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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

韓国の誤算―被害者も加害者となり得る

2023年09月08日 10時13分25秒 | 国際政治
 1910年から1945年にかけての35年間、日本国は、韓国併合条約に基づいて朝鮮半島を統治することとなりました。武力をもって占領し、直轄地としたわけではないものの、韓国側は、これを日本国による残忍で搾取的な’植民地支配’として断罪し、‘慰安婦’や‘徴用工’、最近では関東大震災朝鮮人虐殺など、同時期における何らかの問題を見つけては償いを請求する根拠としてきたのです。日本国は‘悪い国’なのだから永遠に反省し、韓国や北朝鮮に対して誤らなければならないと・・・。

 朝鮮半島の人々が被害者となるお話には、常々韓国や北朝鮮等の政治的な思惑が潜んでいるのですが、関東大震災から100年を迎えた9月1日に公開された映画「福田村事件」については政治色が目立たないように細心の注意が払われています。監督の意図は、同事件から歴史の教訓を引き出すところにあると説明されており、福田村事件は、混乱状態にあっては誰もが加害者になり得る実例としているのです。否、普遍的な教訓であるからこそ、100年経とうが1000年経とうが、加害者である日本人は決して忘れてはならず、永遠に反省せよ、と言わんばかりなのです。

 しかしながら、同映画が発信するメッセージは、日本国民の心には届きにくいように思えます。深い自責の念を引き起こすどころか、反感さえ招きかねないのです。何故ならば、歴史的教訓としての普遍性を纏わせようとすれば、その糾弾の矛先が、自らの行為にも向かざるを得なくなるからです。歴史を振り返りますと、朝鮮半島の人々、並びに、日本国内の朝鮮半島出身者の人々は、被害者とばかりは言えない側面があります。終戦に前後して、韓国・朝鮮系の人々が日本人に対して残忍なる危害を加えた歴然たる事実があるからです。しかも、福田村事件と同様に、被害を受けた日本人の大半は、女性や子供を含めて加害者とは無関係な罪なき人々ばかりなのです。

 過去の日本人被害の事実が伏せられると共に、日本国内でも駅前の一等地とされる土地が終戦の混乱期に韓国・朝鮮系の人々に占拠されており、今日に至るまで韓国・朝鮮側の加害性は続いています。視点を併合期間の35年に限定せずに戦後から現代にまでの78年間に広げれば、立場は逆転し、日本国の方が被害側となるのです。国際法が禁じる‘武力による現状変更’に当たる竹島の不法占領も然りですし、元統一教会や創価学会といった朝鮮半島系の新興宗教団体の問題もその一つに数えることができるかもしれません。

 真偽のほどはわからずとも、被害者であると主張する人物が、実は加害者でもあった場合、被害を受けたとする主張をもって、過去の加害行為を正当化できるはずもありません。現状における韓国側の日本国に対する要求は、加害者側が被害者側に対して‘道徳’を説くに等しく、説得力に欠けているのです。誰もが認める人格者の言葉ならいざ知らず、被害者側からすれば、加害者から‘あたり屋’のごとき恐喝を受けているように感じるのですから、素直に反省するという方向には向かわないのです。多くの日本国民が韓国に対して、むしろ被害者意識を持っている一方で、韓国側が、それが捏造であれ誇張であれ何であれ、過去の事件を根拠として日本国を糾弾し続ける限り、日韓関係は、今後とも改善するはずもないのです。

 仮に、将来において日韓関係が好転する日が訪れるとすれば、それは、韓国・朝鮮側が自らの来し方を振り返って反省し、過去における日本国に対する加害性を認めた時となりましょう。日本国に対して謝罪し、日本人の犠牲者を悼んでこそ、人類共通の教訓を主張することができるのであり、これを欠いては、対日糾弾はブーメランとして返ってくるのみです。‘慰安婦キャンペーン’にあっても、ベトナム戦争時の韓国軍兵士による蛮行であるライダイハン問題が明るみになるに至り、国際社会での‘加害国日本’をアピールすることを目的とした韓国による‘普遍化戦略’が裏目に出ることとなりました。

 ‘誰もが加害者となり得る’ということは、’被害者も加害者となり得る‘ことを意味するのですから、人類普遍の教訓を説く映画やドラマ等を製作しようとするならば、被害者を主張する側が加害者であったストーリーの方が、情報戦が繰り広げられ、情報操作が日常化している現代という時代を考える上で示唆に富んでいます。ナチス政権を含めて迫害を受けてきたユダヤ人も、長い歴史的なスパンで見れば常に被害者ではありませんでした。被害者と加害者との関係における相対性、そして、善の中に悪が潜む今日、真の善あるいは悪とは何か、という問題こそ、人類がともに考えるべき課題であるように思うのです。

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