形を作るのは人間、それを破るのも人間
きものに「型染」という手法がある
柿渋を和紙に塗って錐などの道具で桜や梅松などの小さな柄を掘っていく
初めてその作業を伊勢で見た時仰天した
人間技とも思えない手法だ
きものに対して型破りばかりしていたころ
今は亡き竺仙の前社長がチャ子ちゃん先生の首根っことっ捕まえて
和歌山の伊勢にまで強引に連れていかれた
そしてそこに見たものは
息をのむほどの超極細の型紙つくりの現場だった
その型を彫る紙創りからの現場教育だ
渋柿から渋を取り出す
洗い板に張った和紙の上を何度も何度も刷毛で渋を重ね塗りして天日で乾かす
それで乾ききったら
既定の大きさに紙を切る
そこからまた紙に風を当てて、柄の種類によって何枚かを張り合わせ乾かす
その作業が終わり「彫師」に紙が渡る
サメ小紋や、菊小紋、筋のいわれる細かな萬筋などの柄が彫られたあと
その型紙を筋染め専門、小紋型専門などの「染師」に渡される
染師は白生地をまず胡粉汁(大豆の汁)を刷毛でうすくのばして、乾いたら愈々型紙をその白生地に載せ色糊を刷毛に着け染めつける
型紙は15センチ以下の柄、それを継ぎ目が出ないように型置きしていく
色糊の付いた布は蒸し器に入れて定着させ
そのあと地染が始まる
米ぬかでしごいた後水洗いして糊を落とすと、水の中から柄が揺らいで顔を出す型染の完成だ
「どんな型でもきものに限らず、作法しかり、料理、言葉使いしかり、剣道や柔道、舞や舞踊みんな型が整ったとき美しい、型作りはそれだけ先人たちの智慧と労力の積み重ねなんだよ」
それが分かった上での型やぶりはあっていい
という教えだった
本日のチャコちゅぶ20時から
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