聖マリアンナ医大臨床研究 がん治療前に凍結
膠原病やがんの治療の副作用で卵巣の機能が失われる前に一部を凍結保存し、治療後に本人に移植する臨床県境を始めると、聖マリアンナ医大(川崎市)産婦人科の石塚文平教授、鈴木直准教授らが9日までに明らかにした。学内の倫理委員会の承認を得た。女性ホルモンのエストロゲンが欠乏すると心筋梗塞や骨粗しょう症などにつながる恐れがあるため、卵巣の移植でホルモン分泌を回復させる狙い。既にサルを使った同様の実験で周期的なホルモン分泌を確認している。卵巣の機能か、゛失われると、女性ホルモンの投与のため通院しなければならないが、保存していた卵巣を移植して機能すれば、通院の必要がなくなる。また、より自然な自分のホルモンを得られるのが利点という。凍結保存によって卵巣内にある卵子も保存されるため、子どもをもつことがのできる可能性もあり、国内では慶応大、岡山大などが白血病などの女性を対象に凍結保存に取り組み、海外では出産の報告例もある。ただ技術は未確立といい、石塚教授らは安全な手法の開発を目指す。石塚教授らは対象を、治療に抗がん剤を使う膠原病や子宮頚がん、初期の乳がんなどに拡大。3年間で18~39歳の女性50人に実施する。計画では、抗がん剤や放射線の副作用で卵巣が機能不全になる前に、最低でも6分の一程度の組織を採取し、厚さ1㍉以下にスライス。凍結時に水分が固まってできる氷により細胞が傷まないように、独自の技術で脱水し、マイナス200度で急速に凍らせる。治療後に組織を解凍し、卵巣があった場所や卵子ができた場合に採取しやすい皮膚の下などに移植する。
卵巣や卵子の凍結保存 卵子のもとになる細胞を含む卵巣組織や卵子を体外に取出しして液体窒素で凍結、保存する方法。卵巣の場合は標準的な手順が決められるほどのデ-タはなく、各国で研究が進行中。卵子の凍結は既に国内で50施設以上が実施しているが、妊娠に至る確率は2%程度と低い。聖マリアンナ医大の研究チ-ムは、卵子の確保だけでなく周期的なホルモンの分泌も重視。卵子の凍結は、がんなどの治療が差し迫り、卵巣を凍結保存する時間的余裕がなかったり、早発閉経で卵巣が委縮を初めていたりする場合の補助的手段と位置付けている。