こんにちは。
販促経営コンサルタント、藤田です。
本日は2回目の投稿です。
このカテゴリーは基本的にフィクションです。
販促経営コンサルタントの本田というわたしの分身を登場させて、様々な経営再生の様子を描写していきます。
内容はフィクションですので、モデルそのものはありませんが、実際に自分が経験したことも混じっていますので、これを読むあなたにもずいぶんと参考になることが出てくると思います。
あなたの経営改善のヒントにご自由にお使いください。
(なお配信は原則毎週1回水曜日にと思っていますが、基本的にランダム配信です)
「ある料亭の再生物語 <第2部>(その2)」
「千樹は千樹としてお客様に尽くしたいというのは、いいんです。それが当たり前のことです。しかしお客様には迎合しないで、千樹というお店はこういうお店なんです。その千樹の千樹らしいところを気に入っていただけるお客様には精いっぱいみんなでサービスしますが、このようにした方がいいんじゃないかというお客さんの意見を取り入れていたら、千樹が千樹でなくなってしまうかもしれないんです。あくまで千樹は千樹として毅然とあってほしいんです、私は」
「コンサルタントってみんなそんなこと言うの?」と女将は、本田の言葉にいぶかしんだ。
どっちが千樹の経営者か判らないほどだった。
「いえ、たいていのコンサルタントなら、千樹を存続させるというよりも、その経営を優先させるでしょうね。形を変えて会社の存続を図るというのが普通ですからね。料亭が料亭でなくなってしまっても、会社は存続するという形ですね。その方が思い切ったことを提案できますし、コンサルタントの腕の見せどころというところもありますから」
「そうよねえ、普通は。だから最初私はコンサルタントが入るなんて嫌だったの」
「私もそう思っていました、女将さん」
板長が女将に言った。
「私は本田さんがそういう人だったら、頼んでいなかった」と社長が言った。
「私は依頼されたところのお店のかたちというんですか、その元のかたちはあまり変えずに、そのいいところを伸ばすように提案しているんです。あまり根本はいじりたくないんです。だってそれをとってしまうと、せっかく今まで積み上げてきた暖簾が変わってしまうわけですから。
暖簾が変わるってことは形そのものが変わってしまうということで、それならまったくその会社なり店なりを解体してしまってやり直すってことで、たとえばこの千樹さんだったら、千樹を解体してしまって、マンションを建てるというようなことです。そんな指導はしたくないんです。
できるだけ元の形をそのままで、その中で何か良いものを見つけて、それを強化して同じ暖簾で続けていきたいんです。まったく今の私の考えと違うことも提案したこともありますが」
「それはどんなことですか」社長が聞いた。
「今商店街がダメでしょう。いやダメというより、その中で一部は頑張っているところもありますが、商店街全体の再生ということで考えていくと、今までやっていた商売はもうニーズがないというか、続けていってもほとんど存続は無理というようなお店も中にあるんですが、そういう店には形をまったく変えるように薦めます。
たとえばレコード屋さん。今はもうCDさえ売れない時代になってきていますよね。そういう店には転換を薦めますね。特にお薦めするのはたこ焼き屋さんとかお好み焼き屋さん、駄菓子屋さんといった子供受けする食べ物屋さんですね。私たちから見れば懐かしいなあと思うような食べ物屋さんです。それでおいしい物とか面白い食べ物を売れば結構評判になるものです。
商店街全体がそういう食べ物屋さんをたくさんやるようになれば、また商店街として再生はできると思いますよ。まあその間にはいろいろ行政の後押しも必要ですけどね。
商店街のことはさておいて、千樹の話にもどりましょう。女将さんにお聞きします。千樹としてどこを残したいですか。どこというよりも千樹の良いところと言いますか、今よく言われている言葉でいうと“強み”ですが」
「そうねえ。私は千樹の暖簾として残していきたいというか、守っていきたいというのは、この料亭らしい雰囲気と千樹がここまで評判を落とさずにやってきた料理ですね。いくら客足が落ちたと言っても、お正月にはお得意さんがおせち料理を変わらずに頼まれますからねえ」
「社長はいかがですか」
本田が次に尋ねた。
