あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

2020年

2020-12-31 10:12:48 | 立ち止まる

もうすぐ年が明ける。

1年前となる今年の1月には、賛否はあるにせよ「2020東京オリンピック・パラリンピック」を迎えるのだと思っていた。久しぶりに訪ねてきた親類を連れて新国立競技場を見学(外周だけ)した。けれども、その後の「新型コロナウイルス」感染拡大は多くの人たちの生活を一変させ、また命を奪われる人も出た。そして、一時は収まる気配を見せたものの、当初から懸念されていた通りに冬を迎え感染が拡大している。

幸いなことに僕は仕事を続けられている。「第三波」に備え慌ただしく急ごしらえで職場での在宅勤務の環境を整えられたのは良かったけど、その間に後回しにした仕事のツケは自分で何とかしなければならない。そんな思いを抱えながら、年を越すことになった。

そんな中でも、仕事ばかりでは気力が持たない。それを言い訳に、できるだけ自分の時間を持とうとした。足腰が弱まった老親にその時間を奪われることもあるけど。

仕事以外で僕を支えてくれていることの一つが、バレーボール観戦だ。そして、ここ数年応援していた選手が引退してしまった。度重なるケガに苦しみながらも全力でプレーし、コートに立たない時も誰よりも大きな声で仲間を鼓舞する姿に、観ている僕も何度も元気をもらった。結局最後の勇姿も直接お礼を伝えることも叶わなかったけど、それはコロナ禍の影響もあったものの、そんな去り方もまた彼女らしいなと思い、苦笑いした。

ある日、東京都が発行する冊子をふと手にした。職に就けてはいるものの、50歳を過ぎ、将来に対し漠然とした不安を抱えていた。失業をきっかけに、人との繋がりをほとんど失い、視野も狭まっていた。忙しさを理由に先延ばしすることも多いけど、とにかく何かを始めてみようと思い、「タブレットを使った外国語の勉強」、「動画編集」をやってみて、細やかながら今も続けている。そして、しばらく記事を書いていなかったこのブログを再開したのもそのうちの一つだ。

出来の良し悪しはあるけど、僕は何かを作ったり表現したりすることが好きなんだということを改めて感じている。そして、孤独を怖いとは思わないものの、誰かと繋がっていられたらという願いを強く持っていることに気付く。後者は自分だけではどうにもならず、また、過去に自分から疎遠にしてしまったということもあり、今更何ができるだろうかと立ち竦んでしまう。だから、前者に気持ちが傾きがちなのだという自覚もある。

 

この先、いわゆる「通常運転」に戻ることはないだろうし、「新しい生活様式」に自分自身を適応させていかなければならないだろう。それは決して楽ではないけど、これも運命の巡り合わせだし、逃げられないなら、いかに楽しむかを考えて行動したい。そして、間接的にでも誰かの笑顔に繋がれたらいい。

「あしたはきっといい日」というタイトルでこのブログを開設して13年あまり。そう思いつつも時に心が折れそうになる自分を奮い立たせ、今日を、そして明日を歩いていこう。

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血が、汗が、涙がデザインできるか

2020-12-26 11:56:14 | 美と戯れる

子どもの頃、PARCOのコマーシャルを視ては「意味が分からない」という思いを抱いていた。 けれども、その意味の分からなさも含め、その魅力に惹かれていた。

年末の忙しい中、半日休暇をもらい東京都現代美術館を訪れた。
実を言うと、間もなく閉館となる美術館に行こうと思っていたけど、予約が必要な上に、すでにその予約も取れない状況になっていた。
そんな中、ふとこちらで開催されている展示会を知り、やはりこちらも予約が必要とのことで日時指定のチケットを確保した。

石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか
この、強烈なインパクトを持ったタイトルに誘われたと言っていい。

石岡瑛子さんについて、僕はそのお名前を目にし聞いたことがあるくらいだったけれども、資生堂やPARCO、角川書店など、広告を通じてアートやカルチャーを体現していた企業で、まさにその時代を支えていた方だと知り、興味が膨らんだ。

展示会は 、
1 Timeless:時代をデザインする
2 Fearless:出会いをデザインする
3 Borderless:未知をデザインする
と、彼女の活躍を3つの時期・ジャンルに分けて構成している。

男性と伍して仕事をしたいという強い意志を示して資生堂に入社し、同社の広告制作に携わる中で、時代を切り拓く様々な作品を送り出した。そして、その作品が次の出会いに、そして未知のジャンルへの挑戦に繋がっていくのを、余すところなく紹介している。
僕の母より1つ下ということで、当時の女性が置かれた状況をはっきりとではないけど想像できる。

