く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ミソハギ(禊萩)> 直立した茎にハギに似た赤紫の小花を穂状に

2013年08月02日 | 花の四季

【お盆に供えるため「盆花」「精霊花」とも】

 日当たりのいい水辺や湿地に自生するミソハギ科の多年草。花期は6~9月と長く、盆の頃に最盛期を迎える。ミソハギは「禊萩(みそぎはぎ)」が詰まったものといわれる。盆のお供え物に水をかけて清めるのに、この花穂を用いたことに由来するという。一方で、湿地を好むことから「溝萩(みぞはぎ)」が転じたとの説もある。

 墓や仏前に供えられるため「盆花」や「精霊花」とも呼ばれる。かつては供花用として人家の周辺でもよく栽培されたという。花穂の姿をネズミの尻尾に見立てて「鼠尾草(そびそう)」という異名もある。ハギに似た赤紫の小花を穂状に付けためミソハギの名があるが、秋の七草のハギはマメ科で全く別の植物。近縁種にエゾミソハギやヒメミソハギがある。エゾミソハギは葉や茎に毛が生えているのが特徴。ヒメミソハギは1年草で草丈が低い。

 ミソハギの仲間は繁殖力が強い。だが、国内では湿地の減少などに伴って群生地も減少傾向。ミソハギは山梨県で絶滅の危険性が高い絶滅危惧Ⅰ類、鹿児島県でも同Ⅱ類に指定されている。エゾミソハギは東京都で絶滅し、山梨、埼玉、三重、兵庫、徳島の各県で絶滅危惧Ⅰ類になっている。このエゾミソハギは一方で北半球全域に分布域を広げており、国際自然保護連合(IUCN)の種の保全委員会からは「世界の侵略的外来種ワースト100」の1つに選ばれている。

 ミソハギは湿地に群生し一帯を紅紫に染め上げる。だが、花穂1つ1つを見るとどこか控えめで、寂しげな雰囲気も漂う。「盆花」「精霊花」という別名がそう思わせるのだろうか。童謡詩人・金子みすゞはそんなミソハギの佇まいを『みそはぎ』という詩に詠んだ。「ながれの岸のみそはぎは、誰も知らない花でした。ながれの水ははるばると、とおくの海へゆきました。大きな、大きな、大海で、小さな、小さな、一しずく、誰も、知らないみそはぎを、いつもおもって居りました。それは、さみしいみそはぎの、花からこぼれた露でした。」

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