北朝鮮、核爆弾増やした可能性 脅威は低下=米報告書
先日、米スタンフォード大国際安全保障協力センターは、第2回米朝首脳会談の開催に先立って、北朝鮮の核・ミサイル開発に関する調査報告書を公表しました。同報報告書によれば、北朝鮮は、米朝交渉中にあっても燃料生産を止めず、‘過去1年に核兵器を最大7個増やすのに十分な燃料を生産した可能性’があるそうです。その一方で、長距離弾道弾ミサイル開発については、2017年以降、核・ミサイル実験が凍結されているため、少なくともアメリカに対する脅威は低減していると報告しています。
同報告書の内容は、来るべき第2回米朝首脳会談にあって、両国間で相互安全保障を約する可能性を示唆しています。つまり、‘落としどころ’として、表向きは北朝鮮の非核化を装いながらも、アメリカ側が一定数の核弾頭の温存を北朝鮮に認める一方で、北朝鮮側はアメリカ本土に到達するICBMの開発を断念する、というバーゲニングが成立するかもしれないのです。第2回米朝首脳会談の開催地等について、アメリカ側が北朝鮮に譲歩しているように見えるのも、それだけ、北朝鮮が自らの足場を固めている証しなのかもしれません。
同報告書の執筆者の一人であるジークフリート・ヘッカー氏が「日本や韓国にとっては真の脅威」と指摘しているように、仮にこうした米朝間の‘手打ち’が成立すれば、北朝鮮が保有する中距離核兵器は日韓両国にとりましては死活的な問題となります。もっとも、韓国は既に北朝鮮の軍門に下っているに等しい状態ですので、事実上、北朝鮮の核は、日本国一国に対する安全保障上の深刻な脅威となりましょう。さらに平和条約の締結まで漕ぎ着ければ、将来的には核武装し、全体主義化した‘統一朝鮮’が、日本国に対して軍事行動をとらないとも限らないのです。文在寅政権の異常なまでの北朝鮮追従姿勢や対日敵対行動も、この文脈であれば説明がつきます。
ドイツでも、トランプ米政権によるヨーロッパ軽視の姿勢に対する危機感から、戦後にあって長らくタブーとされてきた核武装論が公に論じられる状況に至っているそうです。ドイツの核武装には越えるのが難しい様々な高いハードルが立ちはだかっていますが、仮に、上記の米朝合意が現実のものとなった場合、日本国にあっても、当然に核武装論が再燃することでしょう。THARDを導入し、イージス・ショアを多数配備したとしても、現在のミサイル防衛技術では、完全に北朝鮮からの核攻撃を防ぐことはできないからです。
この問題への対応は、偏に日米関係における両国の信頼性にかかってきます。仮にアメリカが、日本国に核の傘を提供し、北朝鮮から日本国が核攻撃を受けた場合、確実に反撃するとする確約があれば、核の抑止力が働くため、日本国が核武装する必要性は薄れます。米朝合意により、北朝鮮はアメリカ本土に届くICBMの開発は放棄していますので、アメリカは、反撃のリスクを恐れることなく北朝鮮に対して核を使用できる立場にもあります。もっとも、北朝鮮が、ICBMは放棄しても潜水艦発射型弾道ミサイルであるSLBMを開発・保有するならば、アメリカの核の傘の抑止力は大幅に低下します。言い換えますと、上記の米朝合意が成立しても、日本国が核武装を選択しなくても安全を確保できる条件とは、完全なる非核化、すなわち、北朝鮮に対してICBMに留まらず、SLBMの開発・保有をも確実に放棄させる必要があるのです。
同条件が満たされない場合には、日本国が核武装する可能性は格段に高まります。そして、次なる問題として、日本国は、どのような手続きを踏んで核保有国となるのか、並びに、どのようにして内外の非核化を求める反核運動を納得させるのか、という問題に焦点が移ることとなりましょう。‘ニクソン・ショック’ならぬ‘トランプ・ショック’とならぬよう、第2回米朝首脳会談の開催日までの間に、関係国となる日本国政府は、自国の核保有の可能性を含め、今後の核戦略に関して詳細を詰める日米核協議の場を設けるべきではないかと思うのです。
