それまでのポップスとは全然違ったサウンドの、「抱きしめたい」という曲で衝撃的にビートルズが登場したのが中学生の時だった。
ビートルズが解散したのが大学生の時であり、中学生から大学生までの僕の青春時代はいつもずっとビートルズの曲が流れていた。
といっても、熱心なビートルズ・ファンというわけでもない。
初期の頃は大好きだったが、中期以降はそうでもなくなっていった。
それでも、ビートルズの曲を聞くと、その曲が流れていた当時の自分が思い出され、彼らの曲と青春時代の思い出が重なっていた。
就職した時、辞令一本で全国どこにでも(場合によっては海外も)飛ばされる立場になるので、せめて最初だけは故郷に戻してやろうという人事方針により、最初の赴任地は福岡だった。
中洲の馴染みになったスナックで、ビートルズへの思いを大いに語ったことがある。
やがて、東京へ転勤することになった時、スナックのママが、ビートルズのレコード全集(当時CDはなかった)を餞別として空港まで持ってきてくれたのは本当にうれしかった。
それから相当の歳月を経たある時、福岡に出張で行った際、そのスナックがまだあるのか探してみた。
あった!
あるにはあったが、やっぱりと言おうか、オーナーが代わっており、ママもいなかった。
ちなみに、かつてのオーナーとママは夫婦で、オーナーはミュージシャンを目指して上京したが売れなかったので、福岡に帰り、スナックを開業した。
まったく知らない人の店にはなっていたが、店の名前はそのままで、店内もほとんど変わっておらず、懐かしかった。
店のコと話していたら、そのコから「あんたの博多弁、訛っとう」と言われた。
長い間福岡を離れているうちに、故郷の言葉すら使えなくなってしまったのかと大きなショックを受けた。
すんなり博多弁が出てこない時に、これはどういう言い回しをしてたっけと思い出しながら無理矢理しゃべると変な博多弁になってしまっていたらしい。
それ以降、無理して博多弁をしゃべるのはやめた。
今、福岡で暮らしているが、博多弁は使っていない。
折に触れ博多弁を聞くと、やっぱり故郷の言葉はいいなあと思いながら・・・
美男美女だったオーナーとママは今どうしているのだろうと思いながら・・・
写真は、京都 大原 三千院 恋に疲れた女がひとり・・・
2012年7月撮影
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