「わたしは、ホントのところを正直に言うと、さっき本田さんが例を出していったマンションね、最終的にはそれでもいいかと思っていたんだ。いや多分今のままで行くとそうする以外方法がないのかなあって。それでその1階部分に千樹の名前を残した日本料理店を出せば、千樹の名前は何とか残るかなあって。そうすれば板長や今の従業員も少しは残ってもらえるから、全員整理することもないしって」
「そうね、それは私も選択肢のひとつとしては考えてた。まだ少しは余力のあるうちにそうすることも必要よね」
女将が言った。
「ああ」社長は小さく頷いた。
「やっぱりそうだったんですか。私もなんだか社長や女将さんを見ていると、もしかしたらそうじゃないのかなあって、思うときもありましたよ」
板長も肯定した。
「でもこの間のみんなの考えを聞いて私は変わったつもりだ。みんなの千樹を思ってくれている気持ちを考えると、そんな安易な考えをやめて、もう一度千樹を千樹らしく再生したいと心から思うようになったよ」
社長が反省した。
「じゃあお二人の心は、料亭千樹を引き続き存続させていきたい、というお考えだということでいいですか」
本田が聞いた。
「ああ」
「はい」
ふたりが答えた。
「板長さんは何かありますか」
本田は一応そこにいる板長にも聞いた。
「いや、いやも応もありませんよ、わたしは。社長と女将さんの考えに乗っかっていくだけですから」
「そうですか。それではもう一度お聞きしますね。先ほど私が言った千樹の強みはと聞いたら、この雰囲気と料理だとおっしゃいましたね。それじゃどうしたらそれを残していけますか。今までのお客さんから離れて」
「純粋にお料理屋さんとして、お料理を楽しみにお客さんが来てくれるようにしていきたいですね」
女将が期待をこめていった。
「私はやはり先ほど女将が言ったここの雰囲気ね、それも強みなんだから、その方面から何かお客さんを呼ぶものがあれば、それもまたいいなあと思ってるんだ。まあ基本的には千樹の料理をメインにするというところは一致しているけどね」社長も希望をこめて言った。
「なるほどね。板長の腕がますます必要になってきましたね」と本田は笑顔を板長の方を向けた。
「いや、なに――」
板長はそれ以上言うことができなくなり、うつむき、少し嬉し涙を流したようだった。
「板長、これからも頼むよ。千樹は板長の腕にかかってるんだから」
「やめてくださいよ、社長」
「さて、それじゃだいたい方向性は決まったと。さて具体的にどうしたいですか。女将さん」
本田は女将に意見を求めた。
つづく
<3>へつづく。
(このストーリーはフィクションです)
それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。
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「千樹は千樹としてお客様に尽くしたいというのは、いいんです。それが当たり前のことです。しかしお客様には迎合しないで、千樹というお店はこういうお店なんです。その千樹の千樹らしいところを気に入っていただけるお客様には精いっぱいみんなでサービスしますが、このようにした方がいいんじゃないかというお客さんの意見を取り入れていたら、千樹が千樹でなくなってしまうかもしれないんです。あくまで千樹は千樹として毅然とあってほしいんです、私は」
「コンサルタントってみんなそんなこと言うの?」と女将は、本田の言葉にいぶかしんだ。
どっちが千樹の経営者か判らないほどだった。
「いえ、たいていのコンサルタントなら、千樹を存続させるというよりも、その経営を優先させるでしょうね。形を変えて会社の存続を図るというのが普通ですからね。料亭が料亭でなくなってしまっても、会社は存続するという形ですね。その方が思い切ったことを提案できますし、コンサルタントの腕の見せどころというところもありますから」
「そうよねえ、普通は。だから最初私はコンサルタントが入るなんて嫌だったの」
「私もそう思っていました、女将さん」
板長が女将に言った。
「私は本田さんがそういう人だったら、頼んでいなかった」と社長が言った。
「私は依頼されたところのお店のかたちというんですか、その元のかたちはあまり変えずに、そのいいところを伸ばすように提案しているんです。あまり根本はいじりたくないんです。だってそれをとってしまうと、せっかく今まで積み上げてきた暖簾が変わってしまうわけですから。
暖簾が変わるってことは形そのものが変わってしまうということで、それならまったくその会社なり店なりを解体してしまってやり直すってことで、たとえばこの千樹さんだったら、千樹を解体してしまって、マンションを建てるというようなことです。そんな指導はしたくないんです。