「人脈を広げる」という言葉があるけど、彼女が得た出会いはその言葉とは対極のものだと思う。 人脈を広げるためには、時に相手に対し妥協も必要な時がある。僕も時にその場に流されてしまうけど、強い思いを持っているものに対してそれはできないし、したくない。

彼女が作品の校正戻しに書き込んだ様々な指示を見て、ディテールに拘る姿勢と、それが彼女の作品を今も輝かせているのだと知った。そして、その輝く作品がまた次のオファーに繋がっていったのだと。
彼女がディレクションされたマイルス・デイヴィスのアルバムジャケットは、その校正戻しと実際のジャケットの双方の展示を見比べて、彼女の拘りを、そして「神は細部に宿る」という感覚を味わってほしい。

展示を観た翌日、ふと、意欲的に活躍された彼女が自分を奮い立たせる姿を想像した。 そんなことがあったとしても、気の置けない人にしか、いや、もしかしたら誰にも見せなかったのかもしれないけど。
なぜそんなことを想像したのかも分からないし、実際にそうだったかどうかどちらでもいい。ただ、彼女の作品を観て自分がそう感じたことが大切なのだと。

今回、PARCOのCMに込められた思いに触れ、子どもの頃に感じた魅力について腹に落ちた感じがした。まあ、それが正しいとすると大人びた子どもだったということかな。

図録は来月に発売されるとのことで、この時に感じた思いを後日改めて噛み締めたい。

そして、この記事を書きながらこちらのペーを見つけた。
石岡さんの著書に携わられた筆者の方の想いに眼を潤ませた。
また、ちらの記事では一部の展示を写真で紹介されている。

「忙しい」を、そして「年齢」を言い訳にせず、これからも様々な物、事、そして人に対し意欲的に向き合っていきたい。

この日の動画はこちら

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ホテルローヤル

2020-12-06 20:26:13 | 映画を観る
映画『ホテルローヤル』を観た。

波瑠ちゃん主演で松山ケンイチさんが共演というのが観たいと思う決め手になりムビチケを購入したけど、毎度ながら買うと安心してしまい、すぐに観に行こうと思わずにいてしまい、気が付くと上映終了が迫っていて、上映時間の選択肢も限られてしまう。この作品も10日までの上映になってしまい、慌てて予定を組んで出掛けた。

原作は桜木紫乃さんの小説で、直木賞受賞作だそうだけど、「受賞作」を読む理由にしていないからか、桜木さんのこともこの作品のことも知らず、だからこそ映画の世界にどっぷり浸かることができたのかもしれない。

舞台は北海道・釧路湿原近くにあるラブホテル「ホテルローヤル」。経営者の一人娘である雅代は大学受験に失敗し、望まない形ではあるけど家業を手伝い始める。その目的のためにだけ存在するような場所に集う人たちのそれぞれの想いと、多感な時期をそんな場所で過ごした雅代の心の移ろい。そして、両親やそこで働く人々の人生に、自分の気持ちのありようをなぞっていた。僕の人生に同じようなシーンはなかったけど、それでも、どこかその気持ちが痛いほど伝わってくるようだった。

ある事件をきっかけに、ホテルローヤルと雅代の人生に変化が求められる。痛ましい事件の当事者に対し、僕は「良かったね」と思えた。人って、自分の存在を認められないことが最も辛いことだと思うから、最後にそれを認め合えたのだと思えば、彼らが選んだ結末は痛ましいけど、幸せなものになったのではないかと。

そして、松山ケンイチさん演じる「えっち屋さん」のどこまでも優しいところが、雅代の心を傷付け、それが彼女の背中を押す。そんな姿に、痛みを感じることから逃げ続け、いつまでも前に踏み出せないでいる僕の意気地なさを改めて思った。

「体を使って遊ばなきゃならない時がある」というえっち屋さんの台詞は、体を重ねることも、いや、誰かと会うことも難しい今の状況と重ねると余計に実感される。アオハルではないけど、とても辛いときに誰かとただ手を繋ぐだけでもと、そんな思いを募らせてみたものの、そうしたいと思う相手が今はいない。いや、思い浮かべた人はいるけど、もうすっかり縁遠くなってしまった…

波瑠ちゃんは『弥生、三月』に続き、素敵な役に出会い、見事に演じ切ったと思う。歳を重ね凛とした佇まいに情感を纏う彼女の更なる活躍が楽しみだ。

エンドロールに重ねられた、Leolaさんが歌う主題歌『白いページの中に』が心の奥に優しく響き、潤んだ眼を誤魔化そうと足早に劇場を後にした。

この冬休み、桜木紫乃さんの原作本を読んでみよう。
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