チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 388

2020年11月24日 08時34分57秒 | 日記

着物を着て「ほっつき歩いている」毎日だが、今の季節はありがたい

いまさらながら絹の暖かさ抗菌性に感動している

GO TO政策で旅がとても安くなっている。大分までのの往復が一泊して26000円、しかもお小遣いまで出る

父の命日でお墓参りに行く

大分にいる姪が両親のお墓参りしてくれるので、お礼も兼ねて彼女を慰労する目的もある

 

関アジや関サバ、城下カレイなど大分でしか美味しく食べられない店をいつも案内してくれる

叔母の懐も理解して料亭ではなく漁師が経営している店を探して新鮮でしかも手ごろな値段のところをいつも探してくれている

 

今回はその場所が母がよく通った和装小物屋さんの店の傍「ゑり次」さんがある

食事が終わって早速店に行くと、なんとわが秋桜舎の最初のスタッフの一人だったこの店の娘が、たまたま久しぶりに帰ってきたところに出くわした

キャーキャー言って再会を喜ぶ

 

母はこの店で小物を揃え、特に半襟をよく買っていた。戦争前からこの店はこの場所にあった。先代はもうとっくになくなっているが息子夫婦が繋ぎ、今またその息子も後を継いでいる

「そうすると私は三代お付き合いしているのねえ」と感慨深い

 

チャ子ちゃん先生の半襟の90%はこの店の物。店には四季折々どころか24節気の半襟を揃えていた。父の仕事柄頂き物が多い家だったので、母はそのお返しに半襟を用意していた

白い半襟は礼装用にとかちょっと余所行きという時にかけるので、白い半襟は重宝だったみたい、差し挙げたお相手には喜ばれていたようだ

私もそれに倣って変わった半襟があるとつい購入してしまう癖がある。そのためこの肉体を脱ぐまで、半襟を購入する必要はないであろう

 

そう思いながらも

「半襟見せて」

「最近は絹の質が落ちているからおすすめできないね」

横から奥方が

「バイアス襟というのがあるのよ」

「みせてみせて」

後ろにしわが寄らないようになっているので今は人気だという

バイアス襟芯というのを作って使っていたことはあるけど、バイアス襟は見るのは初めて

「なるほどね、でも絹ではないのね、絹は伸びないものね」

 

化学繊維というのはいろんな表情を見せてくれるのだと思った

化学繊維にかぶれるチャ子ちゃん先生は断念、代わりに、この店にしかない白の博多献上の伊達締めをゲットしてご満悦

和装小物だけで商いが成り立っていることのすごさに感動する

それは品選びだと思う、目利きの品選びそれに店主の品の良さ、ほっとする空間づくり、理想の和装小物屋さんだな

おしゃべりしている間にも、「晒ください」「足袋ください」「帯枕ください」と単品購入のお客様が後を絶たない

 

最後に洋服をかっこよく着ている元スタッフに「きちんと着物の仕事しなさい」と偉そうに余分なことを言ったら

「今朝ふと中谷さんのことを思い出して、私もぼつぼつ着物のこと本格的に仕事にしよう、と思ってここに来たらびっくり会えるんですもの」

「それはあなたの考えが正解という証よ」

姪に渡した「きもの解体新書」を取り上げて

「ほらこの本読んで勉強しなさい」と押し付ける

 

この品が良く美しい和装小物の店は永久に存在してほしい

 

 


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