あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

緑を求めて

2023-04-15 08:06:45 | ふらり

時々、緑の中に身を置きたくなる時がある。大抵は疲れている時なのかな。

遠出をしたいという気持ちもありつつ、移動の煩わしさや疲労を伴うだろうことを考えると躊躇してしまうのは、きっと「もう若くはない」ということの裏返しなのだろう。

そう、近場にだって、東京都区部にだって、緑を楽しめる場所がある。そのうちの一つが、この日訪ねた石神井公園。池もあり、この時期ならまだ渡り鳥が羽根を休めている姿も見ることができる。

の日の動画はこちらから

遠出にはならないけど、少し早めに家を出て、7時過ぎには辿り着いた。早朝の空気感が緑と相まって、ここが23区内であることをひととき忘れさせてくれる。まあ、忘れなくてもいいんだろうけど。その景色に鳥の囀りが響く。そんな中をゆっくり、意識的にゆっくりと歩く。時の流れを感じながら。

途中、大きなレンズを付けたカメラを持つ人たちの姿を見かけ、そのレンズが向けられた先に注目すると、そこにはカワセミの姿があった。

その輝きに多くの人が魅了されるのもよくわかる。それは、僕もまたその姿に魅了されたから。次の予定を気にしつつも、こういう出会いは大切にしたい。そんな気持ちとともに、その光景を味わった。

さて、ここを訪ねた理由の中に、園内に根を張るメタセコイアの木々を見たいというものだった。紅葉した姿も美しいけど、新緑の頃もまた見応えがある。そこには、思った通り、いや、思った以上に美しく緑を纏った姿が待っていた。少しずつ、そして確実に、疲弊した心にエネルギーが貯まっていくのを感じながら、風に揺れる姿を見上げた。

売店が開いていなかったので朝酒とはいかなかったものの、寧ろアルコールによって千鳥足にならなくて良かったんだろうな。

その後、少し歩いて隣の駅近くにある牧野記念庭園を訪ねた。

植物学者の牧野富太郎博士が晩年を過ごされた邸宅の跡地に建つ記念館と、博士が植えられたものをはじめ数々の植物が彩る庭園を、ゆっくりと愉しんだ。

ちょうどこの日まで、牧野博士の生誕160年を記念し募集された博士への手紙の入選作を展示する企画が行われていた。普段ならながし見くらいで済ませてしまうところ、それぞれの手紙に込められた思いが僕の心の奥に響いたようで、じっくりと読ませていただいた。展示の中には、恵泉女学園の山口美智子氏に充てた牧野博士の手紙も展示されていた。恵泉女学園と言えばつい先日、大学の閉学を前提とした学生募集停止というニュースに触れ、過去に深く関わった仲間がこの大学の卒業生だったことを思い出した。そして、この学校の取り組みを知り、今後より強く求められるものだと思った。昨今、大学教育が企業などからの「即戦力」の要望に応えるものになる中、こうした本質的な学問へのニーズが低下してしまうのは致し方ないと思う一方、それだけこの国に将来を考える余裕すら無くなっているのかと淋しくなる。中学・高校は残るそうだけど、これまで培われた大学教育の場が何らかの形で継続される可能性を模索してほしいと願う。

開園の9時過ぎに着いたときにもすでに先客がいらしたが、1時間ほど後に庭園を後にする頃には多くの人が集まっていた。先日から始まった朝ドラの主人公が牧野博士だということで、今後さらに多くの人が訪れるようになると思うと、また季節ごとに訪ねるとしても、開園すぐか閉園間際がいいのかな。

この日はもう少しあちこち歩けたらと思いつつ、最寄りの大泉学園駅から帰途についた。言うまでもなく、「銀河鉄道999」ではなく、一般的な電車に乗り込んで。


芸工展2015

2015-10-13 22:34:45 | ふらり
先週土曜日から谷根千界隈で開催されている「芸工展2015」を訪れた。

昼前に家を出て、てくてくと歩いた。ここしばらく散歩をサボっているので足取りも重く、「どこからバスに乗ろうか」と考えていたけれど、何とかよみせ通りの入口までたどり着いた。まあ、ここまで来れば、あとはゆっくりあちこち巡ればいい。

ということで、今年のサインが掲げられているのを見つけ、会場に入った。



訪れたのは、よみせ通りにある ギャラリーknulp で開催の「A Chrome 第1回写真展 TABI」。
小さなギャラリーに展示されたモノクロの写真は、作家の方々のゆかりの地を写し取ったものだった。それらから仄かに漂う人生のようなものを、短い時間だったけど楽しんだ。



よみせ通りは谷中銀座ほど込み入っておらず、ところどころ店が途切れるものの、そんなところにこのような広告スペースを見つけると、街の繋がりを感じる。



続いて、こちらは芸工展には参加されていないものの、店内にあった木の器に惹かれてこちらに入った。
店内には生活用に国内外で作られた様々な工芸品が並んでいて目移りしたものの、買う決断に至らず店を出ようとしたところ、「2階のギャラリーも観て行って下さい」と声を掛けられ、せっかくだからと会談を上った。

会談を上りきると、たくさんの人形たちが迎えてくれた。彼らは見慣れないカラフルな衣装を纏っていた。奥にお2人の女性がおられ、展示について説明してくれた。その女性のお姉様が亡くなられ、彼女が世界各地への旅を通じて集めた人形たちが遺された。妹さんは彼ら人形を多くの人に見てもらいたいと、お姉様のお友達(もう1人の女性)に相談し、この企画を開催された。

