加賀友禅というきものを改めて眺める機会をいただいた
糸目の技術を駆使した美しい友禅だ
楚々とした小さな花を丹念に描き友禅染している、そこに自然の風景を見る
チャ子ちゃん先生はそのお話会で「初代由水十久」さんとの親交の話をさせていただいた
由水さんの「唐子模様」が代表作になる前の「東海道五十三次」を染めた時の話
由水さんはもともと日本画家になりたくて、小さいときから絵の勉強をし、表に出るときも家にいるときもスケッチぶっくを手放さず、目に映るものを描き留めていた。そのスケッチブックを見せていただいたこともあるが、あらゆる分野のスケッチだった
スケッチをするものが無くなると、古典を読みその中の物語を想像で描いていく作業もしている
伊勢物語が最も想像の絵になりやすいといって、何回も読んでは絵にしたものを見せていただいたりもした。今風には「挿絵」ということになるのかもしれないが、何でも絵にかいてみるということだった
その中で東海道五十三次を帯に描いてみたいと思ったそうで、ご自分で絵にあるような草鞋のひもの結び方を実際に試してみたり、では東海道を歩くとどんな感じがするのか、と歩いてみたり、現場に身を置いて新たにスケッチをする
ある時「京劇」の舞台を「一緒緒に見よう」と誘われ行った
京劇など全く興味がなかったけど、料亭弁当につられたのだ(卑しい}
そして観劇の間中由水さんは目は舞台、手はスケッチブック、日頃の好好爺の雰囲気は全くない、目がランランと輝いている。休憩時間に弁当をいただくのだが、こういう時は食欲もないらしい。いつもは少し肩を丸め、マールい顔にかけた眼鏡の奥で目が優しく、冗談の連発なのに、今舞台で描き留めたデッサンを食い入るように見つめて手を加えている
そばで私はひたすら食ってる
「おいしいかい?」
「はい」
京劇の激しい動きが人の体の躍動美をとらえるのに一番早道なのだと、あとで教えてくれた
この人の動きがのちの「唐子」の可愛さにつながっていく
孫の寝姿、ハイハイしている姿の可愛さ、そういうスケッチも見せてもらった
一枚の着物の模様の奥に隠された精進、これが加賀友禅の伝統なのだろう
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