万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

慰安婦問題-対日20億円要求で馬脚を露わにした韓国

2015年12月27日 15時07分44秒 | アジア
【岸田外相訪韓】韓国、20億円の拠出を要求 日本は拒否 「像の撤去」と「請求権協定再確認」など文書化迫る 28日に外相会談 
 明日に予定されている慰安婦問題をめぐる日韓外相会談を、日本国民の多くは、固唾を飲んで見守っているのではないかと思います。懸念と期待の両論が渦巻いておりますが、韓国側は、思わぬところで馬脚を露わにしてしまったようです。

 近年、韓国は、慰安婦問題の焦点を、人権侵害問題にすり替えてきました。世界大で展開している慰安婦プロパガンダでは、日本軍による”慰安婦強制連行”は、人類が記憶すべき歴史的な悲劇であり、20世紀で起きた最大級の人権侵害問題であるとアピールしています。慰安婦問題を普遍的な人権問題に位置づけることで、国際社会の支持を取り付けると共に、対日圧力に利用しようとしてきたのです。このため、韓国政府は、しばしば、”慰安婦問題はお金の問題ではない”と説明してきました。ところが、今般、日韓外相会談に先立って行われている外務省レベルでの交渉では、韓国側は、日本側が提案したとされる慰安婦基金の拠出額(1億円から10円程度…)に対し、額が少ないとして20億円の増額を求めたというのです。そもそも、残されている資料からしますと、慰安婦問題とは、戦時中の事業者による犯罪被害であり(朝鮮人事業者が大半…)、慰安婦の大部分は、合法的な職業として慰安婦業に就いていた婦人達です。”20万人もの朝鮮人女性が強制連行された”と主張されながら、元慰安婦として名乗り出た韓国人女性の人数が少ないのも、全体から見れば、犯罪被害者は少数に過ぎないからです。当時は、犯罪被害者に対する国家による財政的な救済制度は存在せず、日本国内でさえ、犯罪被害者救済は、1980年に至り、損害賠償を受けることができない被害者に対して給付金を支給する法律(「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」)が制定されてからのことです。しかも、戦時中の慰安婦の場合、犯罪の事実を証明する証拠は殆どなく、唯一の拠り所は、供述内容が変転するため信憑性に乏しい韓国人元慰安婦証言のみです(犯罪者に対する有罪判決なき被害者救済は、本来、あり得ない…)。一方、当時の慰安婦達の給与額は一般勤労者の平均所得を越えており、所得面においては恵まれていました。韓国人慰安婦の名誉を傷つけたのは日本国政府ではなく、また、当時の日本国が、日本国民であった朝鮮人女性達に対して奴隷的な搾取を行ったわけでもないのです。にも拘らず、韓国は、人権侵害問題を盾にして、日本国を糾弾し続けてきたのです。

 以上の史実に照らしますと、対日20億円要求は、慰安婦に関する韓国の主張の矛盾点を明らかにすると共に、その主張が破綻する切っ掛けとなるかもしれません。例えば、第1に、人類史に刻むべき普遍的な人権侵害問題を主張しながら、お金で解決しようとしたこと、第2に、増額を求めることで、金銭目当てであることを自らの言動で示したこと、第3に、”20万人”を対象とした普遍的人権侵害問題の立場を堅持するのであれば、請求額が低すぎること、第4に、普遍性を主張しながら、大半を占めていた日本人元慰安婦に対する救済に言及しなかったこと…などを挙げることができます。韓国側は、自らの要求を日本国側が飲めば、慰安婦像も自然に消えると説明しているようですが、日本国側が応じなくとも、史実が明らかとなれば、自ずと慰安婦像は消えてゆくのではないでしょうか。

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