第251話.気になった音楽(51)&(52)&(53)Madness『Our House』&YMO『Multiplies』&The Specials『Vote For Me』

2019-04-14 05:23:08 | 気になった音楽
湖畔人です。

先日、このブログで最近The specialsを含むスカがとっても気になっていると話しましたが、スカと言っても自分が言うスカとは80年前後にUKで流行っていたパンクとジャマイカルーツのスカを融合した2トーン・スカの事を指しています。今日はその2トーン・スカの曲またはそれらしい曲を計3曲紹介させていただきたいと思います。

まず一曲目はマッドネスの『our house』です。スカとの最初の出逢いは、子供の頃、車メーカーのホンダが出していたシティのCMでマッドネスの『In the city』が使われていたのがスカとの最初の出逢いでした。そのCMには彼ら自身も出演していて変な踊りをCMの中で披露していたのを見たのがスカとの最初の出逢いでしたね。そのマッドネスですが、彼らはスカと言っても割とUKの伝統的な正統派ポップス的なところも大分あって、余りスカの枠に問われずにメロディアスな曲も多い印象のグループでした。今回紹介する『our house』もスカと言うより比較的聴き易いUKポップスという感じの曲でして、USでも大分ヒットした曲でした。多分彼らの数多くある曲の中でも最大のヒット曲になったのでは無いかと思うのですが、まぁ余りスカらしくは無いにしろ感じの良い曲ですので今回紹介させて頂きます。本当は『One Step Beyond』とかの方がスカらしいのですが、余りにも汗臭い感じなので、今回は比較的品のイイ『our house』にしておきます。

次に自分がスカを意識した曲は、YMOにハマっていた頃『増殖』と言うアルバムに入っていたタイトルソングの『マルティプライズ』でして、この曲を今日の2トーン・スカのご紹介の二曲目とします。YMOはテクノの大御所ではあるのですが、ニューウェーブという広い枠の中で曲を作られていたと思います。当時2トーン・スカはUKのニューウェーブの一つのジャンルとしても見られていたので、YMOも試しに一回面白そうなのでやってみるか、と言った感じでスカにチャレンジしたのではないか?と勝手に想像しています。演奏のうまさも仕上がりのセンスの良さもYMOの方が本場の2トーン・スカよりずっと上質な感じがしてしまうのですが、きっと音の職人としての格が違うのでしょう。『マルティプライズ』はスカの名曲の一つだと思っています。

その後スカを意識したのは、自分が楽器を触るようになった頃でして、当時レコード屋に行くとジャケットで一番目立っていたのがThe Fun Boy Threeのテリーホールのジャケット写真と、気持ち悪いダイアモンドドッグスのデビットボウイと、同じく気持ち悪さで目立っていた遠藤ミチロウのジャケット写真に目が行ったものなのですが、その中でも特にテリーホールに興味を持ったのですが、彼の出自が2トーン・スカのThe specialsでしたので、自然とThe specialsにも興味が行くようになりました。その当時、そこまで好きだったかと言うとそうでも無くて、The specialsのイメージはイントロが超格好がいいのに、その後スカの単調なリズムに縛られて余り抑揚が感じられず盛り上がり切れないイメージがあって、ちょっと残念な印象を受けていたのです。『Concrete Jungle』も『Little Bitch』も『Gangsters』もイントロが皆カッコイイのですが、その後があのズンチャズンチャと言うスカの単調なリズムになってしまうので、最高にエンジンをふかしておいて、これからどれだけスピードを上げて行くのかと思いきや、走り出したらずっとローかセカンドでしか走れない遅い車のような感じで、何かピークがイントロに来てしまっている感じがあってとても残念感が強かったのですが、でも、今思うと、そのグダグダ感も彼らの魅力だなと、随分捉え方が変わって来ているのです。初期のThe specialsの連中は見た目は白黒のツートーンのルックスでかなり厳つい不良のお兄さん達と言う感じだったのですが、その盛り上がり切れない曲調も、テリーホールの高くて迫力の無い変な声も何かすっとんきょうな感じ、抜けた感じ、面白おかしい感じがあって、いい味が出ており、かえってイイな、と今は思えています。その魅力的且つ厳ついルックスをした彼らでしたが、でも、彼らの存在自体は実はとても政治的なメッセージを持った極めてパンク的な存在でした。2トーンレコードのファウンダーでThe specialsを作ったジェリーダマーズがこのツートーンと言う市松模様に込めた思いも黒人への差別反対の意思が込められており、実際The specialsには黒人メンバーも数名おり、白人と黒人が仲良く手を取り合える世界を思い描いており、あえてそうした白黒模様にしたようなのです。彼らのヒット曲『ネルソンマンデラ』も、この曲のお陰でマンデラが拘束されている事実が広く世界で知られるようになり、反アパルトヘイトの動きも大分加速してマンデラ氏の釈放にも随分貢献できたのです。見た目はヤンチャな彼等ですが、とても大切なメッセージを宿した政治的存在だったのです。

81年にグループを脱退しThe Fun Boy Threeに移行したテリーホールも今はThe specialsに戻っており、新生The specialsは最近新しいアルバムと新曲を出しました。その新曲の曲名は、『Vote for me』と言う曲でして、極めて政治的な曲で、政治家に対し、"信頼できる人であってください。誠実で正直な人であってください。今のままでは全く信用できないのです"と歌う、UKだけでなく世界中の一般投票者の願いを代弁したようなメッセージを宿した曲でして"民主主義にまだ期待しろと言うなら政治家であらんとする人達は無私であり誠実な人であってください"と言う心の底からのメッセージが込められた曲です。スカと言うよりレゲエのようなゆったりしたテンポの曲ですが、とっても良い曲だと思います。と言う事で今日の2トーン・スカの3曲目は、The specialsの『Vote for me』でした。哀愁漂う良い曲だと思います。

さて、話は変わりますが、2トーン・スカ体験はゲームを通しても実はございまして、子供が小さかった頃、任天堂のスーパーマリオサンシャインと言うゲームを一緒にやったことがあるのですが、その中で2トーン・スカ風の曲が流れるシーンがあり、自分としてはとても懐かしく思いながらプレーを楽しんでいた事を思いだしました。多分そのBGMの制作者も私と似たような年代で似たような音楽を聴いて来た過去があるのかもしれないなと思っています。

さた、この2トーン・スカですが、2トーンレーベルには、嘗てエルビス コステロも在籍しており、確かThe specialsの最初のアルバムのプロデュースも実は彼が手掛けているはずなのです。これまでこのブログでメンションして来たように私の好きなUKのアーティスト達の多くはコステロと縁があるのですが、またまたコステロの息が掛かったアーティストのご紹介となりました。コステロ特集をどこかでやった方がいいのかもしれませんが実を言うとそこまで大ファンでもないのです。これがまた不思議です。

今回テクノの大御所YMOの曲のご紹介を致しましたが、YMOについては思う所があるので、今後YMOについて触れる機会を設けたいと思っています。

それでは、また。

湖畔人

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