“沖”と“浜”という2つの呼び名で区切られたとある干拓地に住む
中学生のシュウジ
両親の自慢の兄シュウイチが挫折し壊れてしまったことを
きっかけにそれまでのシュウジの毎日が
すべて失われて“ひとり”になってしまう。
両親に自殺され“ひとり”だったエリ
自らの過ちが原因で弟を犯罪者にしてしまった神父
孤独、生と死、誰かとつながりたくて疾走するシュウジ
文庫本の表紙の絵からして楽しいお話ではないとは思って読んだけど、
そこにあるのは圧倒的な“孤独”だった。
“ひとり”と“ひとり”が一緒にいても“ふたり”にはなれない。
“ひとりたち”にしかなれい。
誰かとつながりたい、誰かと一緒に生きたい。
シュウジがのぞんだのはただそれだけなのにどんどん孤独になっていく。
たまらなく悲しくて、誰かシュウジを助けてあげてと思いながら読んでいた。
シュウジの最後は悲しかったけど、やっと“ひとり”じゃなくなったのかな。
最後は、今はただの神父の家になったもと教会に咲くひまわりが最後に
気持ちを明るくしてくれた。
昨年末から今年にかけて公開された映画『疾走』は
神父さんに豊川悦司さん、アカネに中谷美紀さん、ヤクザの新田に大杉連さん
鬼ケンに寺島進さん、そしてシュウジにNewsの手越くんと
なかなか興味深いキャストだったみたいなのでDVDになったら
観てみようっと。