古来の民間薬 胃腸に効能
北方系生態観察園内には、とても重要な薬木で、アイヌ民族が最も神聖な木の一つとして珍重していたキハダが多数自生しています。背が高い木で、初夏に咲く小さくてかれんな花や晩秋まで色づく実を目線の高さで見ることのできる幼木はごくわずかです。冬。その数少ない幼木の枝先についたシワシワになったブドウの房のような実を見つけました。1粒つまんで食べてみると、ほろ苦さとミカンの香りが口の中に広がりました。これも大地のエネルギ-なり。外側の皮をはぐと現れる鮮黄色の内皮部分が薬用部分。黄柏といい健胃薬です。古来より、日本各地で黄柏を主成分とする民間薬があり、陀羅尼助(奈良)、お百草(信州)、練熊(山陰)などが胃腸薬として有名です。黄柏は、中国最古の本草書である神農本草経にも掲載されている生薬で、黄連解毒湯、温清飲(うんせいいん)などの重要な漢方方剤に配合されます。(堀田清・北海道医療大准教授=写真も)