ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




花がとっても綺麗な季節ですね。

色々な花があちことで咲いていますが、

僕は、小さな花が、わさわさーって、集まって咲いているのが大好きです

 

大勢で集まって、一生懸命咲いている。

小さな花だから、一輪だけでは寂しく思えることもありますが、ふたつ、みっつ、よっつ、と集まって、

何十、何百、時には何千と集まって咲くから、時には大地一面の色まで変えてしまうほど。

 

何年も生きるような大きな木にはなれないし、

ほんの僅かな時間だけれど、

でも、一生懸命、咲く。

 

花は散るから、美しい。

いつか必ず枯れるからこそ、今が、愛おしい。

 

そして、ぱっと見、どれも同じ花に見えますが、

きっと、同じ花は無くて、ちょっとづつ、大きさや色味なんかに、微妙な違いがあるのでしょうね。

犬氏や猫氏、熱帯魚や金魚とかだって、飼っている人にはどの子もちゃんと区別がつくように、

こうして集まって咲いている花のどれにも、きっと色々な個性があったりして。

 

先日のツアー中、福岡公演の前日、映画を観ました

安全地帯ベースの六土さんと、ドラムスの田中さんと三人で観たのですが、なんと、劇場には僕たち三人だけ

そして、上映直前になってお一人、入ってきたのですが、その方が、これまたツアースタッフの照明さんでして、この四人で、貸し切りで観たのです

 

アメリカの、ジャーニーという、バンドの物語。

さほど、大きな話題になった映画ではありませんでした。

僕が「こんな映画があるんですが」とお知らせするまで、田中さんも、音楽関係では凄い情報通の六土さんも、どうやらご存じなかったのです。

上映期間も、その時で、残り二日間というもので、「観ておこう」ということになったのです。

 

ジャーニーというのは、80年代にアメリカで大ヒットを連発した、結成40周年にもなる、有名なバンドです。

音楽好き、特にロック好きの方であれば、必ず一曲や二曲は知っていると思いますし、僕も高校生の頃にコピーをしたこともあります。

 

有名な曲も多く、CMやドラマなどでも良く流れるので、例えば、

OPEN ARMS」・・・彼らの曲の中でも人気の高い、超有名なバラードです。

Separate Ways」・・・全米1位になったハード路線の大ヒットナンバーですが、PVの出来の“あまりの酷さ”で(笑)、MTVで、「最も酷いPV」に選ばれたことがある曲です。ほんと、曲はかっこいいのに、なんでこんなあんまりなPVにしたのだろうか・・・。イントロのシンセの音が弾かれた、僕の大好きなシンセ、JUPITER-8が出てくるのは嬉しいですけど・・・。・・・か、壁に貼りついているし・・・。メンバの出て来かたとか、もうほんと・・・(笑)。

そして、この「Dont Stop Believing」。僕の大好きな(切ないけどね)映画、シャリーズ・セロン(たぶん、知らないと彼女とは気付かないほど太り、また、凄まじいメイクでの熱演が凄かった・・・)とクリスティ-ナ・リッチの共演の「モンスター」のテーマソングでもありました。

 

さて、肝心のこの映画は、・・・脱退してしまったスティーブ・ペリーという、伝説的に歌の上手なボーカリストの後任として、なんと、メンバーがYouTubeで探し当てたのが、フィリピンの40歳の歌手、アーネル・ピネダ。

しかし、その歌声が、もうまるで、スティーブ・ぺりーに瓜二つなんですね。耳を閉じて聴いていたら、もしかしたら区別がつかないくらいの、歌声なんです。

 

ホームレスをしていたような、本当に無名のアーネルの歌声を信じ続けた彼の友人が、YouTubeに、彼の動画(仕事で、色々なバンドのコピーを歌ったもの)をアップし続けていたのですが、それが、ボーカリストを探していたジャーニーのメンバーの目にとまり、

「本物のジャーニーで歌わないか」

というメールが、アメリカのジャーニーのメンバーから直接送られて来て(アーネル、最初は信じなかったそうです。普通、そうですよね(笑))、そして、渡米。

 

バンド側も「ところで、奴は英語は話せるのか・・・」というような手さぐりの状態でのオーディション、そして、見事合格しての、いきなりの全米ツアー、そして、アーネルの母国、フィリピンへの凱旋公演。

貧乏のどん底で、でも夢を諦めずに、細々とでも、一生懸命歌っていた歌手が、アメリカのビッグバンドにメンバーとして加入して、凱旋公演では、フィリピンの大統領に“国民的スター”として招かれるシーンなんて、本当に夢物語のようです。

 

下記のサイトで、予告編だけでも、よろしかったら。

「ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン」公式サイト

http://journey-movie.jp/

 

アーネルの、スターになっても決しておごらない、謙虚な人間性に惹かれました。

また、この映画には、色々な観方がありました。

 

超ビッグなバンドに加入という、まさにアメリカンドリームでありながら、

ファンから“スティーブペリーそのままの歌”を歌うことを要求されることになった、ボーカリスト。

凄まじいハイトーン。

CDそのままの、完璧なピッチ、表現力。

これを、この先、永遠に求め続けられるのです。

これは、大変なことです。

 

初めてジャーニーのメンバーとしてステージに上がる直前には、

頭が真っ白になって「ねえ、やっぱり家に帰ってもいいかな?」って本気で言ったそうですから。

なんか、レベルは違うかもしれませんが、こういうのって、気持ちがわかるんですよね・・・。

 

・・・しかし、映画の中のアーネルは、笑顔でとっても真摯にインタビューに答え(またこの笑顔がいいんですよ・・・)、

ファンにも一生懸命サービスをし、ステージではメンバーの要求以上の熱演をして、素晴らしい歌を歌って、

過酷なツアー(全米ツアーは何か月もの連続バス移動)をしながらも、いつもフィリピンの家族を心から大切にして、

そして、自分を信じて、守って、必死にくらいついて生きている姿に、僕は、とっても感動したのですよ。

 

一人の、どこまでも信じることを諦めなかったミュージシャンの、とんでもないサクセスストーリーではありますが、

でも同時に、ただただ、やはり成功というのは、全てを手放しで喜べるような簡単なものではなくて、

・・・でも、やっぱり人間の力というものが、ここでは音楽を通してですが、ゴツンと胸を打つ、素晴らしい映画でした。

まだ、DVDになるのは先だと思いますので、まずは、予告編だけでも、ご覧になられてみてくださいね

 

映画を観た後、六土さんと田中さんと「素晴らしかったですねえ」と、感想を言い合って、

そして、もつ鍋を食べに行ったのでした。

勿論こちらも「素晴らしかったですねえ」・・・という(笑)。

 

ではー。



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