ようやく
買いました
掌に
収まるくらいの
ちいさな
胡麻擂り
焦がさぬように
炒って
胡麻ダンスに
クスリと
微笑んで
溢さぬように
移し入れて
軽快なリズムで
擦りましょう
あぁ
プゥンと
薫り立って
きましたね
あぁ
いつもに増して
お腹が空いて
きましたね
青菜
根菜
そうめん
青魚
旬の食材に
胡麻でおめかし
してあげましょう
子どもの頃は
ニガテだった
白和えも
いまなら
美味しくいただけるかな
カラダや
ココロが
欲するモノは
いとも
簡単には
手に入らぬコトが
多いけれど
美味しいごはんは
なかなか忠実に
手をかけた分だけ
応えてくれるから
こんな儀式も
ワクワクする
のです
おまじない
みたいに
運命のルーレット
みたいに
ちょっぴり
神妙に
ただ
美味しい。
そのひと言の
ために
ココロに
たった
一本
木を
植えましょう
森は
鬱蒼として
苦手だから
そんなに
欲張っても
お手入れ
できないから
たった一本
育くんで
いきましょう
しっかりとした
土壌に
しっかり根付くよう
この手で
耕し
強い意志を持って
植え付けて
みるのです
誰のせいにもせず
たったヒトリで
守って
いきましょう
時に流した
涙も
風当たり強い
コトバも
かんたんには
折れない
逞しき木のため
そう
想って
ココロの空が
澄み渡るまで
ジッと
やり過ごしましょう
いつかは
葉が生い茂り
いつかは
可憐な花が咲き
いつかは
たったヒトツ
結実するでしょう
だれに
打ち明けるでもなく
だれに
分け与えるでもなく
自分のたのしみとして
自身の試練として
せめて
キミの名前を
つけて
やさしい風のように
母の掌のように
そっと
撫でて
抱きしめて
いきましょう
きっと
芯の強いヒトにも
いつか
なれるでしょう
たった一本の
キミみたいな
強さと
しなやかさを
併せ持つ
ココロノキ
に
支えられて
