
今日は・・・いつにもまして、長いです(笑)。すみません。
今日は柑橘系二人組の演奏旅行「幅の細いひも状の織物」の音声付映像円盤が発売に・・・ええぃ、まどろっこしい(笑)。いよいよ、ゆずのツアー「リボン」のDVDがリリースされましたね。なんだか昨日のうちに、もうご覧になった方もいらっしゃるようですね。発売日って今日じゃないのん(笑)
?
さて、とんでもない大雪に見舞われた1月の埼玉スーパーアリーナでの本番初日から、5月末まで、全38本という、柑橘系史上でも最も長かったという特大アリーナツアーでした。僕が参加させてもらった柑橘系のライブDVDも「すみれ」「スマイル」「夢の地図」「1~ONE~」「GO HOME」に続いてなんと6作品目になりました
。
こうして将来、老人ホームの談話室の片隅で「わしゃあこれでも若い頃は、ほんに大勢の人たちの前でな、ぴあのを弾いたり、飛び跳ねたりしておったんじゃよ。」とささやかな自慢話をする時の証拠がまたひとつ、カタチになったわけです(笑)。
えー、この「リボン」ツアーでは、今までには無かったことがひとつ、ありました。それは、参加された方は憶えていらっしゃるかと思いますが、あの、ちょっとしたピアノソロのシーンなんです。
DVDではトラック上「しんしん」のエンディング付近でご覧いただける、照明と雪の演出のキレイなシーンなんですが、今日のシワシワの写真は、あのピアノソロに大いに関係がある写真なんです。
ツアーが始まっても曲順が変わることがあるんですが、何箇所かはリハの初期段階で決まってしまい、ツアー最後まで固定される場所があるんです。「ここはこの流れで決定でしょう。」みたいな感じですね。今回も最初から決まっていた箇所の一つが、「しんしん」~「青」、という流れでした。「曲間で雪を降らせたいんだ。だからそこにピアノで何か『つなぎ』を作ってもらって、そのまま青のアタマも今回ピアノでそっと歌いたいんだよね。」というアイデアがリーダー、バスケ君の頭にあったんです。
「おっしゃまかしときー。で、どのくらいの長さ?」「うーん、15秒から20秒ってとこかなー」「おっけー。じゃー・・・こんなのは、どお?」と、その場で即興で「つなぎ」を考えて弾いてみました。「あ、いいじゃん。いい感じ。じゃそれでいこう。」と、スムーズに決まりました。「つなぎ」は一人ぼっちだし、慣れるまでは少し緊張もするけど、もうフレーズは決定したし、まぁ一安心。まだリハも一ヶ月あるしね。あとは、それ以外の箇所やら曲を煮詰めて、いよいよ長いリハの最終日を終え、ちょいと2日間だけ、お休み。そして、いよいよ埼玉スーパーアリーナでのゲネプロ(実際に会場で本番同然にやる最終リハーサル)、そしてそのまますぐに本番初日を迎えるのみとなりました。
その休みの初日。リハの疲れもあって、かなりゆっくり目に起きて、夕方パソコンを開くと、舞台演出の笹川さんから、一通のメールが届いていました
。
「急な話なんですが、ゆずがあそこで一旦舞台下に下がり、着替えをすることになりました。なので例の『つなぎ』の尺(長さ)を、伸ばしておいて下さい。よろしくお願いします。」
「はい?」目を疑いました(笑)。今だから『(笑)』とか付けていられるけど、あの時は本当に「うそーまじかいやーどーすんのさーなんだよーいまさらー
」と結構眉間にシワ寄せてパチクリしたんですよ(笑)。すぐに笹川さんに電話をして「な、何秒くらい必要なんですか?」と訊ねると、
「うーん、リフターの上下のスピードだけで読むなら50秒ってとこだけど、汗かいてて衣装が脱ぎ辛かったりもするだろうからねー。まーざっと70秒かなー。」
70秒って、今までの3倍以上じゃないですか
。そして、それにしてもまた微妙ーな数字。「わ、わかりました。イメージは?」「雪が降るから、『白』でよろしく。」「『白』で70秒ですね。」「うん。出来次第、録音してメールで送ってくれるかな?」「はい。」
