規格外トマト、アスパラ活用 岩見沢の若林さん開発 道外物産展で人気「道内農業に元気を」
岩見沢のフ-ドコ-ディネ-タ-若林富士女さん(48)が、規格外のトマトやアスパラガスなど道産有機野菜を使ったジェラ-トやゼリ-開発し、道外百貨店の物産展で人気を博している。流通できなかった野菜を商品化することで「道内農業を元気づけるお手伝いができれば」と力を入れている。
若林さんは昨年8月、商品開発や食育教室などを行う会社「ベジフルデザイン」(札幌市白石区)を操業した。今年3月には、トマトのゼリ-を発売。トマトは、岩見沢の農家が有機栽培し、昨夏の余剰品となったものを冷凍。精度を上げ、ビュ-レに使用した。アスパラのジェラ-ドは、甘みがある根元が捨てられることに着目し、開発した。紫色のジャガイモを使った「じゃがバタ-」ジェラ-ドなどもあり、いずれも野菜の自然な甘さや風味を生かした優しい味で、見た目もカラフルで楽しく、子供から大人まで親しめる商品だ。普通の主婦だった若林さんと農業の接点は約20年前。夫の転勤で札幌から旧追分町(胆振管内安平町)に転居し、メロン農家で3年間アルバイトをしたのがきっかけだった。もの作りの楽しさを知る一方、経済的に不安定な農家の現状に「大変で大切な仕事なのに、これでいいのか」と疑問を抱いた。それ以来、生産者の声を聞こうと、農家へ積極的に足を運んだ。その傍ら、得意の料理を生かしてレシピ開発や料理講座を開催、ベジタブル&フル-ツマイスタ-(野菜ソムリエ)などの資格も取得した。しかし、2人の息子の手が離れ、独立を計画していた4年前、夫の修さんが他界。精神的に落ち込み、夢を断念しょうと思った若林さんを支えたのは「農業を応援したい」という情熱だった。商品開発では、漬物などより単価が高く、利幅が大きいスイ-ツに着目。開発に並行して、商談会に参加するなど販路開拓も積極的に行った。4月には仙台市の百貨店、今月13日からは兵庫県姫路市の百貨店の北海道物産展に出品し、手応えをつかんだ。東京の百貨店の贈答品カタログに掲載される予定もあり、道内では、札幌・藻岩山山頂の「展望台レストラン531」で三種類のジェラ-ド(1個370円)を販売、売り切れも出るほどの人気ぶりだ。今後も「余った野菜を活用したい」などと商品開発の依頼があれば応えていきたいという。若林さんは「たくさんの人に野菜のおいしさを伝えるとともに、お金にならなかった野菜から収益を上げることで、『こんなこともできるんだ』と生産者を元気づけることができれば」と夢を膨らませている。