第279話. 近況と世情 6月16日(2) 香港103万人デモ

2019-06-17 00:32:04 | ★改善・変更の要る仕組み 仕来り 風潮 法律
湖畔人です。

さて、前話に続き世界で起きているスゴイ出来事についてのお話です。

香港では103万人参加と言う凄まじい規模のデモが起きていましたね。

このデモは、香港市民が逃亡犯条例の改正案への反対の意思表明として行われたデモでした。

逃亡犯条例の改正の何が問題なのかと言いますと、この改正案が通ると、香港と本法律で提携した外国が"この人物は我が国にとって大変な危険人物、重罪人なので直ぐに捕まえて我々に手渡してください"と要望した場合に、香港政府はその要望に従い、容疑者を逮捕し、提携国に引き渡すと言う法律だからです。一見普通の事で何の問題も無さそうなのですが、今回、香港市民を含め、多くの欧米諸国が懸念しているのは、今回の改正案で逃亡犯条例の提携先に中国が含まれようとしているから問題視しているのです。

何故なら、広く知られている通り、中国当局は簡単に約束を反故にする政府ですし、適当な罪状をデッチ上げては当局に反抗する人間、共産主義と思想的に相容れない集団を逮捕しては、拉致、監禁、虐待をして来た歴史がある為、この逃亡犯条例が改正されてしまうと、香港にいる全ての香港人と全ての外国人が誰一人として中国政府に批判的な言動が許されなくなる状況が現れて来てしまう、そうなってしまうと香港の言論の自由、報道の自由、思想信条の自由、結社の自由が失われてしまうし、もし本当にそうなったなら、それはもう、香港が香港で無くなってしまった事を意味しており、そんな事許してたまるか!と皆思っていて、だからこそ、これだけ多くの香港市民が集まっては、皆、目の色を変えて反対の意思を表明しているのです。

香港が中国に返還されて以来、本来なら一国二制度が50年間続くと言う話だったので、民主主義も50年間続くのかと思いきや、蓋を開けてみれば、香港の政治のトップ、行政官は、市民による普通選挙で選ぶ事が出来ず、約1200人の親中派が締める選挙委員会によってのみ選抜されると言う形になっており、自分達のリーダーを自分達で選べない状況だと言う事が判明して来た訳です。それに憤った市民が、"市民参加型の選挙で行政官を選ばせろ!"と抗議をした所、"普通選挙の実現には、まず香港の国会を3分の2の賛成多数で通す必要があるし、その後に、行政長官の同意を得る必要があるし、その後に、中国の国会に当たる全人代に報告をし承認を得ないと普通選挙は絶対に実現しない"と言われてしまったので"それではある意味、親中の行政長官が普通選挙にOKする筈も無いんだし、全人代も当然OKする筈も無いんだから、これだと自分達のリーダーであるはずの行政官はいつも親中派の中国の犬みたいな行政官ばかりが選ばれる事になってしまうし、自分達の意思を反映した本物の自分達のリーダーを選ぶ事なんて永遠に出来ないではないか!自分達のリーダーくらい自分で選ばせろ!何が一国二制度だ!香港に民主主義はもう無いではないか!フザけるな!撤回せよ!"と憤ったのが数年前に起きた例の雨傘運動だったわけです。

学生達も雨傘を使って催涙弾から身を守ったり、色々と奮戦を試みましたが、結局、当局が武力を使って学生達の鎮圧に成功し、香港市民と学生達の願いは叶わなかったのです。その後は、彼らの不安は的中して、親中派の行政官が選ばれ、その後、習近平の悪口を言う出版社の社員が多数拉致されたり、民主派が変死を遂げたりと、中国当局の魔の手が香港市民全体に及び始め、今となっては誰も大声で中国共産党政府への苦情も言えないような、そんな状況になって来てしまっており、香港の自由は実質的に死にかけていた状態だった訳です。その香港の自由の死寸前のタイミングで、この今回の逃亡犯条例の改正案を通すと言う話は、ある意味死にかけていた香港の自由にトドメの一撃を喰らわすような、そんな法案だった訳です。

