真山美保さんは新制作座の創始者
昨年の今頃縁あって新制作座に保管されている着物を見る機会を持った
初めて伺った時も由緒あるひな壇が飾られて居て、その見事さに圧倒された
真山美保さんの私物で、劇団員のものはまた別にあるという解説
一つ一つの道具の細工があまりにも細やかで美しく、そちらに心奪われ、こういうお道具を集められた真山美保さんの伝統の美に対する感性に強い興味が湧いた
保管されている着物の数は想像を遥かに超えて居て、劇団員の皆様にも正確な数字はまだ出せていない。ざっと見積もっても万の数字であろうと思う。舞台衣装は別にある
何回か通ううち、どうしてこうも良いものを集めて居たのか、また何のために、という疑問が湧いてくる。
真山美保さんは劇団を作った時
劇団員にはアルバイトをさせない、演劇に専念してもらう
そのため三食を劇団で賄う
生活の場も無料で提供
給料を出す
社会保険も全て劇団が支払う
冠婚葬祭の衣装は劇団で揃える
八王子の高尾に近い一山に劇場、練習場、食堂、マンションを建て全員がその場所で生活して芝居に精魂を傾けている。そこで作られた「泥かぶら」は全国の学校に赴き開演して文部大臣賞や公の賞をいくつも取って、今尚全国を回っている超ロングランの演劇でもある
その他にもヒットを飛ばし、其処で売り上げたお金が保管されている衣装に向けられたようである
真山美保さんの父親は真山青果という超有名な劇作家、今でも歌舞伎や前進座新派などで演じられている戯曲が多い。その戯曲を演じた役者に「真山青果賞」を新制作座は出して居て、その時に舞台に上がって賞を手渡す若き女優たちが着る大振り袖が毎年作られたという。この大振り袖の技術の見事さ、色の美しさ、着物って本当にきれいだとため息が出る
そのほかにも海外公演でのパーテー用の衣装、手抜きのものはなく、すべて当時の職人たちが渾身の力を込めて作ったものばかり、若い女優さんたちをより美しく見えるように、一人一人着物を着せて、帯小物のコデイネートを熱心になさったのだという
着る人を引き立てる着物の選び方が半端ではなく、心の底から着物を愛して居たのだと感じる
演劇を愛し、着物を尊び、人々の成長を喜びとした人生を送った方なのだと、着物を見ながら感じ取る。ここに静かに眠って居てくれた事に感謝、そして今本当の着物に出会う機会が少なくなっている時、職人さんたちの勇躍する喜びの中で作られた着物に出会う嬉しさ。幸せ
皆さんにも鑑賞していただきたく、「タンスツアー」を随時行って居ます HP http//kosmos.ciao.jp
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