http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009010113_00000
「おのおの方、討ち入りでござる。」
長谷川和夫扮する大石内蔵助が吉良上野介をあだ討ちする忠臣蔵の話ではない。
先週の木曜日の夕方のことだった。
仕事も暇でそろそろ帰ろうかと思っていた時、タイミングよく知人のHさんから電話が。
大手食品会社の役員だったHさん。
娘さんも学校を出て無事に就職、奥さんと二人暮らし。
昨年リタイヤし悠々自適な隠居暮らしのようなお方だ。
「オヤジさん魚要らないかな?」
いきなりの問いかけに返答を一呼吸おいてると、
「いや今日日本海まで魚釣りに行った帰りなんだけど、
良かったらお裾分けしようかと思ってさ。
奥さん三枚に下ろすくらいは出来るんだろ?
そっちに寄ってあげるわ。」
生返事のままお願いして何の魚か聞いてなかった。
まあいただける物なら貰っておこうと思ったのが正直なところさ。
聞けば「アコウ」という魚らしい。
でも聞いても全く判らん。
魚釣りもしなけりゃ魚に詳しくもないもんなあ。
「ちょっと皮が固いかも知れないけど水で流しながら鱗を取ればいいよ。
今日より明日の方が食べごろかも知れないよ。」
と丁寧に教えてくれHさんは帰って行った。
新聞紙に包んでコンビニ袋に入れて持ってきたくれたので
そのまま受け取ったのまでは良かった。
早速帰宅しこれこれしかじかと嫁はんに伝えたものの、
あまり乗り気でなさそう。
「アコウ」なる魚は彼女も知らないらしい。
暫くすると「ぎゃっ」と猫を踏んづけたような声が。
見ればオレンジっぽい色の40センチはあろうかという魚。
お世辞にも見た目がスマートではないね。
天然物とは思えぬくらいに丸々としたその姿は下顎が前に飛び出たハゼ系の魚だった。
問題はシメてくれてないので生きたまま。
怖がりの嫁はん「これは流石に無理っ!」という始末。
そうなると要らんもん貰ってきやがって的視線でチラチラこちらの様子を伺っている。
折角の頂き物でもあるしパーにしちゃうのも勿体無い。
仕方ない近所の店に持っていって使ってもらおう。
飲兵衛がたまには幸いするのは自宅近辺には魚を扱う飲食店が何軒か徒歩圏に有り、
どこもちょこちょこ忘れられない程度に顔を出しているので受け取るくらいはしてくれるだろう。
そのうちの1軒Kに行くと時間が早いのもあって客はまだ誰もいない。
理由を話すと快諾どころか
「これって高級魚やない。阪○百貨店あたりやと1万はするで。
折角もろたんなら捌いたげるから持って帰り。」
※すぐに金銭に例えるのはごく普通に関西人の常套句なのである
調理師でも板前修業でもないのにその店のカウンター内に招かれて
その作法を見ることになった。
見たところで真似なんて出来ないけど成行上、とても断れる雰囲気じゃない。
女将のKさん包丁を入れる前に魚に一礼したのはちょっと驚きだった。
その後の手際は流石にプロ。
鱗を取るときに軍手を嵌めた親指を噛まれてもお構いなし。
嫁はんにさせなくて良かったわ。
「こいつも生き死にがかかってるから必死や。だけど一番獰猛で残酷なのは人間なんや。
だから骨以外は全てきちんと調理して全部食べてあげるのが生き物に対する殺生の礼儀なんやで。
私はいつも食べる前に全ての食材に感謝を心に念じてるねん。」
で後は一気に背中、腹と順番に捌いて「刺身用」、「鍋、汁物用」と取り分けてくれました。
帰り際「今日は冷蔵庫に入れて明日食べる方が美味しいで。」と教えてもらい。
翌日美味しくいただいたとさ。
タイトルの「赤穂」は判るとして「山中」はなんだと思っているだろうな。
アコウの刺身をいただきながらテレビを観ていたのが「慎介」の試合さ。
https://www.youtube.com/watch?v=aYs0XfPEGrE
ちょっと訳ありの知り合いで応援している青年だ。
場所も京都で会社の連中も山中応援団として会場入りしているだろう。
ただし今度ばかりは正直危なかった。
衰えとは言いたくないが相手を舐めていたのか正面に立ちすぎだ。
続けて2度もダウンを奪われた時はひょっとしたら・・・と思ったくらい。
まあ結果良ければ全て良し。
世界には何ぼでも強い奴がいるのもよく判ったやろう。
これでV10となり具志堅の持つ日本記録まで後3で並ぶ。
単なる防衛記録より彼の夢でもあるラスベガスでのマッチメイクまで頑張ってもらいたいね。