信号が青に変わり、同時にスタートしたはずなのに、いつのまにかその女性は僕の前を歩いていた。
ごく自然な腕の振り。軽やかな足取り。
いかにもウォーキングしてますという、大きく腕を振りながら力強く歩く人とは正反対に、どこにも力が入っていない、飄々とした歩き方だ。
むっとする暑さに、僕は額や首に汗が噴き出しているが、彼女は汗一つかいてないかのように軽やかに涼しげに歩いている。しかも長袖。
彼女が歩くテンポに合わせてみた。
全然追いつける感じではない。
身長は同じぐらいだが、よく見ると足の長さが違う。
スピードの差はストライドの差かと思って、テンポを維持しながら歩幅を広げてみる。
やはり、全然追いつける感じではない。
じわじわと彼女との差が広がり、やがてどんどん彼女の背中が遠くなっていく。
女に負けるとは。
しかも、こんなに差をつけられて。
いや、決して女性蔑視ではない。
スポーツ競技では男女別に試合が行われているわけだし、体力的な男女格差はあるはず。
男の中でも体力が劣っていると意識したことはこれまでない。
彼女は女性の中でも、歩くスピードが特に速いのかもしれない。
間違いないのは年齢の差。
ということで、つまりは、トシじゃー。
文京シビックセンター展望ラウンジから新宿副都心を望む。
中央にあるはずの富士山は雲のなか。
2008年12月撮影(この翌月に滋賀に引っ越し)。
ここは三脚禁止なので、手持ちで夜景を撮るのがツライ。
焦点距離111㎜ シャッタースピード1/13秒 カメラは初代 EOS 5D
その後、新しいビルが建設されて景色が変わっているかもしれない。