beatitude

好きなことだらけさ…

『坂道のアポロン』

2009年01月19日 | コミック

 


小玉ユキの作品は『光の海』と『羽衣ミシン』を読んだことがあります。
(他は短編集が2冊出ていますね)
何気に本屋で手に取り、好みの絵だったし、フラワーコミックから出ているので
ハズレでも読めるだろうと買ってみました。読んだらイイ感じじゃないですか
これはなかなかよい子出てきたなと思ったものです。





『このマンガがすごい!2009』のオンナ編第1位と見たときは驚きました。
いやいや入るのは当然と思ってましたが1位って、スゴイ。

『坂道のアポロン』は初の連載モノだそうです。

1巻目を読んだとき、何か懐かしい感じがしたのは年代設定のせいですね。
1966年の長崎が舞台。60年代は私が東北の片田舎で小学生をやっていた時代です。高度経済成長の只中、東京オリンピックも終わり
大阪万博に向けて活気あふれる日本ですが、TVでは火炎瓶だ、内ゲバだと
学生運動のニュースが連日流れていました。
田舎の小学生には「大学生ってこんな事するんだぁ」と
世界の外側の出来事でしかありません。
北と南の差こそあれ、地方の学生にとっては
成績と恋が最重要事項だったと思います
(社会に対して敏感な方は違ったと思いますが
パソコンも携帯もありません。
うちなんて、中3の時やっと家に電話が付いたんですよ。
それまでお隣の電話借りまくりです。

そんな時代に横須賀から長崎に転校して来た西見と
地元で不良をやってる千太郎、その幼なじみで同級生の律子、
この3人を軸に青春が展開していきます。
西見は親の都合で転校を繰り返していて、学校という場所に馴染めずにいます。
この頃は“不登校”とか“引きこもり”って概念がないんですよね。
イヤでも取りあえず学校行く、行かないのは不良。
で、千太郎も今時の路上で寝てるオジサン殴るとかヤクまわすじゃなくて、
自分なりにスジが通ってるような豪快な不良。
その千太郎が“淳兄”と慕う東京の大学に通う淳一。
これがまた高校生にとっては、危険な大人の香りを
まき散らしながらジャズをやってるし・・・。
一つ年上の百合香も加わり、今後の展開が楽しみです。


単行本裏表紙にもあるように「直球青春物語」ではあるのですが
2巻まで読んだとき、吉田秋生の青春モノ『夢見る頃をすぎても』や
『河よりも長くゆるやかに』なんかを読んだ時のカンジを思い出しました。