できるだけ元の形をそのままで、その中で何か良いものを見つけて、それを強化して同じ暖簾で続けていきたいんです。まったく今の私の考えと違うことも提案したこともありますが」
「それはどんなことですか」社長が聞いた。
「今商店街がダメでしょう。いやダメというより、その中で一部は頑張っているところもありますが、商店街全体の再生ということで考えていくと、今までやっていた商売はもうニーズがないというか、続けていってもほとんど存続は無理というようなお店も中にあるんですが、そういう店には形をまったく変えるように薦めます。
たとえばレコード屋さん。今はもうCDさえ売れない時代になってきていますよね。そういう店には転換を薦めますね。特にお薦めするのはたこ焼き屋さんとかお好み焼き屋さん、駄菓子屋さんといった子供受けする食べ物屋さんですね。私たちから見れば懐かしいなあと思うような食べ物屋さんです。それでおいしい物とか面白い食べ物を売れば結構評判になるものです。
商店街全体がそういう食べ物屋さんをたくさんやるようになれば、また商店街として再生はできると思いますよ。まあその間にはいろいろ行政の後押しも必要ですけどね。
商店街のことはさておいて、千樹の話にもどりましょう。女将さんにお聞きします。千樹としてどこを残したいですか。どこというよりも千樹の良いところと言いますか、今よく言われている言葉でいうと“強み”ですが」
「そうねえ。私は千樹の暖簾として残していきたいというか、守っていきたいというのは、この料亭らしい雰囲気と千樹がここまで評判を落とさずにやってきた料理ですね。いくら客足が落ちたと言っても、お正月にはお得意さんがおせち料理を変わらずに頼まれますからねえ」
「社長はいかがですか」
本田が次に尋ねた。
「わたしは、ホントのところを正直に言うと、さっき本田さんが例を出していったマンションね、最終的にはそれでもいいかと思っていたんだ。いや多分今のままで行くとそうする以外方法がないのかなあって。それでその1階部分に千樹の名前を残した日本料理店を出せば、千樹の名前は何とか残るかなあって。そうすれば板長や今の従業員も少しは残ってもらえるから、全員整理することもないしって」
「そうね、それは私も選択肢のひとつとしては考えてた。まだ少しは余力のあるうちにそうすることも必要よね」
女将が言った。
「ああ」社長は小さく頷いた。
「やっぱりそうだったんですか。私もなんだか社長や女将さんを見ていると、もしかしたらそうじゃないのかなあって、思うときもありましたよ」
板長も肯定した。
「でもこの間のみんなの考えを聞いて私は変わったつもりだ。みんなの千樹を思ってくれている気持ちを考えると、そんな安易な考えをやめて、もう一度千樹を千樹らしく再生したいと心から思うようになったよ」
社長が反省した。
「じゃあお二人の心は、料亭千樹を引き続き存続させていきたい、というお考えだということでいいですか」
本田が聞いた。
「ああ」
「はい」
ふたりが答えた。
「板長さんは何かありますか」
本田は一応そこにいる板長にも聞いた。
「いや、いやも応もありませんよ、わたしは。社長と女将さんの考えに乗っかっていくだけですから」
「そうですか。それではもう一度お聞きしますね。先ほど私が言った千樹の強みはと聞いたら、この雰囲気と料理だとおっしゃいましたね。それじゃどうしたらそれを残していけますか。今までのお客さんから離れて」
「純粋にお料理屋さんとして、お料理を楽しみにお客さんが来てくれるようにしていきたいですね」
女将が期待をこめていった。
「私はやはり先ほど女将が言ったここの雰囲気ね、それも強みなんだから、その方面から何かお客さんを呼ぶものがあれば、それもまたいいなあと思ってるんだ。まあ基本的には千樹の料理をメインにするというところは一致しているけどね」社長も希望をこめて言った。
「なるほどね。板長の腕がますます必要になってきましたね」と本田は笑顔を板長の方を向けた。
「いや、なに――」
板長はそれ以上言うことができなくなり、うつむき、少し嬉し涙を流したようだった。
「板長、これからも頼むよ。千樹は板長の腕にかかってるんだから」
「やめてくださいよ、社長」
「さて、それじゃだいたい方向性は決まったと。さて具体的にどうしたいですか。女将さん」
本田は女将に意見を求めた。
つづく
<3>へつづく。
(このストーリーはフィクションです)
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