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先日、米スタンフォード大国際安全保障協力センターは、第2回米朝首脳会談の開催に先立って、北朝鮮の核・ミサイル開発に関する調査報告書を公表しました。同報報告書によれば、北朝鮮は、米朝交渉中にあっても燃料生産を止めず、‘過去1年に核兵器を最大7個増やすのに十分な燃料を生産した可能性’があるそうです。その一方で、長距離弾道弾ミサイル開発については、2017年以降、核・ミサイル実験が凍結されているため、少なくともアメリカに対する脅威は低減していると報告しています。
同報告書の内容は、来るべき第2回米朝首脳会談にあって、両国間で相互安全保障を約する可能性を示唆しています。つまり、‘落としどころ’として、表向きは北朝鮮の非核化を装いながらも、アメリカ側が一定数の核弾頭の温存を北朝鮮に認める一方で、北朝鮮側はアメリカ本土に到達するICBMの開発を断念する、というバーゲニングが成立するかもしれないのです。第2回米朝首脳会談の開催地等について、アメリカ側が北朝鮮に譲歩しているように見えるのも、それだけ、北朝鮮が自らの足場を固めている証しなのかもしれません。
同報告書の執筆者の一人であるジークフリート・ヘッカー氏が「日本や韓国にとっては真の脅威」と指摘しているように、仮にこうした米朝間の‘手打ち’が成立すれば、北朝鮮が保有する中距離核兵器は日韓両国にとりましては死活的な問題となります。もっとも、韓国は既に北朝鮮の軍門に下っているに等しい状態ですので、事実上、北朝鮮の核は、日本国一国に対する安全保障上の深刻な脅威となりましょう。さらに平和条約の締結まで漕ぎ着ければ、将来的には核武装し、全体主義化した‘統一朝鮮’が、日本国に対して軍事行動をとらないとも限らないのです。文在寅政権の異常なまでの北朝鮮追従姿勢や対日敵対行動も、この文脈であれば説明がつきます。
ドイツでも、トランプ米政権によるヨーロッパ軽視の姿勢に対する危機感から、戦後にあって長らくタブーとされてきた核武装論が公に論じられる状況に至っているそうです。ドイツの核武装には越えるのが難しい様々な高いハードルが立ちはだかっていますが、仮に、上記の米朝合意が現実のものとなった場合、日本国にあっても、当然に核武装論が再燃することでしょう。THARDを導入し、イージス・ショアを多数配備したとしても、現在のミサイル防衛技術では、完全に北朝鮮からの核攻撃を防ぐことはできないからです。
この問題への対応は、偏に日米関係における両国の信頼性にかかってきます。仮にアメリカが、日本国に核の傘を提供し、北朝鮮から日本国が核攻撃を受けた場合、確実に反撃するとする確約があれば、核の抑止力が働くため、日本国が核武装する必要性は薄れます。米朝合意により、北朝鮮はアメリカ本土に届くICBMの開発は放棄していますので、アメリカは、反撃のリスクを恐れることなく北朝鮮に対して核を使用できる立場にもあります。もっとも、北朝鮮が、ICBMは放棄しても潜水艦発射型弾道ミサイルであるSLBMを開発・保有するならば、アメリカの核の傘の抑止力は大幅に低下します。言い換えますと、上記の米朝合意が成立しても、日本国が核武装を選択しなくても安全を確保できる条件とは、完全なる非核化、すなわち、北朝鮮に対してICBMに留まらず、SLBMの開発・保有をも確実に放棄させる必要があるのです。
同条件が満たされない場合には、日本国が核武装する可能性は格段に高まります。そして、次なる問題として、日本国は、どのような手続きを踏んで核保有国となるのか、並びに、どのようにして内外の非核化を求める反核運動を納得させるのか、という問題に焦点が移ることとなりましょう。‘ニクソン・ショック’ならぬ‘トランプ・ショック’とならぬよう、第2回米朝首脳会談の開催日までの間に、関係国となる日本国政府は、自国の核保有の可能性を含め、今後の核戦略に関して詳細を詰める日米核協議の場を設けるべきではないかと思うのです。
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