怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

本郷和人「ざんねんな日本史」・野間宏「親鸞」・なだいなだ「三言で言えば」

2021-06-18 06:49:19 | 
最近は家に引きこもる日々が多いので、結構BSで歴史番組を見ることが多い。
磯田さんとか千田さんが常連でしょっちゅう見るのですが、本郷和人さんの出演も結構多い。中世が専門みたいですが、とかく面白そうな物語的な議論が多い中で一次資料に基づく文献的裏付けによる知識は傾聴に値するものです。
と言うことでこの「ざんねんな日本史」を読んでみたのですが、ちょっと期待外れかな。

古代から明治までの著名人三十数人の事績を概観して、その後に残念な面を披露しているのですが、売りはその人のあまり知られていない残念な側面。でも歴史マニアと言うほどでもないのですが、それなりに歴史ものを見たり読んだりしているので、あまり目から鱗と言うことはなくて聞いたことのある様な事ばかり。資料的な裏付けはどうなっているかも詳述されていなくて、まあ、歴史こぼれ話的な話のタネを書いたもの?
雑誌の連載だったので一般人向けに歴史に興味を持ってもらおうと軽い気持ちで書いたのでしょうが、ちょっと物足りないのが正直な感想。でも暇つぶしに寝っ転がって読むにはちょうどいいので、これを呼んだ後に同じ趣向の「失敗の日本史」を予約してしまいました。予約待ちがあるのでそれなりに評判よくて需要があると言うことでしょう。
読み直しで少し硬い本をと、野間宏の「親鸞」を読んだのですが、これは硬すぎて難しい。大学時代に読んだ本ですが、当時岩波新書はいくらだったのか。親鸞と言えば「歎異抄」なのですが、これは唯円が親鸞の言葉を書き留めまとめたもの。親鸞自身が心血を注いで書いたのは「教行信証」なのですが、野間宏によると「教行信証」こそ末世の時代生きる一切の人々の救いの可能性を見出すための理論書であり、専修念仏門を弾圧する既存仏教(その理論は興福寺奏状としてまとめられる)に対する反論の書という目的があったということです。そのため親鸞は手に届く限りのあらゆる経典を集めて比較検討している。実際、教行信証の中の多くが経典の引用であり注釈であり、一般人にはまことに読みにくい。前段階としての仏教の素養がないので野間宏の本を読んでもさっぱり理解できない。思うに浄土真宗が信徒を拡大し教団として力を持つためには、「歎異抄」が必要だったろうし、さらに言えば一般大衆にもよくわかる俗な言葉で優しく語りかける蓮如の登場がなければならなかったのだろう。もっとも教団を組織して拡大することが親鸞の願っていたことかどうかはちょっと疑問なのだが。とにかく学生時代ではさっぱりわからないまま読んだのだろうし、今読んでも正直よく分からずに無理無理読んだ気分でした。
もう少し読みやすいのはないだろうかと、もう1冊本棚から取り出して、なだいなだの「三言で言えば」。1970年から1980年に書かれたものをまとめたものですが、文章に当時の時代の雰囲気が出ています。感情に流されることなく、やたらと理屈っぽいし、理屈っぽ過ぎて詭弁を弄しているようなところもあるのですが、この理屈っぽいところに当時は魅了されていて、なだいなだの書いたものはかなり読んだ覚えです。自分の理屈っぽく詭弁を弄するようなところは、なだいなだに青春の一時期心酔し影響を受けた面が大きいかと改めて読み直して思う次第です。これって私の反省すべきいやな面かなと思うとなだいなだは罪作りな人じゃのう。ところで、これは理屈をこねたではないのですが、今回読み直して妙に感心したところは「そもそも人間は生きがいを持っているから生きているのではない。生きる意欲を失い始めた時、生きがいのことを感じ始めるのだ。この点では個人でも社会でも、同じことだ。」と断言してあること。生きがいとは見方の問題で、与えたり奪ったりすることのできるものではないと言う。コロナ禍でなすすべもなく引き籠っていると自分の人生これでいいかと生きがいとか生きる意味とか考える今日この頃なのだが、やっぱり心身ともに弱っているかも。改めて読み直すと今でも通用する箴言がいっぱいある気がします。


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1 コメント

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Unknown (Ponn)
2021-07-01 00:10:24
フフフ…自分でも理屈っぽいと自覚してたのね。まぁ、そこが「らしさ」で良いとも思うのですが…生きがい云々は、うんうんと共感しました。
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