【ふぐ料理宅配「ふく太郎本部」のふぐ刺し用の絵皿だった】
この夏、北九州市に帰省し門司区を歩いていた時の話。暑さにたまりかねコンビニで清涼飲料を買って、店の前で周りを見渡しながら飲んでいると――。右手にアンビリバボーの光景。ビルの真正面に大きくてきれいなお皿のようなものがずら~と並んでいるのだ。
近づいてみると、お皿の直径は30cmほどもあり、様々な図柄があってどれも美しい。それが縦に3枚、横に33列、合計99枚も並ぶ。まさに壮観! 見上げるとビルの側面に「ふく太郎本部」とあった。関門地域では「ふぐ」が「福」に通じるとして「ふく」と呼ぶ習慣がある。絵皿が並ぶのは来客用の駐車場の真ん前。「あっ、そうか。ふぐ料理店を展開する会社がPRのためにこんな奇抜なアイデアを思いついたのだろう」。そう心の中で納得した!
後日、念のため電話でその狙いなどを伺ってみた。その結果、2007年にこの本部ビルができると同時に絵皿を展示したこと、発案者は創業者で現会長の古川順一さんだったことが分かった。さらに、絵皿展示の意外な理由も判明した。後ろに工場の室外機があり見映えが悪い。そのため室外機を隠すと同時に騒音で隣近所に迷惑をかけないための防音の役割も果たしているというのだ。
HPによると「ふく太郎本部」は30年前の1983年に全国で初めてふぐ料理の宅配をシステム化した。ふぐの身がボタンの花びらのように美しく開く「古式引き」という独自の調理方法が売り物。工場は食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハセップ)」の認証を業界で初めて取得している。今ではアンテナショップも兼ねて小倉と東京・銀座にふぐ料理専門店を開いており、今年7月には「北九州オンリーワン企業」の特別賞を受賞した。
絵皿はほぼ毎年、社内でデザインを検討し各地の焼き物産地に作ってもらっているという。展示されている絵皿は宅配用にこれまでに作った有田焼や美濃焼などだった。ふぐ料理のフルコースの注文があれば、絵皿にふぐ刺しを盛り付けて宅配する。絵皿は返却無用。購入したお客さんのものになる。見映えがいいことが受けて、自家需要のほか贈答需要も多いそうだ。
それにしても宅配で本格的な焼き物を使うとは! 少々もったいないような気もするが、現社長・古川幸弘さんのブログのつぶやきで納得した。社内で検査した結果、ふぐ刺しをプラスチックの皿に盛るのに比べると、陶器皿の方が温度が安定して味が劣化しにくいという。焼き物の採用は単に見映えだけではなかったのだ。ふぐ料理の世界もなかなか奥が深い!