く~にゃん雑記帳

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<天理大学付属天理参考館> 企画展「精霊との出会い」西部ニューギニアの精霊崇拝を紹介

2013年08月10日 | メモ

【埼玉県鶴ケ島市から寄贈の465点から77点を展示】

 インドネシアに属するニューギニア島の西部、パプア州の先住民族の精霊像に焦点を当てた企画展が天理大学付属天理参考館(奈良県天理市)で開かれている。埼玉県鶴ケ島市から寄贈を受けた「オセアニア民族造形美術品」465点の一部で、企画展のタイトルは「精霊との出会い インドネシア・パプア州先住民 神々のかたち」。あらゆるものに霊が宿るというアニミズム信仰の一端を垣間見ることができる。9月2日まで。

  

 企画展の会場は3階だが、1階入り口に「ビスポール」と呼ぶ背の高い木柱像(写真㊧)が4本並ぶ。村の重要な人物や勇敢な戦士が亡くなると、死者の霊魂を表す木彫りの像を建てる。熱帯広葉樹に彫刻を施したもので〝板根〟を上にして上下逆さま。死後も存続すると信じられる祖霊や精霊が天空から地上に降りてくる様を表しているという。

 「ジバエ」や「バネンバル」(写真㊨)と呼ばれる被り面は死者の霊魂を鎮める仮面儀礼で使う。木の皮の繊維や藤紐を編んだもので、年長者や近親者が全身を覆い隠すようにすっぽり被る。ヒクイドリの動きをまねて踊ったり、死んだように動かなくなったりするそうだ。ヒクイドリは西方にある祖霊の世界へ旅を続けるとされる。

 

 首狩りの遠征用に使われたというカヌー(上の写真)も展示されている。カヌーは一般的に長さが7~10mある丸太舟で、舳先を蹲踞の姿勢の祖霊像やカマキリ、サイチョウ、オウムなどの彫り物が飾る。このカヌーは死者の霊魂を祖先の国に運ぶ「霊魂の舟・ブラモン」ともみなされているそうだ。

 「エマツェ」と呼ぶパプア州アスマット地方の戦闘用の楯(下の写真㊧)は高さが1.5~2m、重さが3~4キロあり世界でも最大規模。部族間の闘争に備え、楯に霊力を吹き込む〝楯祭り〟に合わせて作られた。その霊力で敵を威嚇するのが狙いだが、楯上部に彫刻された祖霊像は笑顔を浮かべたり腰掛けてリラックスしたり。その姿は実にユーモラスだ。

   

 動物が持つ特殊な能力にあやかりたいという思いからか、「樹皮布絵画」(写真㊨)にはトカゲやヘビなどをモチーフに様々な動物が描かれている。ただ正体不明の〝霊獣〟も多い。砂時計形の大きな太鼓「エム」や木彫りの食器、枕などにも人や鳥、亀などさまざまな精霊が彫り込まれている。

 ところで、これらの造形美術品が遠い埼玉県鶴ケ島市からなぜ天理参考館に? その経緯を知りたいと帰りに窓口の担当者に伺った。それによると、収集家からまず鶴ケ島市に寄贈され、さらに市から海外の民俗資料研究施設を持つ早稲田、南山、天理の3つの大学に数百点ずつ寄贈されたということだった。

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