30年着た小千谷縮、伝統工芸士の樋口隆司作「吹雪」
昨年の夏墨をどぼっと袖のこぼし、昆布石鹸で墨を落とし(落としきれなかった)カボスを絞って終日その液に着けていた、墨は薄くなったが墨のついた面積があまりにも広い。冬を待って雪晒しで完結させようと、着物を送るべく解いた
驚くことに墨は有機物なので裏にもしっかり浸透している
もう30年ほど前同じことをしていた
ウイーンからの帰り、飛行機の中で筆ペンを出して書こうとしたら、筆ペンが膨張していて弾けて墨が飛び散り、着物の襟と身頃についた。他の人のところに行かなくてよかった!と胸撫ぜ下したが、ショック
すぐに洗面所に行きジャージャー水を流して墨を落としびしょびしょの着物をタオルでたたいて乾かした。しかしすべて落ちるはずもなく、墨の地図模様が着物に出来たと思えばいい、と涼しい顔をして着ていた。着物は草木染作家山崎青樹さんの三釜の縞。苅安と藍で緑の濃淡の縞草木染も有機物、墨もそう。日本に戻り解こうとしてよくよく見たら墨がさらに薄くなっている
同じ有機質なので吸い取ったのかと驚いた
悉皆屋さんに出し洗ってもらったら、なんと!何事もなく美しくなっている。草木が墨を吸収しそして洗っているときに吐き出してくれたようだ。「そういうこともあるのね」と悉皆屋さんも初めての経験で驚いていた
それをきっかけに草木染の着物はどんどん汚しても平気!と思ってしまった。悉皆屋さんは当然たわしでごしごし洗う。それに耐えられる絹と草木、すごいものだよ
しかしこの度はそうわ行かず、墨は墨としてお残りだ。あとは雪晒しにきたいをしていた
ところが
「こんなに雪のない年は生まれてはじめて、今年は雪晒はできないですね」と樋口さんから電話があった
その後しばらくして
「墨を無理に落とすこともできないわけではないが、今記録を見ると30年以上も着ていただいていることが判明、その墨を落とすことで生地が弱り、多分着ているうちに布が切れてしまうと思う」
七月のオリンピック記念で「縮の鳥居」を小千谷で復活させるのでそれに献納しましょうと提案され、「ハイ喜んで」と承知した
「縮の鳥居」は郷社日光大権現二荒神社の鳥居に小千谷縮を巻き付け地域産業の発展を祈るもので、小千谷縮は日本で初めて織物として世界文化遺産に登録されているので、世界平和も祈れる。しかも65年ぶりの復活「縮の鳥居」だそうだ。
自分の着ていたものがお役に立てればこんなうれしいことはない
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(写真が勝手に出てきて消せないごめんなさい)
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