怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

岡崎良介「野生の経済学で読み解く投資の最適解」

2024-08-18 13:50:16 | 
毎週マーケットアナライズを見ているので、おなじみの岡崎良介さん。
今まであまり本を書いていないのですが、満を持して今回執筆しました。
その理由は2022年にいよいよ日本がデフレを脱却してインフレ時代になったから。

日本がインフレ時代になったと判断した理由は4つ
・海外からのインフレは3年かけて届く。
・賃金のデフレ圧力はとまった。
・日本の製造業労働力は国際競争力を持っている。
・日本の住宅不動産価格は上昇トレンドに入った。
それぞれの詳細については読んでいただければいいのだが、賃金についてだけここに書いてみます。日本の労働者数の推移を見ると団塊の世代と団塊の世代ジュニアが大きなウエイトを占めている。その団塊の世代も70歳を超えリタイアしだしている。年功賃金のピークは50~55歳なのだが60歳を過ぎると給与水準は大きく下がる。団塊の世代が55歳を過ぎるころから全体の賃金は下がり続け賃金デフレの原因となってきた。団塊の世代のリタイアとともに相対的に安い労働者が減り供給過剰は解消されるとともに若年労働者不足は賃金の上昇圧力となってくる。それでも国際的に見れば日本の賃金水準は低くなっていて製造業労働力は国際競争力が高く、日本での投資を呼び込めるようになってきた。
う~ん、デフレの大きな要因は、歪な人口構成にあったとは。少子高齢化の中で退職した団塊の世代を安いコストで再雇用することによって賃金水準を下げていたことがデフレ圧力となり物価と賃金の好循環を阻止していたのか。
ここからアメリカのFRBの金融政策を論じているのですが、リーマンショックによって引き起こされた金融危機に対してゼロ金利政策でも効果が出ず、苦し紛れとも言える量的緩和とフォワードガイダンスが取られた。量的緩和は緊急避難的な政策で経済の正常化とともに修正されるのだが、フォワードガイダンスは金融政策を大きく変えることなった。
FRPの金融政策の目標は「物価の安定」と「雇用の最大化」なのだが、政策判断にあったては、マネーサプライ、金利、実体経済の3面から総合判断してきた。ところが金融危機によるデフレに際しては成す手無し。そこで「2%インフレ目標」を明示しフォワードガイダンス政策が登場。2%のインフレが目標として明確になったのでFRPとしてはこの水準を長期的かつ安定的に維持することを目指して職務を遂行します。フォワードガイダンスとは政策金利が長期にわたって低水準にとどめおかれるのだと言う強いメッセージの提示であり、その狙いはFRBのコミットメントを市場のみならず世界の人々に理解してもらい冷え切った投資家、消費者のマインドを何とか緩和させようとするもの。具体的には将来の経済見通しとそれに対して金融政策が進もうとしている道筋を明確に示すことです。FОМCメンバー全員の成長率見通し、失業率見通し、インフレ率見通し、政策金利見通しを公開し、ドットチャートとよばれるグラフに表され市場を先導していくことになったのです。
ドットチャートというのは岡崎さんの番組で最近よく聞くようになったのですが、そういうことだったのか。
これによって金融市場の不確実性がなくなり、必要以上の不安感をなくし、投資のコストを低下させていった。
翻って日本の金融政策を見てみるとゼロ金利政策とYCC政策は歪が出て来て最早修正必至の状況となって、黒田総裁から植田総裁への交代となる。デフレからの脱却はしつつありインフレ時代へと転換していく中で正常化へと動いているのですが、岡崎さんが強調しているのはFRPのフォワードガイダンスのように、日本銀行は市場と国民に「合理性」を伝えていくことが大切と言ってます。黒田日銀はサプライズが中心の政策発動だったのですが、そんなものは一時的な子供だましの政策で、日本銀行の見通しの確立、中立金利の設定を急ぐべきとのこと。
先日すこし金利を上げただけでか為替が大幅に円高に振れ株価が大暴落、これは日銀の説明下手の側面もありますが、フォワードガイダンスとは程遠い政策透明性の欠如から。巷間植田ショックと言われていますが、理を尽くして説明したとは思えなかった。今回は直近の経済状態から利上げはないだろうと言う観測もあったのですが、サプライズ的利上げ実施とかつ植田総裁のハト派的の今までのスタンスからの記者会見での予想外のタカ派的発言。
今は投機筋が何かあると反応過剰で大きく市場が乱高下することが往々にしてあるので、岡崎さんに言わせるとだからこそフォワードガイダンスが大切だとなるのでしょう。多分利上げの方向性は間違っていなかったのだろうけど説明下手に歯噛みしているのでは。
もっとも今回の利上げは過剰な円安阻止のため政治(うわさでは河野大臣や茂木幹事長から)強く利上げを求められた面があると言うのだが、その後の市場の混乱により副総裁が慌てて修正する体たらくは日銀の政策自由度を大きく制約してしまう。今後に金融政策がどうなっていくのか、これは岡崎さんのシナリオではどうなるのでしょうか。
ちなみに現下の状況では為替対応は日銀の仕事では無く政府の仕事。インフレ弱者に対する政策も当然政府の仕事で日銀の政策を縛ってはいけない。
この本では日本の金融施策と日本株投資へのガイダンスを書いてありますけど、具体的な推奨分野、推奨個別株については触れられていません。大きな方向性とは違って短期市場は景気循環の中で動いて行くので、この本を読んで自分で考えて下さい。



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