基本的にチャ子ちゃん先生は白い花に惹かれる
この季節に咲く泰山木の花は大きくてシンプルそれでいて存在感がある
草木染の大家山崎青樹先生がよくこの泰山木を染めていらした
青樹先生はもともと日本画家を志望していたので、花や植物の素描に味がある
泰山木の花は白だと言い張って(チャ子ちゃん先生)白地の帯に濃い緑の葉っぱ、白は胡粉で描いた。胡粉なので立体感があり出来上がりは素晴らしかったが、摩擦に弱く帯締めを締めるときの注意深さが必要だった
自分でその困難さを打ち明けるのは、面白くないので青樹先生には話さなかったが、その後淡い茜色の地色に泰山木の花だけを大きく素描し、花びらを浮き上がらせるために、花の淵を茜の濃い色で描いて可愛くも品のある帯が出来上がった
青樹先生は、花の本質を見てこのように優雅な花に仕上げたのだ、やはりプロだなあと感心して、出来上がったその場で購入。鼻高々で白大島に合わせていたら、仲のいい呉服屋の女将さんが
「同じのを染めてほしい」
人と同じものを持つことに趣味のないチャ子ちゃん先生
「これでよかったらお譲りしますよ」
青樹先生も同じものはほとんど作らない
そこが画家の心意気なのだろう
草木染はお父様の山崎斌さんの長年の研究を継いでいらっっしゃる。画家の道を断念し、草木染の道に入ったからには、草木染めを徹底して研究しようという姿勢をお会いするたびに感じた
新しい植物から生まれた色の話をなさる時の高揚したお顔は今もはっきり思い浮かぶ、高崎の仕事場に伺うといそいそと植物を片手に、この焙煎でこの色、あの焙煎でほらこんな色、そして平安時代の清少納言などが描いた色を、この植物で染めてみたけど、どう思う?という質問もあり、果てしなく話が進んでいく
販売するという気持ちが弱く、染め上がった反物を年月を感じさせるタンスにしまい込み、その反物を手放すときの寂しそうな顔も記憶にある。その頃のデパートの呉服売り場の方々が、「展示会」という名目でお披露目のチャンスがあったが商売っ気の強い営業マンには箪笥から反物を出さなかった強気の姿勢も思い出す
公園の泰山木の花を見ていて、青樹先生を思い出したが、肝心の帯の行方が知れず
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