入口近くの人形から説明を受けた。ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジア、アフリカ…と、順序はちゃんと覚えていないけど、人形たちについての説明を伺いながら、まるで自分が世界旅行をしているような気持ちになった。

人形たちを見終え、お2人とお話させていただいた。今回は展示とともに一部は販売されるそうで、次の展示は予定されていないというお話を伺い、学生や地域の人たちと協力して面白い展示ができるのではないかと、無責任を自覚しつつ要望させていただいた。

この展示は18日まで開催されているので、お近くにお越しの方にはぜひ訪れていただきたい。
そして、お友達が来月こちらで開催される布作品も観に行きたい。

さて、よみせ通りから谷中銀座に入るとすぐに、お酒の歓迎を受けた…というか、迎えに行き、女将さんにおススメいただいた茨城・笠間の地酒をいただいた。




かばん屋のえいえもんさんが夕やけだんだんにいらっしゃるというのをTwitterで知りそちらに向かう途中、焼き立てのオレンジドーナツを見つけ、衝動買いしてしまった。日本酒とドーナツという禁断の組み合わせになったけど、すっきりしたお酒に爽やかな甘さのドーナツが意外にも合ってしまい、却ってビックリした。まあ、それは僕がバカ舌ということかもしれないので、くれぐれも真似をされないように。



えいえもんさんの所で週末のお遣い物を買い求めてすぐ、ペットショップのすぐ脇に自転車を止めて展示をする若い女性を見かけ、足を止めた。
「やさびしいかるた」と題する展示は、言葉から連想する写真を選ぶというもので、複数の人が参加すると感性の違いを楽しめるとのことで、文章と写真も魅力的で、面白そうだった。



芸工展に参加されているものの、サインの幟が鞄にしまわれていたので、籠に掛けといたらと言って次へと向かった。

初音の道に入り、途中から右に折れて「谷中まつり」会場へと向かった。



ドーナツが肴ではやはり日本酒は進まず、会場内でおでんをいただいた。
あまりの人の多さに、熱いおでんを急いで食べ終え、再び歩き出した。



最近訪れていない さんさき坂カフェ にこの日は寄って行こうと思ったものの、いつもの女将さん(でいいのかな?)がカウンター内にいらっしゃらないようだったので、次の機会にした。




三崎坂を下りていく途中、スナックの看板にくまモンとその仲間を見つけた。「Set ¥3000」が気になりつつも、ここもスルーした。



再びよみせ通りに入り、こんにゃく屋さんで田楽と、料理用にこんにゃくとちくわぶをいただいた。


ちゃんと食事はとらなかったけど、あれこれ食べているうちにお腹も膨れたので、もう少し歩くことにした。



岡倉天心さんにはあんみつが供えられていた。
三味線の音が聞こえ始めたので、僕も天心さんに倣いあんみつをいただいた。「甘いものは別腹」という言葉は便利だ。



「さあ、もう少し歩こう」と、上野桜木方面に向かった。



旧吉田屋本店に立ち寄り、発泡酒とポップコーンを友に琴の音を楽しんだ。




最後に、市田邸で開催されていた、ハンドメイド作家さんが集まった展示を拝見した。
魅力的な作品の数々に心が揺れながらも、谷根千界隈の老舗の包装紙を遣ったお財布を購入し、会場を後にした。



芸工展を理由に酒を呑みに来ただけなのかな…と思いつつ、街の賑わいには貢献できただろう。
25日までの会期中、もう一度行きたいけど、難しいかもしれない。

なので、興味を持たれた方にはぜひともこの街を訪れ、芸術や飲み食いを楽しんでいただきたい。

さがしもの

2015-03-01 20:38:00 | ふらり
昨日も一日家を留守にしていたのに、雨の中、谷根千あたりに出かけた。

さすがに傘をさして目的地まで歩くのは難しいと思いバスに乗ったら、同じように考えている人が多かったのかかなり混んでいたんだけど、前ドアすぐ後ろの高い座席が空いていたので座らせてもらった。そして、歩けば1時間ほどの場所まで10分ほどでバス停に着いた。

降りるバス停を間違えたようで、さらに少し歩き調べておいた雑貨店に行ったものの、肝心なお休みの日を忘れていて今日は定休日だった。ただ、僕が探していたものがこのお店で扱われていたかもわからないし、近くのお店を探してみようと再び歩き始めた。ただ、当てがある訳でもなかった。

「へび道」と呼ばれる道を歩いていると、古本屋さんを見つけた。本に関係するものだったので店の中を覗いてみたけど、外からはわからなかった。けれども、「本」の看板に「読書の友に栞はいかが?」と書かれた紙が画鋲で止めてあったので、店内に入り、栞を購入することができた。2種類購入したうちの一つは僕の小銭入れとお揃いの、えいえもんさんの作品だった!

少し手こずり、大型書店にでも行かないと難しいかなと思っていたけど、案外早く目的が達成できたし、また雨足も弱まらなかったので、カフェに立ち寄ることもなく家に帰った。

休みの日が雨だと、ついつい家の中で塞ぎこんでしまいがちだけど、今日ぐらいの雨なら傘をさして歩くのは苦にならない。そんなことに改めて気づいたことも、今日の収穫だったと思う。