万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

終戦の日の首相式辞-加害責任は戦没者を責めることに

2013年08月20日 15時12分25秒 | アジア
加害責任に触れなかった式辞「首相は説明を」 海江田氏(朝日新聞) - goo ニュース
 今月15日、日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式で、安倍首相が、式辞においてアジア諸国に対する加害責任について触れなかったことから、野党側から批判の声が上がっています。”首相は説明を”と息巻いているようですが、その理由は、明白であると思うのです。

 これまで、歴代の首相の式辞には、村山談話と同様に、”アジア諸国に損害と苦痛を与えた…”とする文言が含まれていました。戦没者に語りかける形式とのことですが、そうであるならばなおさらに、この言葉は、戦没者の御霊に対して失礼です。何故ならば、アジア諸国において、日本の兵士達は、植民地解放を掲げた大東亜共栄圏の理想を信じ、自らの命をなげうってまで、勇敢に闘ったのですから。戦闘において現地の方々が巻き添えになり、心ならずも、被害を与えてしまったこともあったことでしょう。しかしながら、当時のアジア諸国は、植民地支配下にあったことを考えますと、先の戦争は、”侵略戦争”の一言で片づけられない複雑さがあります。戦場で散った日本国の兵士達は、今になって、日本国政府が、自分達を”加害者”と見なすとは、考えてもいなかったことでしょう。加害責任の文言は、御霊に対して、”あなた方は、先の戦争で、アジア諸国に対して甚大な損害と苦痛を与えました”と責めているに等しいのです。御霊は、この言葉を聴いて、心安らかにいられるでしょうか。否、”自分達は、何のために命を捨ててまで戦ったのか”と、悔しさが込み上げてくるに違いありません。

 終戦の日は、お盆の時期にも当たり、戦没者の御霊を慰めるための日ですので、御霊を責めるような文言は慎むべきです。野党側は、周辺諸国の反発を気にし、自己満足のために加害責任に拘っていますが、戦没者追悼式は、慰霊のためにこそあることを、忘れてはならないと思うのです。

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コメント (7)
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