チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 365

2020年08月16日 09時23分37秒 | 日記

「この帯とても気に入ってるのだけどみてみてこんなにほつれてきた直るかしら」

長年帯の仕立てをお願いしている職人さんに聞いた

「そうだね、少し幅が狭くなるかもしれないけどやってみよう」

中学を卒業してすぐ帯職人の道を選び

「小僧のころはね」

という言葉を発しながら真冬も素足に雪駄をつっかけて御用聞きみたいに訪れてくれる

 

「お江戸は名古屋帯の仕立てが多くって、袋が入らないように帯芯を入れる手法を身に付けるのに時間かかった」

というだけあって出来上がりは「ぴしっと」としてなお胴回りに優しく巻ける

帯の仕立て人を探して10ねん。姑はきものの仕立てはしてくれていたが

「比佐子さん帯は別、きちんとしたプロでないとできないわ」

いい着物を着れば着るほど帯の仕立ての上手さが際立つのだと注意された

姑は

「比佐子さんは人前に立つ仕事をしているのだから、この着物の仕立てはプロの方にお願いしてね」

と自分が針をもって縫う着物の範囲を決めていた。だから帯の仕立てはダメというのは納得

素人でも器用な方は帯までご自分で縫う人もいらっしゃるが、やはり職人の技は一味違う

帯の形に粋さと優しが同居する。此れってなかなかできない技ではないだろうか

 

チャ子ちゃん先生は帯を締めるときは、結ばず手先と垂れ先を捻るだけにしているので、仕立てが甘い帯だと着ている間に捻りめが緩んでしまう。しかし加藤さんの仕立てではぜったにゆるまない、袋が出来ない。

10年さまよった帯の仕立て替えを頼んだのは言うまでもない。そして35年のおつきあいになる。その間どれだけの帯が再生できたか、ほつれてしまった帯に別布を足してかわいらしい帯が出来たり、半幅にして生き返ったり、羽織を帯に仕立てたり、いろんな工夫で帯の命が伸びている

 

今回は紗の帯でもうダメかと思ったが「新品」になって帰ってきた

裏の仕事の名人がいたから着物の発展があったし着物文化が亡びなかった。(ちょったあやしいけどね)

 

今世界では裏は闇の世界と相場が決まっているようだ。(利権がらみだからね)

しかし日本では裏の仕事をしている人たちの方が人格が優れていて、表の仕事の人たちをきちんと立ててサポートしている。そういう日本に立ち返るいい機会をコロナは与えてくれている

日本人がしっかり誇りを取り戻したら、闇の世界に光が当たり闇は消える。それくらい日本人として日本に生まれてきたことは重要なこと

 

「和文化継承家養成講座」19日13時30分から90分 欠席した日は動画配信だそうです

https://www.coloriam.co.jp/salon/kosmos


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