こんなやり取りがありまして、急遽、ピアノソロ、作りなおし。それまで弾いていたモチーフの使い回しでは、かなりゆっくり弾いても、二回繰り返しても、40秒が限度でした。だみだこりゃ。なので、諦めて、一から作り直しです。明後日はもうゲネプロ、そしてその翌日は、1万8千人の前で、本番・・・
。間に合うんかいな。
色々トライしましたが、イマイチぱっとせず、夜になり、さすがにピアノの前で長いこと腕を組んでいました。こういう時って、焦れば焦るほど、ロクなアイデアが出てこないもんなんですよね。あとダラダラやってるのも、ダメみたいで。なのでこうなったら、自分を信じて、短期集中。ピアノに触るのは、「見えて」から。ワンチャンスだと思ってやろう。「雪、白、70秒、雪、白、70秒・・・。」
「・・・み、見えてこん
。」
そう都合良くはいきませんよ
。だめなものは、だめで(笑)。もう一旦諦めて、気分転換がてら、パソコンに向かってみました。なにか、もっと具体的な、視覚的なイメージに頼ろうと思ったんです。そして、ネットでキレイな写真や壁紙をツラツラと眺めていて、ふと出逢ったのが、この雪の夜の、月と木と星の写真。
「これだぁ・・・。」
その写真をじーっと見つめながら、やがて頭の中で少しずつ鳴り出したメロディーを、ひとつひとつ紡ぎます。半分ほどがはっきり見えたところで、ピアノに向かいます。頭で鳴っていた前半の部分を弾き終えると、あとは折り返すように自然と後半のパートが浮かんできて、指が勝手に鍵盤を選んで、弾いていました。「うん、なんか、できたくさい
。」
録音してみると、ジャスト70秒。既に会場で舞台設営に入っている笹川さんに「出来ました。今から送ります」とメールに添付、返事を待つこと2時間ほど。「いいと思うよ。今、現場でこれ流しながら照明も入れて確認してみたんだけどちゃんと雪が、絵が見えてくるよ。あとはゆずに聴いてもらおう。」「はい。」ふぃ~、まずはホッと一息~。って、でもこれ、OKだとして、38回も生で弾くんだよなー、さすがにこれは一音でも間違えたりしたら、大事(おおごと)だなー
。しっかり集中せなー。
そして、ゲネプロ当日。ここで、初めて柑橘系の二人に初お披露目。もう、翌日は本番ですからね、「イマイチ」とか言われたら、さて、どーしましょっかねー(汗)、と思いながらも、なんとか弾ききりました。おそるおそる二人の顔を見ると、「あー、おれ好きだなー。」とバスケ君。横で笑顔で大きく頷くサブリーダー麦芽くん。
クリアー(笑)。
写真を縮小してプリントアウト。あの出来た時の気持ちを忘れないように、変に慣れてしまって、上っ面だけの演奏にならないように・・・MP9000の見えるところに張って、毎回、弾く前には数秒間、じっと見つめて集中してから、弾いて。
まぁ、それでも生ものですから、38回、出来、不出来とまでは言いませんが、毎回ニュアンスが微妙には違ってましたねー(笑)。間違えることだけは無く終えましたが、「よっしゃこれだーっ。」って日もあり、「う、なんか微妙な気持ち。」って日もありました。DVDの収録があった日のは・・・まぁそのご判断はリスナーの方々にお任せしましょう(笑)。しかし、もっとピアノ上手になりたいなぁ。
そうそう、ピアノソロパート自体は今までにもありました。じゃあなにが、「今回無かったこと」だったのかって言いますと。僕がピアノを弾いている間ね、主役の二人が、ステージ上に居ないんですよ。なのであの時間は、弾いている僕と、じっと聞いていてくれてるスタドのメンバーと、お客さんだけの空間だったんです(笑)。でもね、38回、毎回シーンとしててね、じっと聴いてくれてましたね。ただの一度も、本当に咳払いの一つも、聞こえてこなかったと記憶しています。自分の音が、あんなに大きな会場で、お客さん達の上に、雪と一緒になってすーっと降り積もっていくような、そんな錯覚を、覚えました。
よかった。カットされなくて(笑)。カットされてたら、この話、老人ホームで出来ないじゃんね。
ではー。