何故ならこの法案が通れば、中国政府批判をすると直ぐに逮捕されるようになるし、共産主義と思想的に相容れない、例えば民主主義や自由を標榜する方々や、キリスト教信者や、法輪功や、ウィグルのイスラム教徒等は中国当局に敵視されていますから、彼らに対し、適当な罪状が言い渡たされては、逮捕され、拉致、監禁、拷問され、収容所に入れられ、最悪殺害されたり、臓器を切り取られて臓器移植市場で売られるような事になってしまうのです。そして香港にいる誰一人としても北京に一言も文句を言えなくなるような、そうした事態になる可能性が相当高くなる為、今回の法案は香港の自由を死に至らしめるトドメの法案になると恐れられていたのです。今回デモに参加している多くの方々や、デモを率いているリーダー層は間違いなく、拉致監禁収容の対象になるでしょうし、香港人だけでなく、たまたま香港のチャンギ空港を利用していた人の中に中国当局を批判する外国人がいたとしたなら、その方がアメリカ人であれイギリス人であれ日本人であれ、誰であれ、あらゆる国の人で中国に批判的な人達は皆連行の対象になり得てしまうのです。そんな状況が現れれば、香港においては、言論の自由も、報道の自由も、思想信条の自由も、結社の自由も全て失われることを意味しますし、なにより皆怖くて香港に行かなくなってしまうでしょう。香港は貿易の街ですので香港に人が来なくなったら香港はお終いです。この法律の可決は香港の死を意味しています。だからこそ、香港市民は人口がたったの700万人しかいないのに、国民の7人に一人に当たる103万人強の香港市民が参加して政府に命懸けの抵抗をしている訳です。命懸けで、自由と民主主義と香港らしさの為に戦っているのです。本当に凄い話だなと思います。心から感動をしているところです。

そして、このデモの最中に、前回の雨傘革命の時の中心的運動家として注目された民主の女神と呼ばれるアグネス・チョウさんが日本に来ておりましたね。日本社会に、日本の政府に、日本のメディアに、香港の自由が今死にかけている窮状の説明と、日本への支援の依頼と、日本にも直ぐに来るであろう中共による恐怖支配への危機感の共有の為に、わざわざ日本に来てくれていたのです。それなのに、日本の政府もメディアも殆ど取り上げる事をせず、中国に気を使っては彼女を無視していましたね。ホントにクX野郎ばかりですよね。辛うじて河野外相が今回のデモに関しツイートした位で、誰も彼女についてコメントをせず、殆どスルーしていました。きっと民主の女神も心から失望している事でしょうね。本当に申し訳ない事をしましたね。心からお詫び申し上げます。

きっとCMの常連企業が名を連ねる経団連に頭が上がらない与党と、CM代が欲しいメディアは、経団連に気を使って中国を刺激しないようにあえて静観をしたんではないですか?違いますか?世界では、香港政府と中国に対し"ウィグル人への酷い扱いを含む個人的人権の尊重が出来ていない今中国の姿勢は間違っている"と批判をし、"そんな中国に歯向かう人が香港に入ったなら皆拉致されてしまうような、そんな危険な法案成立には断固反対する"と、トランプさん率いるアメリカも、その他の欧米主要各国も皆非難の声を上げて香港政府を批判しているんでしょう?
そんな時に日本に助けを求めて来たアグネスさんにガンバレの一言も言わずに完全にスルーして、大中国との商売優先で知らんぷりですか?人権軽視の中国とその中国の言いなりの香港政府側にばかり気を使うけど、民主と自由と人権の為に声を上げて戦う少女は見殺しにするんですか?彼女達は人類が共有する普遍的価値を巡って中国政府と戦っているんですよ?これって企業倫理が問われる一種のコンプライアンス違反なんじゃないんですか?人あっての商売では無いんですか?人権より目先のお金を優先ですか?だから悪魔に心を売ってるって言われるんですよ。経団連って一体何なんですか?皆さんクリーンでご立派な経営理念やスローガンを掲げていますが、本当に実践されてるんですか?実はただのX善者の集まりなのではないですか?そして、そんな彼らに従うしかない自民党とメディアって一体何なんですかね?弱すぎるし気骨も正義感も微塵も無いんでしょうか?Xズばっかりですよね。恥ずかしくないんでしょうか?自分は恥ずかしくてしょうがないです。

今日も香港では法案の完全撤回を求めて何と200万人以上の方々が命懸けの抗議活動をしかけているのです。心からの応援と心からのデモの成功と彼らの身の安全を心から祈念させて頂きたいと思います。
ガンバレ香港!香港加油!!

湖畔人

(2019年6月18日改訂)


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