…つまり、そういうことでして、
エンジニアさんが何か手を加える必要もなく、
ただただ、このピアノを弾くだけで、
目の前に、レコードやCDで聴いている、あの音が、鳴るんです。
僕の中では、キース(ジャレット)の愛用のニューヨーク・スタインウェイの音に、とっても近く感じたのです。
勿論、キースのピアノを弾いたことなぞありません。
でも、彼のCDを何十枚も聴いていると、キースの(好きな)音色、というものが、おぼろげながらでも、感じられるような気がするんです。
そして、このピアノは、
それに、とっても、近かった。
調律師さんにそうお話しましたら、
「これは、奇跡的に古いパーツが見つかりましてね、普通は、弦とか、ハンマーとか、ちょっとした部品とか、何かしら現代に作られたものを使うしかないのですが、これは、古いパーツだけ、完全に、それだけで組み上げたスタインウェイなんです。」
と。
しかも、この色(黒が普通)のスタインウェイで、こんな音が鳴るのは、本当に珍しいのだそうです。
お値段は・・・、
まあ、お値段じゃないかもしれません、これは。
いくらなら高い、安い、とかいう俗なことじゃなく・・・、
耳にしたい音といのは、
耳にしたい音楽というものは、
というような本質論にまでなってしまいそうな。
嗚呼。
もしも、こんなピアノが家にあったなら。
えー、
毎晩、この下で寝たいです。
というのは
寝相の問題で、危ないので、上ってわけにもいかないので。
じゃなく(笑)、
一番近くに、居たいです。
・・・いたい、って、
僕が、痛いですかね(笑)。
ではー。