高齢、虚弱体質の滋養に
背の高い木々の枝先の迫力ある冬芽を観察するには、積雪2㍍の森がもってこいです。春から秋まで見上げていた枝も目線の高さで見ることができるということに、ある時ふと気が付きました。カンジキを履いて深い雪の中を歩いて行くと、息切れ、汗が流れ落ちます。汗は体にたまった毒を外に出してくれますから、運動不足になりがちな冬、たまの晴れた日に、森へ出かけると心も身体も温かくなるかもしれません。晴れた朝、前日降った白い雪帽子をかぶって力強く陽光に輝くオニグルミの冬芽を目に前に見つけました。5月の上旬ごろになると冬芽の先っぽから若葉が出てくるのです。冬芽はどれも張るになると毎日どんどん成長していく部分ですから、見ているだけで元気になります。栄養価の高い食材として知られている実は、胡桃仁(ことうにん)と呼ばれ、せき止め、便通をよくする潤腸、身体を暖める補陽の効果がうり、高齢者や虚弱体質の滋養薬や、老人性のぜんそく、腰痛、下肢倦怠感、便秘なとに用いられる大切な生薬です。(堀田清・北海道医療大准教授=写真も)